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強力な半導体ETFにさらなる上値余地

ストーリーハイライト

iシェアーズ半導体ETF (NASDAQ:SOXX)は、過去1年間で56.8%という驚異的な上昇率を記録していますが、この強力なETF(上場投資信託)は今後もさらに上昇する可能性があります。

SOXXの強みは、評価の高い半導体銘柄の強力なポートフォリオであること、半導体業界の長期的な成長見通し、長期的に市場を凌駕するパフォーマンス、そしてその構成銘柄の多くが、好調なパフォーマンスから想像されるよりは割安なことが挙げられます。

SOXX ETFの戦略は?

SOXXは、ブラックロック(NYSE:BLK)のiシェアーズが提供するインデックスETFで、ブラックロックによると、投資家は「半導体を設計、製造、販売する米国企業へのエクスポージャー」を得ることができます。

半導体への投資はもう遅い?

SOXXの過去1年間の目覚ましい上昇と、半導体株全般の勢いから、多くの投資家は半導体セクターへの投資は遅すぎるのではないかと考えるかもしれません。朗報は、この分野がかなり上昇したとはいえ、業界全体にはまだ成長の余地があるということです。マッキンゼーのアナリストは、今後10年間で市場は80%成長し、2030年には1兆ドルに達すると予想しています。

生成AIの拡大がこの成長を牽引する最もエキサイティングな分野であることは間違いありませんが、自動運転車、高性能コンピューティング、モノのインターネット(IoT)など他の有望分野も同様に半導体需要をさらに牽引するとみられます。

SOXXの保有銘柄

SOXXは米国の半導体銘柄に方向性を向けたETFであるため、特に分散投資されているわけではありません。SOXXは30銘柄を保有しており、上位10銘柄でポートフォリオの60.1%を占めています。以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使ったSOXXの上位10銘柄の概要です。

SOXXは、エヌビディア (NASDAQ:NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (NASDAQ:AMD)、ブロードコム (NASDAQ:AVGO)などの上位保有銘柄で大きなポジションを構成しています。これらの銘柄は過去1年間でそれぞれ239.7%、121.5%、113.9%上昇しており、SOXXの絶好調のパフォーマンスを後押ししています。

エヌビディアのエクスポージャーはSMHよりかなり低い

これらは大きなポジションですが、SOXXのエヌビディアへのエクスポージャーは、半導体ETF分野で最大の競合であるヴァンエック半導体ETF (NASDAQ:SMH)よりもかなり低いということは興味深いことです。エヌビディアの株価が下落するイベントが発生した場合、SMHに比べてSOXXのリスクが多少軽減されます。

これらの生成AIチップのリーダー以外にも、アプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)、ラムリサーチ(NASDAQ:LRCX)、ASMLホールディングN.V.(NASDAQ:ASML)、台湾積体電路製造(TSMC、NYSE:TSM)など、半導体ファブリケーターや半導体製造プロセスで使用される複雑な装置や機械を製造する企業を含む、半導体バリューチェーンのあらゆる側面の銘柄がSOXXに含まれています。

半導体サプライチェーンにわたる銘柄を含めることでSOXXの分散性を高める

このように、半導体サプライチェーンのさまざまな部分の銘柄をポートフォリオに加えることで、SOXXの分散性を高めています。そして、これらの銘柄は過去1年間、優れたリターンを創出した素晴らしい銘柄です。アプライド・マテリアルズは過去1年間で74.5%増、ラムリサーチは89.1%増、ASMLは43.6%増、TSMCは42.8%増です。

さらに、これらの銘柄は急騰したとはいえ、バリュエーションは割高ではありません。例えば、TSMCのPER(株価収益率)はコンセンサス2024年業績予想に基づけば20.2倍で、アプライド・マテリアルズは24.5倍です。これらの数字は決して低くはありませんが、市場全体とほぼ同水準であり、これほど好調な銘柄としてはかなり魅力的です。

スマートスコアも全般的に良好

最後に、これらの銘柄はTipRanksのスマートスコア・システムにより、非常に好意的に見られています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的な株式スコアリング・システムです。スマートスコアは、8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8以上はアウトパフォームと評価されます。ASMLとTSMCはスマートスコアが「パーフェクト10」であり、アプライド・マテリアルズのスマートスコアは「アウトパフォーム」相当の「9」、ラムリサーチのスマートスコアは「ニュートラル」相当の「7」です。

SOXXの他のポートフォリオを見ると、上位10銘柄のうち9銘柄がアウトパフォーム相当のスマートスコア8以上を獲得しています。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ブロードコム、マーベル・テクノロジー(NASDAQ:MRVL)、そして前述のASMLはいずれも10点満点中10点のスマートスコアを獲得しています。

スマートスコア・システムはSOXX自体も好意的に評価しており、アウトパフォーム相当の8です。

優れた長期パフォーマンス

端的に言えば、SOXXの長期パフォーマンスは市場全体を圧倒しています。1月31日現在、SOXXの過去3年間の年率リターンは16.0%、過去5年間は31.1%、過去10年間は24.5%です。

これに対し、1月31日現在、バンガードS&P 500 ETF (NYSEARCA:VOO) のリターンは過去3年で11.0%、過去5年で14.2%、過去10年で12.6%でした。

一方、インベスコQQQトラスト (NASDAQ:QQQ)に代表されるテック中心のナスダック100指数(NDX)のリターンは、過去5年で20.7%、過去10年で18.1%です。

SOXXはその過程で多くのボラティリティを経験してきたため、常に順調だったわけではありませんが、長期トレンドは明らかに「右肩上がり」です。例えば、SOXXは2022年にその価値の35.1%を失いましたが、2023年には67.1%のリターンで跳ね返しました。

SOXXの経費率は?

SOXXの経費率0.35%は、ETFへの投資家が毎年1万ドルの投資に対して35ドルの手数料を支払うことを意味します。これは、前述のSMHやSPDR S&P半導体ETF (NYSEARCA:XSD)のような他の人気ETFと同じ経費率です。

アナリストによると、SOXXは「買い」?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、SOXXのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、保有銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価である、24件の「買い」、7件の「中立」、0件の「売り」に基づきます。SOXXの平均目標価格の666.76ドルは、今後12カ月で8.5%の上値余地を示唆しています。

結論

過去10年間の市場を打ち負かすパフォーマンス、半導体のバリューチェーン全体の高評価銘柄のポートフォリオ、および半導体業界の長期的な成長見通しに基づいて、アナリストはSOXXに強気です。同ETFは絶好調ですが、SOXXへの投資を検討するのはまだ遅くはなく、保有銘柄には力強い成長見通しがあり、その多くが予想よりも割安であるため、今後さらに上昇する余地があります。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SOXX: This Powerhouse Semiconductor ETF Has More Upside Ahead原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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