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2024年に最も上昇する航空関連株は?

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マクロの逆風が吹く中、航空関連株は、過去1年間は波乱含みのアンダーパフォームが続いてきました。ウォール街は、逆風の荒波を乗り越え続ければ、早ければ今年中にも業績が好転すると見ています。

以下に挙げる航空関連株は、過去1年間では、横ばいまたは期待はずれのパフォーマンスに終わっています。しかし、新年を迎え、新たなスタートを切った今、アナリストは今後12カ月のある時点で回復の兆しが見えてくると予測しています。この記事では、TipRanksの比較ツールを使って、航空宇宙防衛関連2銘柄(ボーイングとゼネラル・ダイナミクス)と航空会社1銘柄(デルタ航空)を見ていきます。

ボーイング (NYSE:BA)

ボーイングの株価は年初来で22%以上下落しており、その一因は、ボーイング737 Max 9型機の1機の出口ドアが離陸直後に吹き飛んだという恐ろしいニュースです。

同社が再び安全性懸念のターゲットとなったことで、投資家が安全性に関する懸念にうんざりし、事態は悪化の一途をたどる可能性があります。2024年に向けて、ボーイングに関してはネガティブな材料や未解決の問題が山積していますが、ウォール街は依然として強気を維持しています。

それでも、今回の事故を受けて、FAA(米連邦航空局)がボーイング機(特に737 Max 9)を厳しく監視することになるでしょう。経営陣が大がかりな打開策を打ち出さなければ、株価が年初の水準まで戻るのは困難かもしれません。

最近の悪材料、コンセンサス評価の「強気買い」に影響も

アナリストがボーイングの最新の悪材料をモデルに織り込みつつあるため、投資家は波乱に備える必要があります。この先、格下げがあるかもしれず、現在のコンセンサス評価の「強気買い」に影響が出るかもしれません。

ウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)の5つ星アナリスト、Matthew Akers氏は最近、レーティングを「買い」から「中立」に格下げしました。しかし、彼の225.00ドルの目標株価は、今後12カ月で10.8%の上値余地を示唆しています。

ボーイング株の目標株価は?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が18人、「中立」が5人で、前述した通り、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の269.26ドルは、今後12カ月で32.6%の上値余地を示唆しています。

ゼネラル・ダイナミクス (NYSE:GD)

航空宇宙・防衛大手のゼネラル・ダイナミクスの株価は、過去1年間ではわずか8%の上昇にとどまっています。同社の子会社は最近、米空軍から1億7,080万ドルの契約を獲得しています。

地政学的な緊張が高まり続ければ、混乱からポートフォリオを守る優れた方法として、ゼネラル・ダイナミクス株を検討せずにはいられません。防衛分野で最も魅力的な(そして信頼できる)企業の1つとして、2024年に向けてアナリストは強気を維持しています。

PERは業界平均よりかなり割安なため、株価上昇に期待

ゼネラル・ダイナミクスの予想株価収益率(PER)は16.8倍で、業界平均の21.6倍よりかなり割安です。同社の事業部門は十分に分散が効いている(空および宇宙、陸、海をカバー)ことを考えると、業界平均に対するディスカウントは少し不当との見方もあります。実際、ウォール街の推奨は、同社株が割安であることを示唆しており、新年度の上昇が期待できそうです。

同社はまた、「配当貴族(25年以上連続で増配している企業)」であり、29年の連続増配の歴史を誇っています。

ゼネラル・ダイナミクス株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が12人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の289.36ドルは、今後12カ月で15.76%の上値余地を示唆しています。

デルタ航空 (NYSE:DAL)

最後は、世界的な航空ネットワークを維持している大手航空会社のデルタ航空です。コロナパンデミックによって株価が奈落の底に突き落とされた2020年の暗黒時代以降、大きな乱気流を経験しています。過去2年間で株価は5%以上下落し、乱高下劇は長期株主にとって荒く報われないものとなっています。

長期的には、ウォール街は、同社がようやく着実に離陸し、投資家にスムーズな乗り心地を提供できるようになると考えています。

2024年に入り、大きく下落

それでも、2024年に入って再び激動に直面し、株価は年初来で一時7.37%下落しました。この背景には、原油価格の上昇、迫り来る景気後退と、経営陣による慎重な利益ガイダンス(通期の一株当たり利益予想は6.00~7.00ドル)があります。

航空株の底値を捉えるのは難しいですが、デルタ航空は、2024年とは言わないまでも、おそらく今後3年以内に上昇する力を持つ、よく管理された航空会社とみられます。逆風が吹いているとはいえ、同社が直近四半期で過去最高の売上高を記録した事実を無視することはできません。

デルタ航空株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、10人のアナリスト全員が「買い」を付けており、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の53.33ドルは、今後12カ月で43.6%の上値余地を示唆しています。

結論

上述の航空関連銘柄は、最近乱高下が続いていますが、ウォール街は今年上昇する可能性があると考えています。この3社の中では、ウォール街はデルタ航空の上値余地が一番大きい(最大43.6%)と見込んでいます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、BA, GD, DAL: Which Stock Can Fly Highest in 2024?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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