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オッペンハイマー、S&P500指数の年末予想4,900をまだ諦めず、先行が有望視される2銘柄はアドビとザイレム

ストーリーハイライト

ボラティリティと不確実性の高まりにより、投資家は一連の論議に巻き込まれています。昨年、株式市場は急落し、今年は力強い上昇で始まり、ここ数カ月は調整が続いています。今、大きな問題となっているのは、最近の市場の乱高下が一時的なものなのか、それともより重大な下落局面の始まりなのかということです。

オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、John Stoltzfus氏は、S&P500種指数が年末までに4,900に達すると引き続き予想しており、つまり今後2カ月で18%上昇するという強気な見方を取っています。

FRB、政策が経済に与える影響に敏感であり続けるとストラテジストは予想

Stoltzfus氏は、FRBの現在の金融引き締め政策が、経済と市場を支える重要な要素であると見ています。同氏は最近CNBCに対して「FRBはインフレに対する警戒を続けるでしょうが、その一方で、政策が経済に与える影響にも敏感であり続けるだろうと予想しています」と述べています。

オッペンハイマーでは、Stoltzfus氏だけが強気なわけではありません。同社の株式アナリストは、先行きをリードできる銘柄を選んでいます。TipRanksのデータベースを使って、こういった2銘柄の詳細を見てみました。

アドビ(ADBE)

まずは、出版・コンテンツ制作ツール、デザイン・編集ツールの分野で業界をリードするソフトウェア会社のアドビです。同社は、Photoshop、Illustrator、InDesignなどを含むコンテンツ制作パッケージであるCreative Cloudの販売元としてよく知られており、デジタル制作のプロフェッショナルのためのワンストップショップとして機能しています。

アドビはグローバルに事業を展開し、29,000人以上の従業員を抱え、昨年の売上高は176億ドル以上です。製品ラインナップを強化するために新たなAI技術を取り入れることで、今後も確かな見通しを持っています。同社のFirefly製品は、アドビの全製品ラインにわたって機能を追加できる生成AIシステムです。あらゆる形態のコンテンツ作成プロセスを合理化するように設計されており、効率性と制作時間の大幅な改善が期待できます。

ここ数年、売上高、利益ともに上昇基調にあり、先日発表された2023年度第3四半期(6-8月期)もこの傾向が続いています。同四半期の売上高は、前年同期比10%増の48億9,000万ドルで、予想を2,000万ドル上回りました。非GAAPベースのEPSは4.09ドルで、予想を11セント上回りました。前年同期比のEPS成長率は20%以上で、営業キャッシュフローは18.7億ドルを計上しました。

生成AIの機会についてソフトウエアでトップポジションに

オッペンハイマーの5つ星アナリスト、Brian Schwartz氏は、アドビの将来性を高く評価しており、「事業モメンタムの高まり、2024年度に関する良好な見通しを見込んでおり、そしてポジティブなファンダメンタルズに基づく持続的成長、顧客調査および業界調査に基づく生成AIの機会に対するソフトウェアでのトップポジションに基づく持続的成長も見込んでいます」とコメントしています。

Schwartz氏は分析をベースに、アドビのレーティングを「中立」から「アウトパフォーム(=「買い」)」に格上げし、目標株価660ドルは今後12カ月で26%の上値余地を示唆しています。

大手テック企業は通常、ウォール街で多くの注目を集めており、アドビには28人のアナリストのレーティングが登録されています。その内訳は「買い」20人、「中立」7人、「売り」1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。現在の株価は522.84ドルで、平均目標株価の609.85ドルは、今後12カ月で26%の上値余地を示唆しています。

ザイレム (XYL)

ザイレムは、ハイエンドの水輸送・処理技術のリーディング・プロバイダーです。同社は、住宅、商業、農業用水供給業者、工業会社、公共事業など、多様な顧客基盤を有しています。ザイレムは世界150カ国で事業を展開し、時価総額は210億ドルです。

今年5月、同社は、水処理事業のエヴォクア・ウォーター・テクノロジーズとの合併を発表しました。この合併は75億ドル相当の株式取引でした。統合後のザイレムは、ポンプ、バルブ、熱交換器、吐出装置、処理・試験装置などの製品ラインをザイレムの社名で継続し、少なくとも18億人が影響を受けている水不足という現代の難題に対応するための機器を自社設計し、世界中で販売しています。

8月に発表された直近四半期決算(2023年第2四半期)には、エヴォクア合併後の業績が含まれています。売上高は前年同期比26%増の17億ドルで、予想を約6,000万ドル上回りました。非GAAPベースのEPSは98セントで、予想を17セント上回りました。手元現金および流動資産は、2022年末の9億4,400万ドルから減少し、7億800万ドルで第2四半期を終了しました。しかし、総資産は12月31日の79億ドルから6月30日には161億ドルに増加しました。

第2四半期決算発表と同時に、ザイレムは2023年通年の売上高ガイダンスを30%引き上げ、72億ドルとしました。これはコンセンサス予想の71億4,000万ドルを上回っています。

構造的に改善された事業ポートフォリオ、中期的な成長アップサイドを評価

オッペンハイマーのもう一人の5つ星アナリスト、Bryan Blair氏がザイレムに注目しています。Blair氏は、合併後のザイレムの事業拡大と展望に好意的で、「構造的に改善された事業ポートフォリオ、継続的な強気見通し、魅力的な中期的な成長アップサイド、そしてバリュエーションへの確信から、ザイレム株をアウトパフォームと評価しています」と述べています。

Blair氏の「アウトパフォーム(=買い)」レーティングは、今後12カ月で33%の上値余地を示唆する118ドルの目標株価によって補完されています。

トップアナリストレーティングは、「買い」6人、「中立」3人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。現在の株価88.96ドルに対し平均目標株価は123.38ドルで、今後12カ月で39%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Oppenheimer Isn’t Ready to Abandon Its S&P 500 4,900 Target Just Yet — Here Are 2 Stocks That Could Lead the Way原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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