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EV株で買うべきは?:中国のリ・オートvs. 米国のルシード

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電気自動車(EV)は世界的に急拡大してきており、EVメーカーも車種や生産台数を増やしてきました。しかし、最近になり市場はやや足踏み状態となっており、そのような中、EVメーカー株が売られ過ぎになっています。

この記事では、TipRanksの比較ツールを使って、中国に本拠を置くリ・オート (NASDAQ:LI)と、米国のルシード・グループ (NASDAQ:LCID)の2つのEV銘柄を評価しました。アナリストは、リ・オートに対して強気、ルシード・グループに弱気です。

リ・オートは、電動SUVを設計、開発、製造、販売しており、ルシード・グループは、電動高級スポーツカーやグランドツアラー(長距離・高速走行向けの高級車の一種)を製造しています。

リ・オートの株価は、過去12カ月では11%上昇していますが、年初来では25%急落しています。一方、ルシード・グループの株価は年初来で37%急落し、過去12カ月では70%下落しています。

EVメーカー株の全般的急落を受け、リ・オートとルシードの株価も下落

両銘柄の年初来の下落は、2024年のこれまでのEVメーカーの全般的急落の結果です。テスラ(NASDAQ:TSLA)でさえ、EV全般の需要減退を示唆する報道の増加を受けて、年初来で17%も急落しています。

テスラの価格引き下げのニュースと、フォードがEVのF-150ライトニングの減産を決定したことが、EV市場に影響を与えています。しかし、このところの売りは、EV市場に買い場を提供する可能性があります。

実際、リーとルシードの株価は売られ過ぎの領域まで下がっており、リ・オートの相対力指数(RSI、株価の強弱を示すテクニカル指標で、30以下が売られ過ぎ)は30.6、ルシードは30.8です。しかし、どちらの企業も安く拾う価値があるかどうかを判断するには、より詳細な調査が必要です。

リ・オート (NASDAQ:LI)

リ・オートは、急速に規模を拡大し利益を上げているため、特に興味深いEV投資です。中国へのエクスポージャーがその急成長の重要な要因であり、EV競争が激しい中国で利益を上げている数少ないEVメーカーの1つであるという事実が、同社をさらに際立たせています。したがって、これらの要因と最近の売り越しを考慮すると、強気の見方が適切と思われます。現在の水準では、この銘柄を無視するにはあまりにも割安とみられます。

ゴールドマン・サックス(NYSE:GS)は1月初め、リ・オートのカバレッジを開始しました。アナリストのTina Hou氏は、同社の急成長する納車台数と新しい全電化モデルの発売準備に注目しています。

12月の納車台数は5万台超え、2023年通年では37万台

リ・オートの2023年12月の納車台数は5万台を超え、前年同月比137%増となり、毎月の納車目標を達成してきています。第4四半期では、前年同期比184.6%増の13万1,805台を納車しました。2023年通年では37万6,030台を納車し、累計納車台数は60万台を超え、中国の新興新エネルギー自動車メーカーの中で最多となりました。

Hou氏はまた、リ・オートは利益を上げている数少ない中国のEVメーカーの1つであると指摘し、燃料タンクを利用してバッテリーを充電し航続距離を延長するレンジ・エクステンダーを革新的に使用していることも強調しています。同社はまた、今年中に複数の新車を発売し、年末までにポートフォリオを合計8モデルにする予定です。このように、今年さらに株価上昇する可能性のあるカタリストはたくさんあります。

リ・オート株の目標株価は?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、6人全員が「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は53.58ドルで、今後12カ月で93.4%の上値余地を示唆しています。

ルシード・グループ (NASDAQ:LCID)

リ・オートとは異なり、ルシード・グループはまだ利益を上げていません。PSR(株価売上高倍率)は10倍で、リ・オートの 2.1倍より高いプレミアムで取引されています。従って、企業規模がリ・オートの数分の一にもかかわらず、リ・オートに対してプレミアムで取引されていることを考慮すると、ルシード・グループには弱気な見方が適切であるとみられます。

リ・オートの過去12カ月間の売上高は137億ドルであるのに対し、ルシードの売上高は6億9,580万ドルです。ルシードの2023年第4四半期の納車台数は1,734台で、2023年全体で6,001台を納入しており、中国の競合に追いつくには長い道のりがあります。

生産台数目標を徐々に下方修正

実際、ルシードの生産台数と納車台数を深掘りすると、いくつかの潜在的な問題が見えてきます。通年の生産台数は8,428台とガイダンスの上限に達しているものの、当初の目標は2023年に14,000台を生産することでした。ルシードは、この当初のガイダンスを10,000台に引き下げ、さらに昨年後半には8,000台から8,500台の範囲に引き下げました。

さらに、ロイター通信は最近、ルシードのサウジアラビア進出は、同国に自動車メーカー向けのサプライチェーン・インフラがないため、問題をはらんでいる可能性があると報道しています。サウジアラビアには自動車製造向けの熟練労働力がなく、原材料の調達に大きな問題が生じる可能性があるとのことです。

さらに、景気後退の可能性を考えると、ルシードのように高級車だけを販売しながら規模を拡大しようとするには、今は最適な時期ではないかもしれません。

ルシード・グループ株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」がなく、「中立」が8人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中立」です。平均目標株価は5.09ドルで、今後12カ月で91.7%の上値余地を示唆しています。

結論

リ・オートとルシード・グループの違いは明白です。リ・オートの納車と成長トレンドがポジティブで、売上高が上昇し続けているのに対し、ルシードは生産目標を達成できていません。さらに、ルシード株はリ・オートよりもはるかに高いPSRで取引されており、比較になりません。したがって、新興EVメーカーを1社だけ継続的に注目するとすれば、それはリ・オートであるべきでしょう。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、LI vs. LCID: Which EV Stock is the Better Buy?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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