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AIの追い風を受けつつ、見過ごされている「強気買い」テック株3銘柄

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投資家は、現在注目度の低いAI関連銘柄にも目を向けるべきです。ウォール街では、知名度の低い中小型テック企業が、AIブームの継続的な恩恵を大きく受ける可能性があるとみられています。

進行中の生成AI革命の恩恵を受けるのは、「マグニフィセント・セブン」のテック銘柄だけではありません。他の銘柄にも多くの成長可能性があります。この記事では、TipRanksの比較ツールを使い、投資家にもっと注目されるべき、AIの追い風を受けるテック株3銘柄である、SAP、ウィックス、そしてギットラボを取り上げます。

これら3銘柄はいずれもアナリストから「強気買い」のコンセンサス評価を得ています。これらは妥当な価格のAI成長株であり、巨大ハイテク企業がAI投資に惜しみない資金を投じる中においても、遜色ない輝きを放っています。

SAP (NYSE:SAP)

SAPはドイツの業務用ソフトウェア会社で、米国の多くの投資家が見限ってしまったかもしれません。同社株は2022年の売りの流れのなかで急落し、2020年のピークから2022年の底値まで50%以上も下落しました。しかしその後、SAP株は飛躍的な上昇を見せています。

クラウド事業の見事な復活と収益性の向上(2023年第4四半期の利益は44%急増)が、株価が長年の抵抗線を突破し、新たな高値を記録した主な理由です。

リストラを進め、AI関連で戦略的投資や提携

直近四半期では、経営陣はAIがSAPを長期的な成長軌道に乗せる助けになると確信する「ビジネスAI」についても言及しました。8,000人の人員削減を含むリストラ計画が進行中であることを考えると、SAPが効率性を重視する他の多くの企業と同じ手法を採用していることは間違いなさそうです。

SAPは、Anthropic(AIチャットボットClaudeの開発元)やカナダのCohereを含む新進気鋭のAI企業に戦略的投資を行っています。また、エヌビディア (NASDAQ:NVDA) と提携し、企業のAI導入を加速させています。これにより、AI活用が広がる中、SAPはテック界の巨大企業7社とともにAIから恩恵を受ける存在になると目されています。

SAP株の目標株価は?

TipRanksによれば、SAP株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が5人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は207.33ドルで、今後12カ月で12.5%の上値余地を示唆しています。

ウィックス・ドット・コム(Wix.com, NASDAQ:WIX)

ウィックスはイスラエル拠点のeコマース企業で、AIへの支出拡大により恩恵を受ける存在とみられます。同社は、直感的なAI搭載ウェブビルダー(開発プラットフォーム)で知られ、AI支援によるウェブ開発の先駆者とされています。ウィックスはウェブビルダーをよりスマートに、使いやすく進化させ続けていることから、直近の15%以上の株価上昇というモメンタムにかかわらず、アナリストは強気スタンスを崩していません。

全体として、ウェブサイト構築とAIは完璧な組み合わせです。近年はAI支援によるコーディング支援ツールについて多く聞きますが、ウェブサイトデザイナーがHTMLやCSSに触れる必要がないAIウェブ制作ツールについては目立たない傾向があります。ウィックスは長い間ウェブサイト構築の分野に携わってきました。AIを搭載することで、同社は競争優位性をさらに高められる可能性があります。

空間コンピューティングの普及も追い風に

さらに、空間コンピューティング・インターフェースのデザインが普及するにつれ、AIツールは、人々が次世代ウェブに合わせた技術を再習得することなく、最高品質の空間ウェブプレゼンスを構築するソリューションになると考えられます。

「AIは私たちのビジネスの自然な延長線上にあり、AIアルゴリズムが高度化すればするほど、ウィックスも向上します」と、共同創業者兼CEOのAvishai Abrahami氏は述べています。

ウィックス株の目標株価は?

TipRanksによれば、ウィックス株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が17人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は157.29ドルで、今後12カ月で19.9%の上値余地を示唆しています。

ギットラボ (GitLab, NASDAQ:GTLB)

ギットラボは米国のソフトウェア企業で、DevOps(開発・運用)、DevSecOps(開発・セキュリティ・運用)ソリューションを提供しています。2021年の株式公開以降、ジェットコースターのように激しい株価の乱高下に耐えてきました。初値をピークとして株価は約48%下落しています。

同社はAIツールキットの拡充に努めており、この時価総額92億ドル規模のテック企業の株価が再び137ドルの過去最高値を更新する可能性もありえます。経営陣が「プライバシー、セキュリティ、透明性に根ざした」生成AI を重視しており、アナリストは回復局面への期待を込めて強気姿勢を維持しています。

開発者向けの強力なAIエコシステムを構築し、先陣を切る

GitLab Duo(コーディングに関するAI支援ツール)により、同社はDevSecOps開発者向けの強力なAIエコシステムを構築し、先陣を切ろうとしています。AIによるコードの提案から脆弱性の検知、説明可能性(AIの判断・予測を人間が理解できるようにすること)に至るまで、GitLab Duoは大手ライバルに対抗するための秘密兵器となり得ます。

ギットラボ株の目標株価は?

TipRanksによれば、ギットラボ株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が4人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は73.35ドルで、今後12カ月で26.6%の上値余地を示唆しています。

結論

AI関連の勝者が増えつつあり、そこには復活したレガシー企業や知名度の低い躍進中の小型株も含まれることから、投資家は物色対象の拡大を検討すべきでしょう。今回の3銘柄の中では、アナリストは、今後1年間ではギットラボ株で最大の上昇可能性(約26.6%)を見込んでいます。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SAP, WIX, GTLB: Which “Strong Buy” Tech Stock Is Best?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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