ストーリーハイライト
苦境に立たされていた米スポーツ用品大手ナイキ (NKE)は19日、ジョン・ドナホー最高経営責任者(CEO)の退任を発表しました。後任には、同社元幹部のエリオット・ヒル氏が就任します。この発表を受け、ナイキ株は時間外取引で一時10%上昇しました。
2020年よりナイキCEOを務めてきたドナホー氏は、10月13日をもって退職します。同社はニュースリリースで、同氏は2025年1月末までアドバイザーとして留任すると発表しました。10月14日より、ヒル氏がCEOに就任します。
消費者直販の経営政略奏功せず
このリーダーシップ交代は、新型コロナウイルスのパンデミック発生以来、ナイキとその株価が低迷していることを受けたものです。ドナホー氏は、流通業者や小売業者を介さず、消費者への直接販売にシフトするという高コストの経営戦略の誤りを犯したとして、広く非難されていました。
ナイキの株価は今年に入ってから25%下落し、1株あたり80.98ドルで取引されていました。
信頼の喪失
ドナヒュー氏のリーダーシップを批判する人々は、ナイキが自社ブランド店や企業ウェブサイトでの売上向上を追求するあまり、イノベーションを見失い、長年知られてきたようなスニーカーも生産できなくなったと述べています。 また、ナイキは近年、デッカーズ・アウトドア(DECK)やオン・ホールディングス(ONON)などの新興競合企業によって市場シェアを侵食されています。
同時に、ナイキは同社の主要市場の一つだった中国での売上減少に苦戦しており、中国では米国ブランド、特にナイキに対する消費者の反発が高まっています。また、今年8月には、アクティビスト投資家ビル・アックマン氏が、自身のヘッジファンドであるパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントを通じてナイキ株を取得し、同社に変化を促していることが明らかになりました。アックマン氏は、ナイキ株を約300万株保有しています。
ナイキ株は「買い」か?
TipRanksによれば、ナイキ株のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」15人、「中立」18人に基づいています。平均目標株価の92.12ドルは、今後12カ月で13.76%の上値余地を示唆しています。なお、CEO交代の発表により、今後アナリストの評価が変わる可能性があります。
本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Embattled Nike (NYSE:NKE) CEO John Donahoe Announces Retirementの原文翻訳を中心にまとめています。
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