改ざん不可能なブロックチェーンの技術は、セキュリティ面や送金の面で多くの金融機関が注目しています。
現在は、個人所有のウォレットや取引所に仮想通貨を預けて管理するのが一般的です。
しかし、利息による運用や資産の管理を担う銀行が仮想通貨にも必要だという考え方もあります。
今回ご紹介するCelsiusは「仮想通貨の銀行」として発展する銘柄です。
本記事は、仮想通貨Celsiusの基本情報と最新情報をまとめました。
目次
仮想通貨Celsiusとは?
Celsiusは仮想通貨のレンディングや預金などを行うDeFiプラットフォームを構築するプロジェクトです。
ただし他のサービスのように流動性マイニングなどで利益を出すわけではありません。預かった仮想通貨を別の人に貸し出し、預金に支払う利息と貸し出す利息の差額をプロジェクトの利益としています。つまり銀行業務を仮想通貨を使って行っているのです。
Celsiusでは一般の銀行と異なり、資金を借りるのに信用情報は必要ありません。また面倒な手数料などはなく、利息も業界で最低水準を誇ります。仮想通貨だけでなく、アメリカドルで借りることができるため多岐にわたる用途で使うことができます。
一方、Celsiusでは手持ちの仮想通貨を預けることで利息を得ることが可能です。BitcoinやEthereum、ネイティブトークンであるCelsius(CEL)に加え約40種類の仮想通貨に対応しています。銘柄によって異なりますが、1週間に10%以上の利息を稼ぐことができる場合もあります。
仮想通貨Celsiusに関する最新情報まとめ
リリース日 | 概要 | 情報ソース |
2021年5月20日 | 国際基準のセキュリティ規格を取得 | https://www.prnewswire.com/news-releases/celsius-achieves-isoiec-27001-security-certification-301296502.html |
2021年6月3日 | 預かり資産が10万BTCを突破 | https://www.prnewswire.com/news-releases/celsius-confirms-over-100-000-bitcoin-in-community-assets-301305464.html |
2021年6月4日 | iHeartMediaでのオリジナルポッドキャスト番組の発表 | https://www.prnewswire.com/news-releases/celsius-partners-with-iheartmedia-in-new-podcast-deal-301306122.html |
仮想通貨による銀行の運営が主な目的のCelsius。
2021年は「仮想通貨の銀行」として、シェアの拡大および信頼性の獲得に向けて大きな動きが確認されています。
セキュリティ面の信頼性とビットコインによる預かり資産の増加といった、仮想通貨Celsiusに関する最新情報をまとめました。
国際基準のセキュリティ規格を取得
2021年5月20日、Celsiusは情報セキュリティ分野における国際規格のひとつであるISO/IEC 27001を取得したことを発表しました。
ISO/IEC 27001は国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEO)が共同で開発した規格で、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)について定めています。財務情報や知的財産などの情報資産に対してレベルに応じて機密性、完全性、可用性をバランスよくマネジメントし、情報の価値向上に資する組織の枠組みを示しました。
Celsiusはブロックチェーンを活用したプロジェクトであるために安全性は高いですが、信頼性は保証されていないという問題があります。2021年4月15日には不正アクセスも報告されました。
そこでISO/IEC 27001を取得することで、社会的な信頼を得ることができます。
Celsiusのセキュリティ責任者であるShiran Kleidermanは「Celsiusが世界のサイバーセキュリティと防衛規格のリーダーであり続けられるよう、献身的にチームを導くことができることを誇りに思います」とコメントしています。
預かり資産が10万BTCを突破
2021年6月3日、Celsiusは預かり資産の中でBitcoinが107900BTCを突破したことを発表しました。Celsiusでは約40種類の仮想通貨を預かっていますが、Bitcoinだけで全体の約25%を占めています。
Bitcoinは2021年5月11日には500万円台で推移していましたが、19日には320万円台にまで下落しました。この下落によって、Celsiusの利用者が預け入れていたBitcoinを引き出して売却し、損切りに動く可能性もありました。
実際にCelsiusのAlex MashinksyCEOは「仮想通貨市場が激しく変動するときは、Celsiusのような企業の生存能力を測る真の機会です。私は代表的な仮想通貨であるBitcoinにとって最も激動の月のひとつと言えるこの時期に、Celsiusの利用者がHODLを続け嵐に耐え、更にうまく乗り切ったことに感激しています」とコメントしています。
CelsiusはBitcoinが下落したにも関わらず、2021年5月にはCelsiusが利用者に送る額の2倍以上のBitcoinが送られてきたことと報告しています。
iHeartMediaでのオリジナルポッドキャスト番組の発表
2021年6月4日、CelsiusはiHeartMediaでのオリジナルポッドキャスト番組を放送することを発表しました。
iHeartMediaはテキサス州に本社を置く企業です。オーディオ広告事業、デジタルストリーミングラジオ、ポッドキャストという3つの事業を行っています。
