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エネルギー株が再びヒートアップする中、このETFに注目

ストーリーハイライト

2024年、原油価格は急騰しており、エネルギー関連株も上昇傾向にあります。株価上昇の可能性と割安なバリュエーションに基づき、エネルギー株には十分な上値余地があると考えられます。その投資手段として、「エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド」(NYSEARCA:XLE)は、効果的な選択肢です。

同ETF(上場投資信託)は、年初来で16%上昇し、52週間ぶりの高値を更新しています。

エネルギーセクターの勢い、優れたエネルギー銘柄のポートフォリオ、そして2024年の好調なパフォーマンス後でも割安とされるバリュエーションから、XLEが注目されています。また、コスト効率の良い経費率と3%の配当利回りも魅力的です。

エネルギー価格に有利な環境か?

原油価格は現在、年初来で18.6%上昇しており、原油の採掘、精製、販売を行うエネルギー関連銘柄を後押ししています。多くのアナリストは、原油価格にはまだ上昇余地があると考えています。ロシアは現在、減産を進めており、これが供給減少につながる見込みです。

ゴールドマン・サックス(NYSE:GS)のアナリストは、金利の低下、製造業の回復、地政学的リスクの継続を背景に、原油を含むコモディティ全般が2024年にかけて大きく上昇すると予想しています。

ゴールドマン・サックスのアナリストだけでなく、ゴールドマンの元コモディティ調査部長で、現在はカーライル・グループに所属するジェフ・カリー氏も、原油価格にとって好環境と考えています。カリー氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後数カ月以内に利下げを実施すれば、原油価格は1バレルあたり70~90ドルの標準を「はるかに上回る」可能性があると考えています。

カリー氏は、FRBの動き以外にも、中国が製造業を強化する動きや、欧州がエネルギー備蓄の再構築に取り組むなど、さらなるカタリストとなる要因を指摘しています。

XLEの戦略

XLEは、S&P500(SPX)の「エネルギーセクターを効果的に代表することを目指す」インデックス(エネルギー・セレクト・セクター・インデックス)に連動する投資成果を目指します。XLEは、投資家に「石油、ガス、消耗燃料、エネルギー機器、サービス業界の企業への的確なエクスポージャー」を提供することを目指しています。

このETFは1998年に設定され、現在の市場においてエネルギーをテーマとしたETFの中で最大かつ最も人気があります。運用資産は393億ドルで、次に大きい競合であるバンガード・エネルギーETF(NYSEARCA:VDE)の87億ドルの4倍近い規模となっています。

優れた評価の上位保有銘柄

XLEはわずか24銘柄で構成されています。上位10銘柄がポートフォリオの76.2%を占め、トップ銘柄のエクソンモービル(NYSE:XOM)とそれに続くシェブロン(NYSE:CVX)のウェイトがそれぞれ22.8%と16.5%と大きいため、分散が効いたETFではありません。しかし、米国エネルギーセクターを対象とした投資としては、XLEはその役割をよく果たしています。

以下は、TipRanksの保有状況ツールを使ったXLEの上位10銘柄の保有状況です。

なお、XLEが保有する銘柄の中には、TipRanksのスマートスコアで素晴らしい評価を得ているものがあります。

スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的な株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づいて、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上はアウトパフォームと評価されます。

上位10銘柄のうち、6銘柄がスマートスコアで高い評価

XLEの上位10銘柄のうち6銘柄が、アウトパフォーム相当のスマートスコア8以上を獲得しています。シェブロンは「パーフェクト 10」でトップに立ち、エクソンモービル、フィリップス66 (NYSE:PSX)、マラソン・ペトロリアム (NYSE:MPC)、ウィリアムズ (NYSE:WMB)のスマートスコアも、すべて10点満点中9点と優れています。

XLE自体のETFスマートスコアは10点満点中8点で、アウトパフォームに相当します。

これらの保有銘柄はスマートスコア・システムに基づいて高いスコアを獲得しており、2024年においても好調な株価パフォーマンスを示していますが、ほとんどの場合、そのバリュエーションはまだ割安です。実際、4月2日現在、当ETFの平均PER(株価収益率)は13.6倍程度で、平均PERが23.6倍とはるかに高いS&P500指数と比べると大幅なディスカウントとなっています。

XLEの魅力的で信頼性の高い配当

エネルギー株は、安定的な高配当で長く知られており、XLEも同様です。ETFの現在の配当利回りは3%です。このETFの利回りは過去にはもっと高かったのですが、ETFの価格が上昇したため利回りは低下しました。3%の利回りは目を見張るほどではありませんが、それでもS&P 500指数の利回りの2倍以上です。さらに、XLEは24年連続で配当を支払っており、一貫性があります。

XLEの経費率は?

XLEの経費率はわずか0.09%で、非常に低コストです。この0.09%という経費率は、投資家がXLEに1万ドルを投資した場合、1年間で支払う手数料がわずか9ドルであることを意味します。

XLEが現在の経費率を維持し、年率5%のリターンを上げたと仮定すると、10年間に支払う手数料はわずか115ドルとなり、XLEは非常に費用対効果の高いETFとなります。

アナリストによれば、XLEは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、XLEのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄のコンセンサス評価に基づいており、「買い」20件、「中立」5件です。XLEの平均目標価格の101.57ドルは、今後12カ月で6.2%の上値余地を示唆しています。

結論

XLEは2024年に好スタートを切っており、今後も注目すべき点がたくさんあります。原油価格に有利な環境の可能性、XLEが保有する高評価のエネルギー銘柄、割安なバリュエーション、3%の魅力的な配当利回りにより、このエネルギーETFは注目されています。その低経費率も、エネルギーセクターへの投資手段として優れています。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、XLE ETF: Energy Stocks are Heating Up Again原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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