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モートETF:広い堀(競争優位性)を持つ優れた企業で構成、パフォーマンスも良好

ストーリーハイライト

ヴァンエック・モーニングスター・ワイド・モートETF (VanEck Morningstar Wide Moat ETF, BATS:MOAT)は、「ワイド・モート(「広い堀」の意味で、つまり競争上の優位性)」を持つ企業の株式に投資するという、ユニークな視点を持つ差別化されたETF(上場投資信託)です。

MOAT ETFの戦略とは?

ヴァンエックによれば、MOATは、モーニングスターの株式リサーチに基づく、持続可能な競争優位性を持つ魅力的な価格の企業のインデックスに連動する投資成果を目指します。

堀とは?

ビジネス用語で「モート(moat、堀)」とは、企業が市場シェアを維持し、競争をかわすことを可能にする、持続的な競争優位性のことです。MOATが投資する企業は、こうした競争上の優位性を20年以上先まで維持することが期待されます。

堀の広さにつながる要因としては、ブランド力、ネットワーク効果、規制による保護、知的財産などが挙げられます。

堀が広いビジネスの例としては、防衛産業の企業が挙げられます。防衛関連企業は、日頃から規制の難関をくぐり抜け、政府や軍の仕様を満たす必要がありますが、これは容易なことではありません。そして、製品を作るには、かなりの技術的専門知識と先行投資が必要です。さらに、顧客は保守的でリスクを回避する傾向があります。そのため、この分野の既存企業にはかなりの堀があり、新規参入企業を容易には寄せ付けません。

MOATの構成銘柄

MOATは全部で50銘柄を保有していますが、上位10銘柄の保有比率はファンドの27.1%に過ぎず、集中リスクの懸念はほとんどありません。

では、MOATはどのような企業に投資しているのでしょうか?以下は、TipRanksの保有銘柄ツールを使って、MOATの上位10銘柄の概要をチェックしたものです。

アルファベット(NASDAQ:GOOGL)のような上位保有銘柄は、広い堀を持つビジネスの良い例です。

アルファベットが広い堀を築いているのは、グーグルが、何かを調べる必要があるときに、ほとんどの人が利用する検索エンジンになっているからです。人々はグーグルを使うことに慣れており、「グーグル」という言葉は今や「ググる( I’ll Google it.)」という動詞になっています。

このユビキタス性ゆえに、新しい検索エンジンが参入してグーグルから大きなシェアを奪うことは難しいです。グーグルは長年にわたって検索エンジンのトップであり続け、その市場支配力を本気で脅かすものは現れていません。

10月の世界検索市場におけるグーグルのシェアは91.6%です。マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)の資金力に支えられているビングでさえ、グーグルに対抗するのは難しく、シェアはわずか3.1%です。

MOATの長期パフォーマンス

広い堀を持つ企業への投資は、かなり効果的な投資戦略であり、運用成果がこれを裏付けています。10月31日現在、MOATの3年間の年率換算リターンは12.2%です。さらに、5年間の年率換算リターンは11.9%、10年間の年率換算リターンは11.6%です。

さらに、2012年の設立以来、MOATは年率13.1%のリターンを生み出しています。

これらのリターンは、より広範な市場と比較しても遜色のないものです。比較のため、10月31日現在、Vanguard S&P 500 ETF (NYSEARCA:VOO) は過去3年間で10.3%、過去5年間で11.0%、過去10年間で11.1%の年率リターンを創出しています。MOATは各期間においてS&P 500をアウトパフォームしており、長期にわたって一貫して市場を凌駕していると言える、稀有で称賛に値するETFの1つとなっています。

経費率

MOATの経費率0.46%は、1万ドルをこのETFに投じた投資家が、投資1年目に46ドルを支払うことを意味します。このETFが今後年率5%のリターンを上げ、現在の経費率を維持すると仮定すると、この同じ投資家は10年間で579ドルの手数料を支払うことになります。

これは少々割高ではありますが、MOATは市場を打ち負かすパフォーマンスでこの手数料を正当化しているため、割高な手数料を支払う価値があります。MOATの長期パフォーマンスには及ばないものの、これよりはるかに高い経費率のETFも数多く存在します。

アナリストによれば、MOAT ETFは「買い」?

ウォール街に目を向けると、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」41人、「中立」10人に基づき、コンセンサス評価は「中程度の買い」となっています。平均株価目標87.60ドルは、今後12カ月で18.1%の上値余地を示唆しています。

結論:幅広い堀を持つビジネスへの投資

強力で持続的な競争優位性を持つビジネスへの投資戦略に異論を唱えるのは難しいでしょう。MOATの非の打ちどころのない長期実績は、このETFへの投資が、長期にわたって市場を打ち負かすリターンを投資家に創出してきたことを示しています。MOATは、長期的に強力な競争優位性の恩恵を享受できる優良企業をポートフォリオに保有しており、多くのアナリストはこの一流のETFに強気です。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Seeking Stocks with Moats? Check Out the MOAT ETF原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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