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強力な米小売ETF、パフォーマンスも良好

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「小売業は死んだ」と言う人は、おそらくヴァンエック小売ETF (VanEck Retail ETF、NASDAQ:RTH)を見ていないでしょう。このETF(上場投資信託)は、いくつもの有力な小売株を保有しており、過去5年から10年にわたって市場全体を上回る優れたパフォーマンスを上げてきました。

RTH ETFの戦略とは?

ETFのスポンサーであるヴァンエックによると、RTHは「MVIS US Listed Retail 25 Index (MVRTHTR)」と呼ばれるインデックスに連動する投資成果を目指します。小売流通、卸売、オンライン、ダイレクトメール、テレビ小売、専門小売、食品およびその他必需品小売に関わる企業の総合的なパフォーマンスを追跡することを目的としています。RTHは、投資家に「世界最大かつ最も取引されている小売企業25社」へのアクセスを提供します。

ヴァンエックは、「テクノロジーとイノベーションが小売業界を再構築している」と指摘しています。

ショッピングモールやショッピングセンターだけではない

RTHは25銘柄を保有しており、上位10銘柄でETFの71.5%を占めています。以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使ったRTHの上位10銘柄の概要です。

小売業というと、多くの人がまず思い浮かべるのは、人通りが減少する中、生き残りをかけて戦うショッピングモールの半分空っぽの衣料品店やシューズショップ、あるいは衰退しつつあるショッピングセンターにある不振のディスカウント小売店ではないでしょうか。しかし、RTHは、小売セクターにはもっと多くのものがあることを明らかにしています。

アマゾン、ホーム・デポ、コストコ、ウォルマートの強力なラインナップ

アマゾン(NASDAQ:AMZN)のような銘柄がここにあることに驚かれるかもしれません。多くの人は、時価総額1兆9,000億ドルの巨大企業をテック銘柄と考えています。しかし、その巨大な物流ネットワークと広大なショッピング・プラットフォームは、アマゾン・プライム会員向けの無料かつ迅速な配送はもちろんのこと、ワンクリック・チェックアウトによる自宅からの買い物の利便性を顧客に提供し、侮れない小売巨大企業となっています。アマゾンはETFの保有銘柄の中で断トツのトップで、ウェイトは20%です。

アマゾン以外にも、RTHはホーム・デポ(NYSE:HD)、コストコ(NASDAQ:COST)、ウォルマート(NYSE:WMT)など、小売セクターの主役級銘柄の大きなポジションを有しており、それぞれ9.1%、8.2%、7.2%となっています。

4主要銘柄がパフォーマンスを牽引

一見すると、最も魅力的でエキサイティングな銘柄ではないかもしれませんが、長期にわたって素晴らしいパフォーマンスを発揮しています。アマゾンの株価は過去10年間で888.1%のリターンを上げています。

他の3主要銘柄も決して低迷しているわけではありません。実際、コストコは過去10年間のトータルリターンが905.0%でアマゾンを僅差で上回り、ホーム・デポは519.0%、ウォルマートは198.8%という立派なものです。

基本的に、RTHは、次のセクションでさらに説明するように、過去10年間の優れたリターンを推進するために、これらの4つの大規模な保有株の強力なパフォーマンスを活用しています。

スマートスコアも良好

さらに、これら4銘柄はいずれも過去10年間で大成功を収めており、そして、いずれもTipRanksのスマートスコアが8以上(「アウトパフォーム」に相当)であることも注目に値します。

スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的銘柄スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価するものです。8点以上はアウトパフォームと評価されます。上位保有のアマゾンは10点満点中9点のスマートスコアを獲得しており、ホーム・デポも同様です。コストコとウォルマートは、いずれも10点満点中8点のスマートスコアを獲得しています。

さらに上位10銘柄を見ると、CVSヘルス(NYSE:CVS)とマッケソン(NYSE:MCK)は、小売業というよりヘルスケアに関連する銘柄ですが、どちらもスマートスコアは「パーフェクト10」です。

RTH自体は、アウトパフォーム相当のETFスマートスコア8を獲得しています。

驚くほど好調なパフォーマンス

上述したように、アマゾン、ホーム・デポ、コストコ、ウォルマートのような上位の保有銘柄は、長年にわたりRTHを力強いリターンに導いてきました。

2月29日現在、小売をテーマとしたETFの3年間の年率リターンは11.3%です。これは、市場全体のリターンをわずかに下回っています。バンガードS&P 500 ETF (NYSEARCA:VOO)の3年間の年率リターンは11.9%です。

しかし、より長期を見ると、RTHは過去5年間と10年間で、広範な市場を上回っています。2月29日現在、RTHの5年間の年率リターンは16.0%で、VOOの14.7%を僅差で上回っています。同様に、RTHの10年年率換算リターン14.3%も、VOOの10年年率換算リターン12.7%を上回っています。

RTHの経費率は?

RTHの経費率は0.35%で、必ずしも非常に低いというわけではありませんが、それでも全ETFの平均経費率(現在0.57%)よりはかなり低いです。

RTHの配当は?

配当はこのETFの主な魅力ではありませんが、RTHは配当を出しており、現在の利回りは1.0%です。

アナリストによると、RTH は「買い」か?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、RTHのコンセンサス評価は「強気買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」23件、「中立」3件、「売り」ゼロです。RTHの平均目標価格の227.80ドルは、今後12カ月で8.1%の上値余地を示唆しています。

「小売」以上のETF

RTHの名前に含まれる「リテール(小売)」の部分に戦慄を覚える投資家がいるのは当然です。しかし、RTHの長期にわたる目覚ましいパフォーマンスとその強力な保有銘柄は、物事は表面だけで判断すべきではないことと、ETFの保有銘柄を評価することの重要性を示しています。

RTH の長年にわたる素晴らしいパフォーマンスと、アマゾン、ホーム・デポ、コストコ、ウォルマートのようなスマートスコアが優れた長期的な勝者である小売企業の大規模なポジションで構成される強力なポートフォリオにより、アナリストはRTHに強気です。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、RTH: This Powerhouse ETF Proves That Retail Is Not Dead原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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