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ナイキ株(NYSE:NKE):インサイダーによる株購入が反発のきっかけとなる可能性

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ストーリーハイライト

投資家がナイキのような一般消費財株に懐疑的である理由はもう必要ありませんが、インサイダーのセンチメントに基づき、ナイキ株を見直してみるのも良いかもしれません。

完全に公平を期すなら、投資家はスポーツアパレル大手のナイキ(NYSE:NKE)のような有名な銘柄であっても、一般消費財株に懐疑的な理由を追加する必要はありません。少なくとも、経済は不透明な背景に直面しています。とはいえ、内部関係者がナイキ株を大量に購入していることは、興味深いです。私はナイキ株に対して慎重ながらも強気です。

インサイダー取引がナイキ株のセンチメントを高める可能性

一見したところ、ナイキ株の強気シナリオは基本的に大きな困難に直面しています。主に、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策立案者たちが少し前に、インフレが高すぎると警告しました。

そのため、FRBは金利を引き上げる必要があるかもしれず、景気後退の可能性について大きな不安を投げかけています。とはいえ、主要なインサイダーがナイキ株を購入していることで、大きな好材料がもたらされています。

TipRanksのインサイダー取引アクティビティ・スクリーナーによると、ナイキ取締役のRobert Holmes Swan氏は先週、自動購入取引で13,072株を取得しました。この取得は合計で130万ドル近くに達し、最近の多くのインサイダー取引よりかなり高い金額です。

注目すべきは、Swan氏がインテル(NASDAQ:INTC)の元CEOを務めていたことで、ビジネスの世界には無縁ではありません。

さらに、このインサイダー買いは、それが何を象徴するかという点で根本的に重要です。インサイダー売りが、税制上の配慮など、まったくありふれた理由によって実現するのとは異なります。一般的に、人々が自社株を取得する理由はただ一つ、価値が上がると考えるからです。

同様に重要なのは、ナイキ株購入が、一般消費財市場が大きな圧力に直面している時に行われたことです。例えば、9月の雇用統計が予想を大きく上回ったのは事実です。表面的には、このような状況は信じられないほどポジティブに見えます。しかし、それはまた、より多くのドルがより少ない商品を追い求めることを意味し、インフレを引き起こします。

一般家庭が既にこういった困難に直面していることを考えると、消費者がブランド品ではなく一般的な衣料品やシューズを買い求めるのは明白です。Swan氏はこういった動向を認識しているはずです。ですから、多額のインサイダー買いが実現したという事実は、ナイキ株に対する強い信任投票となっています。

財務が示す明るい未来

年初来でナイキ株は17%以上下落しています。明らかに、これは投資家への良いメッセージではありません。しかし、財務面に注目することは重要です。

TipRanksのレポーター、Vince Condarcuriが述べているように、ナイキは最近、94セントの1株当たり利益を発表し、アナリストのコンセンサス目標76セントを上回りました。売上高も前年同期比2%増の129億4000万ドルとなりましたが、コンセンサス予想を6000万ドル下回りました。

それでも、消費者小売市場の厳しい環境を考えれば、今回の発表はナイキ株にとって勝利と言えるでしょう。ナイキを選好する人々は、楽観的な見方を正当化しています。具体的には、売上総利益は57億2000万ドルに達し、売上総利益率は44.2%になりました。これは、前年同期の44.3%とほぼ同水準です。

パンデミック後のピーク時、2022会計年度の売上総利益率は46%近くに達しました。したがって、ナイキは依然として驚異的なブランド力を有しています。確かに、以前の四半期には売上高を増やす代わりに収益性を犠牲にしたこともありました。しかし、それは財務に憂慮すべき事態を引き起こすほどの割合ではありません。

大きな懸念への対処

スポーツアパレルの雄であるナイキは、損益計算書上では比較的素晴らしい成果を上げていますが、ナイキ株のバリュエーションに疑問を呈する向きもあるでしょう。

ナイキの株価は、実績PER約30倍で取引されており、紙(公表データ)の上では決して良い取引とは言えません。アパレル小売セクターの平均PERは13.49倍で、アパレル製造セクターの平均PERも15.27倍です。

とはいえ、強靱なブランド力があり、割安なPERの企業を見つけるのは、おそらく至難の業です。ナイキのような企業の場合、投資家は通常、取捨選択を迫られます。景気減速の可能性を前に、価格決定力は「紙の」価値に勝るかもしれません。

結局のところ、景気減速時には、多くの投資アイデアが割安に見えるかもしれません。ナイキ株の場合、根本的なカタリストは、人々がコストに関係なく同社製品を欲しがっていることに起因しています。

アナリストによればナイキ株は買い

ウォール街に目を向けると、ナイキ株のコンセンサス評価は「中程度の買い」で、レーティングは「買い」17件、「中立」9件、「売り」1件となっています。ナイキの平均目標株価は119.48ドルで、23.3%の上昇可能性を示唆しています。

結論:リスクを伴う行動は回復の兆しである可能性

インサイダーがナイキ株を購入したことで、これは辛抱強い投資家が待ち望んでいたカタリストになるかもしれません。それは購入額の大きさだけでなく、小売業界における激しい競争環境の中で起きたことが重要です。これは強い確信を物語っています。さらに言えば、それは不当な確信でもありませ

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 ディスクロージャー

 本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Nike Stock (NYSE:NKE): Insider Buying May Spark a Comeback原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
フリージャーナリスト。出版社勤務後、1984年4月からフリー転向。以降、月刊宝石や「ダカーポ」などに原稿を執筆。月刊誌の取材・執筆活動のほか、単行本の執筆や編集等を行う。著書に『サイエンススクランブル』『我らチェルノブイリの虜囚』(いずれも共著)がある。2007年11月から2016年1月まで日本で唯一の外国為替証拠金取引(FX)の専門誌月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。FXポータルサイト「エムトレ」アドバイザー歴任。
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