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価格急騰で注目される工業用金属銘柄への分散投資を目指すETFとは

ストーリーハイライト

銅、アルミニウム、その他の工業用金属はすべて、製造業の活動が回復し、供給制約が表面化する中で急騰しています。「iシェアーズMSCIグローバル・メタルズ&マイニング・プロデューサーETF(BATS:PICK)」は、投資家にとって、これら急騰しているすべてのコモディティへのエクスポージャーを得る魅力的な方法です。

PICK ETFの戦略とは?

PICK ETFは、ブラックロック(NYSE:BLK)のiシェアーズが提供する運用資産12億ドルのETFです。iシェアーズによると、PICKは「主に多様な金属(金と銀を除く)の採掘、抽出、生産に従事する企業の世界株式で構成される指数に連動する投資成果を目指します」。

PICKは基本的に、主に価値の貯蔵や観賞用として使用される金を避け、工業用に使用される金属を優先しています。このセクターは、製造業が急回復している世界では魅力的です。

中国の製造業など堅調

世界最大の製造業である中国の第1四半期の製造業活動は、前年同期比6.1%増と好調です。

中国の製造業購買指数は6カ月ぶりに上昇し、3月には1年以上ぶりの高水準を記録しました。この回復の多くはハイテク製造業によるもので、3Dプリンティング、電気自動車(EV)、電気自動車用充電ステーション、電子部品、ソーラーパネル、バッテリーなどの分野の製造が急増しました。このような製造業の躍進により、中国のGDPは前年比5.3%増となりました。

また、中国だけでなく、米供給管理協会の3月製造業景況調査でも、2022年9月以来のプラス成長となりました。

銅、2年ぶりの高値を付ける

このような製造業の復活は、PICKが投資家にエクスポージャーを提供している工業用金属、特に銅にとって朗報です。

銅価格は2024年に急騰し、4月26日に2年ぶりの高値をつけ、1トン当たり1万ドルを突破しました。銅は2023年末に一時1トン当たり8,000ドルを下回る価格で取引されていました。

銅は、EV、再生可能エネルギー、さらにはAIの成長から恩恵を受けるデータセンターの配線など、注目セクターを含むあらゆる最終市場で使用されています。多くのアナリストは、世界の現在の銅鉱山がこの需要に追いつけないため、供給制約が生じると考えています。

銅の「爆発的な価格上昇」の可能性

シティグループ(NYSE:C)のアナリストは、「脱炭素化に関連した需要の伸びを原動力とする」新たな銅の強気相場の初期段階にある可能性があり、今後「爆発的な価格上昇」が起こる可能性があると述べています。

銅以外にも、鉛、錫、アルミニウムなどの工業用金属が4月に数カ月ぶり高値をつけました。

PICKの主な保有銘柄

PICKは、金属・鉱業分野で十分な分散を投資家に提供しています。保有銘柄数は257で、上位10銘柄で資産の半分弱を占めています。以下では、TipRanksの保有銘柄ツールを使ってPICKの上位10銘柄のリストを紹介します。

PICKは、投資家が多数の銘柄に投資することで分散投資できるだけでなく、サブセクターごとの分散投資も可能です。分散投資された金属・鉱業はポートフォリオ内で46.8%のウェイトを占め、次いで鉄鋼が35%、銅が12.3%、アルミニウムが4.5%、貴金属・鉱物のウェイトは1.1%とわずかです。

さらに、PICKは投資家に大幅な地理的分散を提供し、ETFの最も高いエクスポージャーはオーストラリアで、23%のウェイトを占めています。次いで、米国が19.5%、英国が17.3%となっています。二桁のウェイトを占める市場は他にありませんが、当ETFはカナダ、インド、日本、ブラジルなどの企業にも投資しています。

スマートスコア「パーフェクト10」銘柄も

特筆すべきは、フリーポート・マクモラン(NYSE:FCX)とリオ・ティント(NYSE:RIO)で、いずれも上位10銘柄に入っており、TipRanksのスマートスコアも「パーフェクト10」です。BHPグループ(NYSE:BHP)やグレンコア(OTC:GLNCF)などの銘柄は、スマートスコアがアウトパフォーム評価となっています。

スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上がアウトパフォームに相当します。

PICK、配当も魅力的

BHP、リオ・ティント、グレンコアなどの上位銘柄はすべて配当銘柄として有名で、PICKの配当利回りが4.2%と魅力的なのは当然です。これは、S&P500指数(SPX)の配当利回り1.4%をはるかに上回るものです。

PICKの経費率は?

PICKの経費率0.39%は十分合理的です。これは、ETFに1万ドルを投資する場合、年間39ドルの手数料を支払うことを意味します。

アナリストによると、PICKは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、PICKのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、TipRanksによれば、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、65件の「買い」、188件の「中立」、4件の「売り」に基づいています。PICKの平均目標価格の45.88ドルは、今後12カ月で7.5%の上値余地を示唆しています。

結論

製造業活動の回復と供給制約により、銅をはじめとする工業用金属価格が高騰している今、PICKが銅をはじめとする注目の工業用金属に分散投資していることに注目すべきでしょう。今日の価格上昇だけでなく、長期的な供給不足が顕在化する中、PICKは長期的な上昇可能性を秘めていると考えられます。さらに、PICKの魅力的な4.2%の配当利回りは、このETFを保有するもう一つの素晴らしい恩恵です。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、PICK ETF: Diversified Exposure to Industrial Metals as Prices Surge原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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