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セールスフォース株:年初来85%上昇で勢い止まらず

ストーリーハイライト

クラウドベースの企業向けCRM(顧客管理)ソリューションを提供しているセールスフォース(NYSE:CRM)の株式は、年初来で85%も上昇しています。企業向けソフトウェア市場の減速をものともせず、これほど驚異的な上昇を記録しています。投資家は、セールスフォースの旺盛な売上高の伸びと、それ以上に素晴らしい利益の伸びを高く評価しています。そして同社は、Einstein GPTで生成AI(人工知能)の波にも乗っており、良好な収益成長見通しと相まって、セールスフォースの株価上昇は当面続きそうです。

増収の勢い衰えず

企業向けソフトウェア市場は依然として低迷しており、この分野の企業は売上高の伸びが大幅に減速しています。しかし、セールスフォースはこの分野で成熟した巨大企業であり、売上高はすでに300億ドルを超えているにもかかわらず、その伸びは依然として2桁台です。

先日発表された2024年第3四半期(2023年8-10月)決算発表では、売上高が87億2,000万ドルに達し、為替変動を除いたベースでは前年同期比11%増と好調でした。この数字は、前四半期(第2四半期の売上高成長率も11%)の勢いに続くもので、厳しい市場環境の中で持続的な上昇軌道を示しています。

下のチャートはセールスフォースの四半期売上高の推移です(単位:10億ドル、濃い方はアナリスト予想値、薄い方は発表値)。

この顕著な売上高の拡大は、Tableau、Slack、MuleSoft、Data Cloud、Sales Cloud、Service Cloudなど、セールスフォースの多様なクラウドプラットフォームのたゆまぬ成功によって推進されています。

全般的に企業が財政的に慎重な状況にあり、CRMソリューションを活用する大手企業にセールスフォースのソフトウェアが広く導入されているにもかかわらず、同社は提供する製品をクロスセルする卓越した能力を発揮し、収益を伸ばしています。

AIの波に乗り、成功を収めるセールスフォース

AIの波が各業界に押し寄せる中、セールスフォースはCRM領域でAIに関する戦略的態勢を整えています。同社がCRM向けの世界で最も優れた生成AIであるEinstein GPTを発表したのは、それほど前のことではありません。それ以来、Einstein GPTは、予測能力と生成能力の優れた融合により、毎週1兆件という驚異的なトランザクションが注目されています。

そして注目すべきは、Einstein GPT Copilot が数カ月前に市場に投入されたばかりにもかかわらず、Fortune 100 企業の 17% を含む確固たる顧客ベースを迅速に獲得したという事実です。この急速な採用は、その能力の証であり、セールスフォースを飛躍的な成長トレンドに導くものです。

利益率の拡大が驚異的な収益成長を牽引

2023年初めにアクティビスト投資家がセールスフォースに群がり、利益率改善に注力するよう経営陣に要求した後、収益は雪だるま式に増加し始めました。第3四半期の調整後営業利益率は31.2%で、前年同期比で850ベーシスポイント上昇しました。これは過去2四半期に報告された合計1,000ベーシスポイントの拡大に続くもので、明らかに同社のポジティブなトレンドを形成しています。

特筆すべきは、第3四半期の営業キャッシュフローが15億ドルに急増し、前年同期比389%という驚異的な伸びを記録したことです。そして、フリーキャッシュフローは前年同期比1,088%増の14億ドルに急増し、並外れたフリーキャッシュフローへの転換を裏付けています。

セールスフォースの卓越した収益成長の継続を示唆する経営陣のガイダンスを考慮すると、株価がすでに大きく上昇しているにもかかわらず、力強い上昇を維持する可能性がある理由が明らかになります。

アナリストによれば、セールスフォース株は「買い」か?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が26人、「中立」が12人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。目標株価275.00ドルは、今後12カ月で10.5%の上値余地を示唆しています。

CRM 株の売買でどのアナリストに従うべきか迷っている場合、(1年間のタイムフレームで)最も収益性の高いアナリストは BMO Capital の Keith Bachman 氏で、1レーティングあたり平均リターン 21.64%、成功率 85% を誇っています。

結論

セールスフォースの年初来88%という驚異的な株価急騰は、その堅調な売上高成長、目覚ましい利益率の拡大、収益性指標によって正当化されます。業界標準を上回る売上高、AI統合の顕著な成功、有力顧客へのクラウドプラットフォームの効率的なクロスセルにより、セールスフォースは、不安定な企業向けソフトウェア市場において、勝ち続けることができる好位置にあると思われます。このような勢いがあれば、株価の上昇も持続し、市場を席巻する軌道を維持する可能性があります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Salesforce Stock (NYSE:CRM): The 85% YTD Rally Has No Brakes原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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