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半導体以外の「強気買い」テック株でベストの銘柄は?

ストーリーハイライト

テック株は全体として高値圏で推移する可能性がありますが、そうでなくともウーバー、グラブ、エクイニクスなどの「強気買い」テック銘柄は今後も上昇する可能性があります。ウォール街は、春のシーズンに向けて、この分野にはまだ十分な価値があると見ています。

過熱する半導体株を除くと、テック株はそれほど割高ではない

テック株は熱を帯びています。生成AIと予測AIは一種の熱狂を引き起こしていますが、ナスダック100指数(NDX)を大きく動かす可能性があるのはその関連銘柄だけではありません。過熱する半導体株を除けば、テック株の多いナスダックはそれほど割高ではありません。実際、JPモルガン(NYSE:JPM)は最近、「マグニフィセント・セブン(ナスダック100の最大の構成銘柄)」は、少なくとも他の銘柄と比べて割安に見えると指摘しています。

そこで今回は、比較的手ごろな価格でテック株の波に乗れる、大手ライドシェアのウーバーとグラブ、データセンターを対象とする不動産投資信託(REIT)のエクイニクスの3銘柄をご紹介します。TipRanksの比較ツールによれば、この3銘柄に対するアナリストのコンセンサス評価は「強気買い」です。

ウーバー (NASDAQ:UBER)

ウーバー株は、過去1年間にわたり、変化を通じて躍進を遂げた企業の一つであり、株価は2022年7月の安値から260%以上上昇しています。この大手ライドシェア株が2年弱前に史上最安値付近をうろついていた時には、同社が黒字化に成功するかどうか、多くの懸念がありました。

それでも、ウォール街アナリストの大半は、ウーバー株が最も暗い底に沈む中であっても、強気(「買い」評価)を維持し、その後の数年間で、彼らの見立てが的確であったことが証明されました。ウーバーの株価が大きく上昇した後も、アナリストは推奨銘柄の格下げを急いでいません。アナリストの間では「強気買い」の評価が続いています。

トップアナリスト、株価下落時に既に選好し、上昇後も推奨継続

トップアナリストは、ウーバー株が23ドル前後で取引されていた頃に既に選好していましたが、79ドルを超えても推奨を続けています。その理由は、同社がエンジン全開でビジネスを展開しているためです。そして、成長能力を損なうことなく、コスト管理を徹底しています。2023年第4四半期のモビリティ売上高は前年同期比34%増となり、ウーバーは初の年間黒字を達成しました。

将来的には、定額制サービス「Uber One」がライバルをさらに引き離すことになるでしょう。さらに、先のある時点(5~10年程度を想定)では、自動運転車の台頭は、自動運転ロボタクシー時代移行に最も適した企業のひとつであるウーバーにとって、収益原動力となる可能性があります。

ウーバー株の目標株価は?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が34人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の86.09ドルは、今後12カ月で9.2%の上値余地を示唆しています。

グラブ (NASDAQ:GRAB)

ウーバー株の数年にわたる急騰に乗り遅れたと感じていれば、グラブ株は手に入れる価値があるかもしれません。1株あたり10ドル台後半からわずか3ドル台まで暴落した後、東南アジアに特化したこのライドシェア企業は、ボラティリティに強い人にとっては割安に見えるかもしれません。

しかし、少なくとも株価を売上高で見た場合には割高です。本稿執筆時点では、グラブの株価売上高倍率(PSR)は5.1倍で、ウーバーの4.4倍をわずかに上回っています。

黒字化達成に加え、大規模な自社株買い計画も発表

ウーバーと同様、グラブもここ数カ月で黒字化に向けて大きく前進しています。最新の四半期決算で、グラブは黒字化という偉業を達成し、同時に5億ドルもの自社株買い戻し計画を発表しました。

実際、この2つのポジティブな動きは、低迷から上昇を維持しようとするグラブの株価を支えるには十分すぎるものです。しかし今のところ、株価は依然として溝にはまり込んでいるとみられ、株価は過去2年間は横ばいが続いています。

しかし今後、グラブは2024年(そしておそらくそれ以降)に向けて、売上高、フリーキャッシュフロー、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を上昇させ続けようとしています。そして、自動運転の台頭は、グラブの株価上昇に必要な一撃を与える可能性があります。

実際、グラブのストーリーはウーバーのそれと「韻を踏んでいる」ようです。ライドシェアの環境は好転しつつあり、そして、グラブがその有望な道を進むことができれば、株価は平均以上に上昇する可能性があります。

グラブ株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、10人全員が「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の4.43ドルは、今後12カ月で35.7%の上値余地を示唆しています。

エクイニクス (NASDAQ:EQIX)

AI対応のデータセンターをめぐる話題は多く、AI半導体そのものよりも勢いを増している取り組みもあります。一部のデータセンター関連銘柄は活況を呈していますが、エクイニクス(デジタル・インフラREITで、分配金利回りは1.9%)は、AIゲームへの関与が高まっていることを考えると、価格は控えめで、おそらく割安でさえあります。

エクイニクスの価格は、最近900ドル目前で史上最高値を更新し、大ブレイクの兆しを見せています。これは何年もかけて実現したものですが、AIがより重視される未来に光が当たるにつれて、さらなる高みが目前に迫っていると考える理由があります。

AIインフラへの需要拡大から大きな恩恵享受へ

エクイニクスは、830億ドル規模の巨大REITとして、すでに目覚ましい地理的広がりを見せています。一流の液体冷却システム、管理サービス、優れたAIシステムを収容する手段を持つエクイニクスは、AIインフラへの需要が高まるにつれ、大きな恩恵を受けるでしょう。今後、エクイニクスはデータセンター事業に3億9,000万ドルを投じ、アフリカでの事業拡大を目指します。

先週、バンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)のDavid Barden氏は、目標価格1,000ドル(約14%の上値余地を示唆)と共に「買い」レーティングを再表明したばかりです。価格が4桁の大台に乗ると予想しているアナリストは、彼だけではありません。

エクイニクスの目標価格は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が14人、「中立」が3人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標価格の918.81ドルは、今後12カ月で4.65%の上値余地を示唆しています。

結論

前述のライドシェア企業(ウーバー、グラブ)とデータセンター関連REIT(エクイニクス)には、ここから上昇を持続させる強力な牽引力があります。各牽引力は、他のテック分野が直面しているドライバーに比べ、それほど大きく取り上げられていないようです。この3銘柄の中では、アナリストはグラブ株が最も上昇する可能性があると見ています(約36%)。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、UBER, GRAB, EQIX: Which Tech Stock Is the Best Buy?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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