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テスラの株価が反転、成長は持続するのか?

ストーリーハイライト

テスラ株は、4月23日の時間外取引で13%超急騰しました。同日発表された2024年第1四半期決算発表によれば、低価格EV(電気自動車)を含む新製品投入を加速する方針です。

年初来で約42%下落していたテスラ(NASDAQ:TSLA)の株価は、23日(火曜)の時間外取引で13.33%上昇し、反転しました。この上昇は、同社がより手頃な価格のモデル発売を加速させると発表したことによるものです。

経営陣、低価格EVの投入にもかかわらず、2024年については慎重な姿勢を崩さず

なお手頃な価格のEV投入というポジティブな施策にもかかわらず、テスラの経営陣は2024年については慎重な姿勢を崩しておらず、販売価格低迷の伸び率に懸念を表明しています。この慎重な見通しは、テスラ株の短期的な見通しにネガティブな影響を与える可能性があります。

テスラが、第1四半期の低調な業績を報告したことは注目に値します。調整後EPS(1株当たり利益)は0.45ドルで、前年同期比47%減と大幅な減少となり、市場予想も下回りました。また、売上高もアナリスト予想の222億5,600万ドルを下回る213億1,000万ドルでした。

投資家、新モデル投入の加速を歓迎

テスラは、低価格版を含む新モデルの投入を加速するため、今後の車両ラインアップを更新しました。テスラ株の急騰からもわかるように、投資家はこのアップデートを歓迎しました。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、第1四半期の電話会議で、同社は当初、これらの新モデルを2025年後半に生産する予定だったと述べました。しかし、今回の決算発表によれば、生産開始は2025年初頭に近く、もしかしたら年内に生産を開始する見込みと表明しました。

次期モデルは、次世代プラットフォームと既存プラットフォームの要素を活用する予定です。さらに、次期モデルは、現行車種と同じ生産ラインで生産される予定です。

新型車投入の加速により、テスラのコスト削減効果は低下するかもしれませんが、車両台数は効率的に増加するでしょう。

テスラへの逆風は続く

テスラはより安価なモデルの発売で恩恵を受けそうですが、現在進行中のマクロ経済および競争上の逆風が短期的には引き続き足かせとなる可能性があります。テスラは、価格引き下げにもかかわらず、第1四半期の納車台数が予想を下回ったことを報告しました。これは、金利上昇とハイブリッド・モデルへの持続的な需要により、世界のEV販売が引き続き厳しい状況にあることを示しています。

さらに、特に中国を中心とした競争環境の激化が引き続き懸念材料となっており、価格設定への圧力が続くでしょう。また、テスラの経営陣は、車両台数の成長率が2023年に達成した成長率を大幅に下回る可能性があると付け加えています。これらすべての逆風は、テスラ株の上昇ポテンシャルを抑制し続ける可能性があります。

テスラ株は「買い」か、「売り」か、「中立」か?

みずほ証券の五つ星アナリストのビジェイ・ラケシュ氏は、低価格EVを含む新製品投入の加速はポジティブと指摘しています。しかし、同氏は、第1四半期決算発表後、テスラ株のレーティングを「中立」に据え置きました。ラケッシュは、EV需要の低迷と価格圧力によって、短期的にはテスラは困難に直面すると見ています。

TipRanksによれば、テスラ株のコンセンサス評価は「中立」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングの、「買い」7人、「中立」20人、「売り」7人に基づきます。平均目標株価の182.58ドルは、今後12カ月で約26.20%の上値余地を示唆しています。

結論

EV需要の鈍化と平均販売価格の低下による利益率圧迫は、テスラ株の足かせとなりそうです。しかし、手頃な価格のモデル発売を加速するという同社の取り組みは、販売台数を押し上げ、テスラの長期的な成長を支えるものとなりそうです。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Tesla Stock (NASDAQ:TSLA) Reversed Its Course; Will the Growth Sustain?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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