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世界最大の小売REIT、堅調な業績で連続増配

ストーリーハイライト

世界最大の小売関連REIT(不動産投資信託)のサイモン・プロパティ・グループ(NYSE:SPG)は、連続増配を行い、強気の見方を強めています。新型コロナ・パンデミック後の回復を受け、財務の改善が続いており、最近も複数回の増配を実施しました。

実際、同REITは2023年に過去最高の1株当たりFFO(営業活動から得たキャシュフロー、REITが使用するキャッシュフロー指標)を記録し、パンデミック前の水準を初めて上回りました。

自己管理型の同REITは好調な財務実績が強気見通しを裏付けており、魅力的な投資対象と考えられます。

パンデミック後の完全回復が増配を牽引

サイモン・プロパティを含む小売REITは、パンデミックの大きな困難を克服した後、稼働率の著しい回復を経験しました。サイモン・プロパティは、賃貸料率の上昇も相まって、完全な回復を遂げました。これにより、一連の大幅な増配に成功しています。

そもそも、この数四半期で小売業者が個人消費に対する自信の高まりを感じていることが、すべての始まりです。小売企業の楽観的な見方は、心強い「ソフトランディング」シナリオを指し示すいくつかの指標に後押しされているようです。低失業率やインフレの緩和などです。その結果、サイモン・プロパティの稼働率は大幅に上昇し、年末には95.8%に達しました。

同時に、サイモンは物件に対する大きな需要を捉え、賃貸料の引き上げを追求し、年末時点の最低賃貸料は56.82ドルとなり、前年比3.1%上昇しました。サイモン・プロパティ・グループの質の高い物件ポートフォリオを裏付けるものです。

入居率の上昇と賃料値上げで増収増益に

入居率の上昇と基本最低賃料の記録的な水準が相まって、2023年の総収入は前年比7%増の56億6,000万ドルとなりました。興味深いことに、これはパンデミック前の2019年の総収入56.7億ドルに著しく近づいており、パンデミック後の完全な回復を示すものです。

2023年に利益水準はさらに印象的で、年間の一株当たりFFOは12.51ドルに着地し、昨年の11.95ドルを上回り、2019年の12.37ドルから新記録を打ち立てました。

サイモン・プロパティの収益性がこれほど勢いよく回復したことは、世の中のほとんどのREITが現在、数十年来の高金利のネガティブな影響を感じていることを考えると、非常に印象的です。サイモン・プロパティは、この分野で最大のREITでありながら、その質の高いポートフォリオを活用して魅力的な信用力を維持しています。

経営陣、増配の継続に自信

このように信用力が高く、1株当たりFFOも過去最高を更新していることから、サイモン・プロパティの経営陣は、パンデミック後の積極的な増配の継続に自信を持っています。下の棒グラフにあるように、サイモンはパンデミック発生後、危機管理のために配当を削減しました。しかし、これまでに9回の増配が行われ、直近では1.95ドルに引き上げられ、四半期配当率はパンデミック前の水準である2.10ドルに近づいています。

出典:SEC提出書類、筆者作成

サイモン・プロパティがさらなる増配を容易に行えることを示すもう一つの要因は、同REITが最近20億ドルの自社株買いプログラムを発表したことです。これは、顕著な余剰キャッシュを意味するだけでなく、それはまた、経営陣がサイモンの現在のバリュエーションが魅力的であることを示唆しています。

アナリストによると、SPGは「買い」か?

サイモン・プロパティ・グループに対するウォール街の見方は、やや保守的です。過去3カ月間のアナリストレーティングでは、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。アナリストの平均目標価格は150ドルで、今後12カ月で4.5%の上値余地を示唆しています。

サイモン・プロパティの売買で適切なアナリストをお探しなら、ゴールドマン・サックス(NYSE:GS)を代表するCaitlin Burrows氏です。同氏の1年間のパフォーマンスは傑出しており、レーティングごとの平均リターンは34.17%、成功率は100%という素晴らしい実績を誇っています。

結論

サイモン・プロパティ・グループのコロナ後の力強い回復は、稼働率の向上と賃貸料の上昇によって顕著であり、一連の増配への道を開きました。同REITは、記録的な1株当たりFFOと配当性向の改善で、2023年を好調に終了し、増配を持続する可能性が高いことを示しています。これに加え、強固な信用力と魅力的な配当利回りにより、有望な投資ケースとなっています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SPG Stock: Barrage of Dividend Increases Boosts Bull Case原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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