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3M株:値上げとコスト削減で痛みを伴う戦略が奏功

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製品の値上げや従業員の解雇は痛みを伴いますが、3M(NYSE:MMM)は企業の強さと競争力を維持するために必要なことを行いました。3Mの賢明な戦略は堅調な四半期決算に反映されており、3M株は回復基調にあります。

3Mは長い歴史を持つ巨大企業とはいえ、コスト削減と製品値上げの戦略は今年、悪い印象を残したかもしれません。しかし3Mは、サプライチェーンの混乱と高止まりするインフレの影響に対抗するため、強力な対策を講じる必要がありました。そして同社は、驚くほど好調な決算を発表しました。

3Mは米国ミネソタ州に本社を置く製造業大手です。製品カテゴリーは、電気、セラミック、パッキン、健康・保護具、「Post-it」などの文房具製品、空気清浄ソリューションなどに及びます。

確かに、3Mは「マグニフィセント・セブン」企業でもなければ、株式市場の寵児でもありません。とはいえ、パッシブ運用でインカムを重視する投資家は、まだ割安なうちに3M株を見ておくべきでしょう。

3Mの困難と機会

公正かつバランスを保つために、3Mが法的問題の財務的影響をまだ受けていることを認めなければなりません。例えばこの夏、3Mは米国の公共給水システムからの請求を解決するために103億ドルを支払うことに合意しました。申し立てによると、3Mの化学薬品の一部が重大な水質汚染を引き起こしていたとのことです。

さらに8月、ブルームバーグの報道によると、3Mは「欠陥のある耳栓を米軍の戦闘部隊に提供したとする数十万件の訴訟を解決するため、60億ドルを支払うことで合意した」とのことです。同社は2023年第3四半期のプレスリリースで、これらの和解について認めています。

3Mの法的問題を認識しておくことは重要ですが、今年の市場のように3M株を見捨てる必要はありません。3M株は年初来で大きく値を下げていますが、これはバリュー(割安)株投資家にとっては買い場と考えられます。

バリューの側面としては、3Mの非GAAPベースの12カ月予想PERはわずか9.9倍と魅力的に見えます。一方、セクターの予想PER中央値は15.7倍です。

さらに、パッシブ・インカム投資家は、3Mが6.7%という魅力的な年間配当利回りを提供していることに注目すべきです。これに対し、工業製品セクターの平均配当利回りは1.64%です。

3Mの厳しい選択がもたらす好結果

企業は時に、厳しい現実をなるべく柔らかい言葉で表現します。3Mの場合、第3四半期のプレスリリースで「リストラ活動」(従業員の解雇)と「積極的な支出規律」(やはり経費節減のための解雇)に言及しました。

結局のところ、3Mの「リストラ」は6,000人規模の人員削減を含む数千人規模のレイオフを伴うものでした。3Mの四半期プレスリリースではそのことはあまり語られませんが、おそらくこうした痛みを伴う人員削減は長期的には必要だったのでしょう。

痛みを伴うといえば、3Mも製品値上げで高インフレに対応しました。アナリストとの電話会議で、Monish Patolawala最高経営責任者(CEO)は次のように述べました。「短期的には、価格を通じてインフレを管理できました。そして必要であれば、今後もそうしていきます」。

要約すると、3Mの売上高83億ドルはコンセンサス予想を2億8,000万ドル上回りました。さらに、3Mは2.68ドルのEPSを計上し、これは2.36ドルという市場予想を見事に上回りました。

つまり、痛みを伴う戦略が成果を上げ始めています。今後の見通しとして、アナリストは3Mの第4四半期のEPSを2.42ドルと予想しています。第3四半期にそれ以上の利益を上げた3Mですから、これは達成可能だと思われます。

アナリストによれば、3M株は買いですか?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、12件の「中立」と2件の「売り」で、コンセンサス評価は「中立」となっています。平均目標株価は110.14ドルで、今後12カ月で23.1%の上値余地を示唆しています。

結論:3M株を検討すべきか?

企業が従業員を解雇し、製品価格を引き上げることを喜ぶ人はほとんどいません。しかし3Mの業績は、第3四半期にはこうした厳しい措置の恩恵を受けているようで、第4四半期も引き続き恩恵を受ける可能性があります。

3Mに問題がないとは言いませんし、投資家は同社の法的問題を注視すべきです。とはいえ、2023年の年末にかけては、テクノロジー企業に過度に注目するのではなく、市場がようやく3Mを支持し始めると予想されます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、3M Stock (NYSE:MMM): Price Hikes and Cost Cuts are Paying Off原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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