特にアメリカで1番のオーディオ広告企業であると共に世界で第1位のポッドキャストパブリッシャーです。2021年5月のデータでは、月間で2700万を超えるユニークオーディエンスを獲得しています。
金融分野だけでなく、スポーツやビジネス、エンターテインメントなど多分野における配信を行っており、アプリケーションを利用することでスマートフォンなどを用いて番組を視聴できます。
Celsiusのポッドキャスト番組は、フィンテックや個人金融や貿易、金融規制などその時々でトレンドとなっている分野についてCelsiusのCEOであるAlex Mashinksyが話すという内容です。Celsiusの宣伝というわけでなく、ユーモラスで教育的、かつ有益な番組を目指しています。Celsiusの番組は2021年の後半に放送が開始される予定です。
仮想通貨Celsiusの将来性
仮想通貨Celsiusの将来性は非常に高いものと言えるでしょう。Celsiusに限らずDeFiプロジェクトは盛り上がりを見せており、特に流動性の需要は高まっています。
Celsiusは一般の利用者だけでなく、投資家や仮想通貨取引所に対して資金や流動性を提供することで高い需要を得ることができます。特に仮想通貨取引所に対する需要は重要です。
仮想通貨取引が盛んになることで、取引所でもより多くの流動性を確保する必要があります。そこでCelsiusとパートナーシップを結び、ステーキングの機会を与える見返りとして借入の契約を結ぶのです。
実際に2021年4月28日に、Celsiusは仮想通貨取引所Liquidとの統合を発表しました。Liquidの利用者はCelsiusのサービスを活用して利回りを得ることができます。
Celsiusは2021年4月28日に預かっている資産の総額が100億ドルを超えたと発表しました。この莫大なプールを必要とする個人やサービスへ貸し出すことで仮想通貨市場全体を活発にすることができるでしょう。
ERC20トークン「CEL」の利率が人気を呼ぶ
CelsiusのプラットフォームでネイティブトークンであるCelsius(CEL)は大きな役割を果しています。CELはERC20を利用して開発されたトークンです。
Celsiusで預けられた資産はLending Stake Poolというプールで管理されます。そしてこのプールから貸し出した資金によって生まれた利息をどのように貸し手に分配するかを、CELの持ち主が決めます。つまりCELはガバナンストークンとして機能するのです。
CELの持ち主はPoSを利用し、預け入れられた資金の金額と預け入れた期間に応じて利率を決定します。こうして分散化を保ったまま利息が計算されているのです。
またCELはユーティリティトークンとしても機能します。CELを利用することでよりローンが優遇されたり、優遇金利を受け取ることができます。
例えばCELを預けた場合の利息は4.86%です。この利率はより時価総額の高いアルトコインと並ぶ水準です。Ethereumを預けた場合の利息が5.05%であることから、如何に高率に設定されているかが分かります。
仮想通貨Celsiusの価格推移と今後
Celsius/CELの基本情報 | |
Celsius/CELの価格 | ¥652.73 |
一日の出来高 | ¥1,523,299,595 |
マーケットドミナンス | 0.10% |
市場ランキング | 61位 |
時価総額 | ¥155,879,218,314.53 |
直近1年間の高値/安値 | ¥895.16/¥38.49 |
最大供給 | 695,658,160CEL |
※価格等の情報は2021年7月2日時点のCoinmarketcapより引用
CELトークンの価格推移に注目していみましょう。
2021年7月時点では、新興取引所FTXのCEL/USDによる取引が3割以上を占めています。
ビットコインやイーサリアムが軒並み価格を下げている中、CELトークンは対米ドルで価格を上昇させています。
6月下旬から三日間で40%の上昇となっており、全体的に地合いの悪い仮想通貨市場でも力強さを見せる数少ない銘柄と言えるでしょう。
やはり、10万BTCの預かり資産を超えたCelsiusのプラットフォームが注目されているのが大きな要因だと考えられます。
CELトークンは史上最高値へもう一度
CEL/USD4時間足チャートでは、中期的に史上最高値へ向けて上昇していく展開が予想できます。
現在の急騰から、過去には4.6ドルから史上最高値へ向けて上昇しており、同水準まで2度到達してきました。
6月下旬の急騰前水準は、前回と同様の水準で反発を見せ、現在の上昇トレンドを支えているのが分かります。
6月下旬以前までの下落は、時間をかけて価格を下げてきたのに対し、数本の陽線で7割近い下落幅を戻していることから、再び史上最高値を目指す可能性が高いでしょう。
仮想通貨Celsiusとは? まとめ
今回は「仮想通貨Celsiusとは?基本情報・将来性・価格推移まとめ」のテーマでした。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 仮想通貨Celsiusとは、「仮想通貨の銀行」を運営するプロジェクト
- 預かり資産は10万BTCを超え、投資家や取引所からの需要が拡大中
- 国際基準のセキュリティ規格を取得し、信頼性が高まった
- 5%を超える利率が長期投資先としてCELトークンが注目されている
- FTXで全体の3割が取引されている
仮想通貨と銀行のキーワードで発足されたプロジェクトは、仮想通貨Celsiusだけではありません。
しかし、知名度や実際の需要拡大を踏まえて、仮想通貨Celsiusの規模が群を抜いています。
実際に、仮想通貨の銀行に求められるセキュリティ基準をクリアしており、預かり資産が増加しているのは仮想通貨Celsiusの強みと言えるでしょう。
本記事執筆時点では、Binanceや日本国内取引所に上場しておらず、今後は上場先も踏まえて注目したい銘柄の1つです。
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