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マクドナルド株(NYSE:MCD)、17%下落後のバリュエーションに注目

ストーリーハイライト

マクドナルドの株価は、直近で17%下落し、多くの投資家に愛されていません。それにもかかわらず、ウォール街は、最近の圧力に直面しても、同社に対して強気を維持しています。

マクドナルド(NYSE:MCD)の株価は、消費者が直面する逆風、予想外のロイヤリティ(加盟店が本部に払う権利使用料)の値上げ、オゼンピックやウゴービのような減量薬が食品会社から需要を奪いかねないという懸念など、ネガティブな材料が山積していることもあり、最近圧力を受けています(史上最高値から17%下落)。

株価の急落はさらに拡大する可能性がありますが、私はマクドナルド株は割安と考えています。アナリストのコンセンサス評価は「強気買い」であり、私は強気を維持します。

マクドナルドの株価を反転させる秘策は何でしょうか?最近数カ月の下落を受け、低すぎると思われる控えめなバリュエーションを除けば、同社は今後数四半期にわたってその経済的回復力を示す可能性があります。

たしかに、インフレが重荷となり、経済が失速するにつれ、消費者は引き続き打撃を受けるかもしれません。しかし、マクドナルドは業界屈指のバリューメニューを提供するファストフード企業であることを忘れてはなりません。同社の低価格メニューが、消費者を高価なレストランから遠ざけることは想像に難くありません。

不況に強いマクドナルドだけに、株価は今後1年半のどこかで反発する可能性があります。

さらに投資家は、新しいコンセプト(昔のマスコットをモチーフにした「CosMc’s」という小型レストランのコンセプトを考えてみてください)と、今後数年間で営業利益率を強化する同社の能力を無視している可能性があります。

マクドナルド株には、投資家が背を向ける中でも魅力的な特徴が多くあります。

逆風のパーフェクトストーム、今が踏ん張り時

逆風が吹くと、それは強くなる傾向があります。マクドナルド株は、S&P 500種株価指数(SPX)との相関が比較的低く、過去5年のベータ値は0.70で、ボラティリティが非常に高い銘柄とは見なされていません。

また、配当利回りは2.66%と良好で、相対的な安定性を求める向きには良いでしょう。とはいえ、最近のヘッドラインは、不況に直面した際に最も信頼できる企業のひとつである同社に、不確実性をもたらしました。

約30年ぶりとなる、ロイヤリティ率の予想外の引き上げ(総売上高の4%から5%へ)は、フランチャイズ加盟店団体から「好ましくない」との声が上がっています。フランチャイズ加盟店が不満を抱いていることは間違いありませんが、今回の値上げは、フランチャイズの新規加盟店、直営店や移転店の購入者にのみ適用されるます。

もちろん、フランチャイズ・コミュニティはこの動きに不満を持っています。しかし、1%の値上げがフランチャイズ加盟店モデルに悪影響を及ぼすというのは、かなり大げさな話でしょう。

多くの人がマクドナルドを否定的に見ているのは、ロイヤリティ率の引き上げだけではありません。景気後退の不安と減量薬が、マクドナルドの今後の売上を圧迫する可能性があるのです。

それでも、前述したように、バリューメニューが消費者に懐具合に大きく貢献していることを考えると、消費者が苦境に立たされることはかえってマクドナルドの売上にとって追い風となるでしょう。

さらに、減量薬の話題が絶え間なく続くのは、現時点ではやりすぎのように思えます。売れ行きが鈍化する可能性があるのは、薬のせいなのか、それとも消費者のふらつきのせいなのかは、まだわかりません。いずれにせよ、食品会社にとって減量薬は非常に穏やかな逆風であると私は見ています。

総合的に考えると、ネガティブなヘッドラインは行き過ぎだと思います。投資家にとってのマクドナルドの真の価値は、より多くの売上高、より高い運営効率であり、そして最も重要なことは、小型店舗コンセプト(CosMc’s)の推進を含む同社の長期的な取り組みにあります。

マクドナルド株:業界の巨人が魅力的な株価に

マクドナルドの株価は、最近の調整局面後でも大きく割安ではないかもしれません。それでも、かつてウォーレン・バフェット氏が言ったように、素晴らしい価格(高価格)で適切なビジネスを得るよりも、適切な価格で素晴らしいビジネスを得る方が良いです。

実際、マクドナルドは、その「堀(強力な競合優位性)」や業界支配力を考えると、最も素晴らしいダウ平均株価(DJIA)の構成銘柄の一つです。

株価収益率(PER)は20.28倍で、株価もそれほど高くありません。加えて、不況に対する驚異的な回復力にもかかわらず、PERは外食産業平均の21.2倍を若干下回っています。

アナリストによれば、マクドナルド株は買い

TipRanksによれば、25人のアナリストレーティングにおいて、「買い」21件、「中立」が4件で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は328.60ドルで、32.3%の上昇可能性を示唆しています。アナリストの目標株価は、1株当たり283.00ドルの安値から383.00ドルの高値までとなっています。

結論

マクドナルド株は、恐怖に煽られた17%の調整後、この10月にはバリュー株となっています。アナリストが好意的な見方を続けていることから、投資家はこのファストフード・レストランの巨大企業に注目するのが賢明でしょう。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、I’m Lovin’ McDonald’s Stock’s (NYSE:MCD) Valuation after 17% Dip原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
フリージャーナリスト。出版社勤務後、1984年4月からフリー転向。以降、月刊宝石や「ダカーポ」などに原稿を執筆。月刊誌の取材・執筆活動のほか、単行本の執筆や編集等を行う。著書に『サイエンススクランブル』『我らチェルノブイリの虜囚』(いずれも共著)がある。2007年11月から2016年1月まで日本で唯一の外国為替証拠金取引(FX)の専門誌月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。FXポータルサイト「エムトレ」アドバイザー歴任。
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