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ウォルマート株:AI関連銘柄としては過小評価されているが、実際は大規模投資を推進

ストーリーハイライト

ウォルマートは典型的なテクノロジー企業ではありませんが、テクノロジーだけでなく生成AI(人工知能)でも革新を続けています。同社はこういったテクノロジーの収益化を目指す中、株価は上昇を続ける可能性があります。

広大な実店舗ネットワークを有する巨大小売企業のウォルマート(NYSE:WMT)は、最先端のテクノロジー企業といったイメージもなければ、ましてやAI業界に食い込む存在と見なされることは少ないでしょう。しかし、実際はこれまで多額の投資を行ってきており、過小評価されているとはいえ、AIの恩恵を受ける大企業の一つに躍り出た可能性があります。

サプライチェーンからモバイルアプリまでAIを積極活用

実際、サプライチェーンからモバイルショッピングアプリまで、ウォルマートはAI技術を積極的に活用しています。

足元の業績拡大にもかかわらず、ウォルマート株にはさらなる上昇余地が残されているとみられ、アナリストのコンセンサス評価も「強気買い」です。同社が、世界最大級の小売企業であると同時にAI企業でもある、というイメージを強めていく中で、今後も株価は堅調に推移すると考えられます。

なお、ウォルマート株は過去5年間で94%上昇しています。

AIがウォルマートにとって想像以上に大きな意味を持つ理由

デジタルコマースを含むほぼすべての業界にAIが浸透するなか、ウォルマートはその規模を最大限に活かす絶好の立場にあります。AIとデータクラウドの時代において、「規模の経済」という要素の重要性はかつてなく高まっています。

ウォルマートは、AIでアマゾン(NASDAQ:AMZN)を凌駕する革新的な企業にはなれないかもしれません。とはいえ、ウォルマートがAI戦略を堅持することで大きな勝者となりうるでしょう。

今後、ウォルマートはAIを活用して、顧客のショッピング体験と価値提案を向上させるでしょう。例えば、在庫管理機能を備えたAI搭載の床洗浄機は、大幅なコスト削減につながり、長期的な利益率向上につながる可能性があります。

ウォルマートのAI戦略を強化するビジオ買収

ウォルマートによるスマートテレビ・メーカー、ビジオ(NYSE:VZIO)の買収は、表面的には、ウォルマートの低価格帯家電部門の定番商品を社内に取り込むだけの動きに見えます。しかし、これは、ウォルマートがデジタル広告の分野で大きな存在感を発揮する可能性があるとして、最近注目を集めています。さらに、ウォルマートは、ビジオをビデオストリーミングビジネスに参入する足掛かりとして利用し、「ウォルマート+」のサブスクリプションにまた新たな特典を加えることができるかもしれません。

いずれにせよ、ウォルマートはアマゾンに追随する構えのようです。具体的には、広告、動画配信、そして広告付き動画配信への進出が考えられます。ビジオは、ウォルマートが、テックの巨人であるアマゾンとの差を縮めるために活用できる強力なツールとなるでしょう。

アナリストによると、ウォルマート株は「買い」か?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が25人、「中立」が3人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は65.73ドルで、今後12カ月で10.6%の上値余地を示唆しています。アナリストの目標株価は、安値58.99ドルから高値75.99ドルの範囲です。

結論

ウォルマートは、小売の優位性に甘んじている企業ではなく、AI主導のテック企業になりつつあることが明らかになりつつあります。同社がAI技術に多額の投資を行ってきたことは、株主にとって大きな利益をもたらす戦略と言えるでしょう。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Walmart Stock (NYSE:WMT): Why It’s a Highly Underrated AI Beneficiary原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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