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アルトリア株:利回り9.8%を誇る必見の配当王

ストーリーハイライト

たばこ大手のアルトリア(NYSE:MO)の株価は52週安値をわずかに上回って推移していますが、かなり魅力的に見え始めています。

「マールボロ」、「パーラメント」、「バージニアスリム」などのブランドで有名なアルトリアは、9.8%の配当利回り、自社株買いの継続的なコミットメント、割安なバリュエーション、そして市場が評価している以上に潜在的な成長ドライバーを秘めている可能性があります。

アルトリアの配当は高いが、危険ではない

端的には、アルトリアの配当利回り9.8%を上回る配当銘柄を見つけるのは難しいです。この利回りは、S&P500指数(SPX)の平均配当利回り1.6%よりも桁違いに高く、米10年物国債利回りの約2倍であるため、現在の高金利環境にもかかわらず、アルトリアの配当は依然として魅力的です。

これほどの高配当銘柄に対して、減配リスクを指摘する声もあります。しかし、アルトリアはそうではありません。同社の配当は利益で十分にカバーされています。

さらに、アルトリアは配当支払いに長期的なコミットメントを示してきており、長年にわたって一貫して配当を増やしてきました。同社は、年間配当を53年連続で増配しており、配当王(年間配当を50年以上連続で増配している銘柄)になっています。

自社株買い

アルトリアの配当は魅力的ですが、同社が株主に報いるコミットメントはそれだけではありません。第3四半期中に、590万株を約2億6,000万ドルで買い戻しました。自社株買いは、長期的に発行済み株式数を減少させ、一株当たり利益を増加させるため、株主に資本を還元するもう一つの方法です。

9月末までに、アルトリアは配当(50億ドル)と自社株買い(7億ドル)を合わせて57億ドルを株主に還元しました。自社株買いは、経営陣が株価が過小評価されていると考えるシグナルとも考えられます。

割安なバリュエーション

アルトリアはバリュエーションの観点からも割安に見えます。同社は、2023年のコンセンサス業績予想に基づく予想PERで8.1倍、2024年の予想PER 7.8倍で取引されています。これは、S&P500指数構成銘柄の平均予想PER18.9倍と比べると大きく割安です。また、アルトリアに最も近い同業他社であるフィリップ・モリス(NYSE:PM)の2023年の予想PERの14.7倍、2024年の予想PERの13.7倍と比べても割安です。

全体として、バリュエーションが低い銘柄を保有することは、不透明な経済環境におけるディフェンシブな一手となり得ます。

新製品

アルトリア株がこれほど割安なバリュエーションで取引されている理由の一つは、明らかに、たばこ株であり、市場が熱狂していないセクターだからです。たばこは長い間、販売量が減少している産業であるため、たばこ株は成長株と同じようなバリュエーションを得ることはできません。しかし、アルトリアのようなたばこ株は、安定した収益力と確実な配当でこれを補っています。

加えて、アルトリアは将来の成長の道筋に関して、いくつかの興味深い材料を持っています。

電子たばこNJOY Ace e-vapor製品が進捗しており、今後大きな拡大計画があります。第3四半期には、この製品の流通を約42,000店舗まで拡大し、年末までに70,000店舗まで拡大する予定です。

リーフレスニコチンパウチ製品である「on!」も急速に成長しています。第3四半期には、経口たばこ業界全体の数量は前年同期比5%増となりましたが、on!の出荷量は、2,100万缶から2,870万缶へと36.7%の急成長を遂げました。

アナリストによると、アルトリア株は買い?

ウォール街に目を向けると、アルトリアに対する過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」3人、「中立」3人、「売り」2人で、コンセンサス評価は「中立」です。平均株価目標43.60ドルは、今後12カ月で8.3%の上値余地を示唆しています。

今後の見通し

アルトリアは、10%近い配当と継続的な自社株買いにより魅力的と考えられます。同社はまた、「NJOY Ace」のような新製品や「on!」経口たばこ製品のような、潜在的な成長ドライバーを有しています。

これら製品の成長が続けば、アルトリアは喫煙者の減少を相殺することができます。割安なバリュエーションと52週安値をわずかに上回る株価水準であることから、アルトリア株を検討し、着実な自社株買いに支えられた、信頼がおける高配当を確定するには良い時期かもしれません。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Altria Stock (NYSE:MO): A Must-Know Dividend King Yielding 9.8%原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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