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GM、増配と自社株買いで投資家を魅了

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利益見通しが下方修正されたにもかかわらず、ゼネラル・モーターズ株(NYSE:GM)は急伸しました。その背景には、GMの確固たる株主還元へのコミットメントがあります。増配と自社株買いを評価する投資家は、GMをウォッチリストに入れるべきでしょう。

今年はGMにとって波乱の年となりました。同社は、最近自動車のサプライチェーンに支障をきたした労働者のストライキのコストを吸収しなければなりません。とはいえ、GMが楽観的に将来を見据えている証拠もあり、投資家はこの米国を代表する自動車メーカーの力強い復活を期待しているかもしれません。

悪いニュース:GM、利益見通しを下方修正

全米自動車労組(UAW)のストライキが、GMを含む米主要自動車メーカーに大きな打撃を与えたことは周知の事実です。現在、ストライキは解決されたように見えますが、ダメージを受けており、GMは財務上の影響を認めています。

ダメージはどの程度になるのでしょうか?GMは、多くの労働者に大幅な賃上げを行う必要があります。GMによると、UAWのストライキを終結させた新たな協約により、莫大な追加費用がかかることになります。

具体的には、UAWおよびカナダの組合Uniforとの新協約に基づき、GMは2028年までに総額93億ドル、製造車両1台あたり約575ドルの追加コストが発生すると見込んでいます。これには、2023年単年で13億ドル相当の財務的影響が含まれています。

その結果、GMが利益見通しを引き下げざるを得なくなったことは、それほど衝撃的なことではありません。同社は2023年通年の株主帰属純利益ガイダンスを、以前の93億~107億ドルから91億~97億ドルに引き下げました。

良いニュース:GM、株主還元を強化

GMが通期の利益見通しを下方修正したことは、一部の投資家を失望させたかもしれません。しかし、良いニュースもあります。実際、GMの株価は今日(11月29日)10%以上も急騰しました。

市場は、GMの利益ガイダンスの下方修正にはそれほど驚いていなかったようです。投資家はおそらく、遅かれ早かれこうなることを予想していたのでしょう。しかし、投資家が予想していなかったかもしれないのは、GMが株主還元で強力な行動を取るということでした。

「(労働組合との)協約が承認され、事業投資効率の向上を含む明確な今後の道筋がついたので、計画に従って株主への資本還元を再開できます」と、メアリー・バーラCEOは電話会議で宣言しました。この計画には、投資家が歓迎する2つの施策が含まれています。

まず1月に、GMは四半期配当を0.03ドル(33.3%)引き上げ、1株当たり0.12ドルにする予定です。年率換算では1株当たり0.48ドルで、株価が約32ドルとすると年間配当利回りは(1月から)1.5%となります。

確かに、これは大きな配当利回りではありません。それでも、GMの経営陣が、長期的な株主に報いる能力に自信を持っていることの表れです。

さらに、GMは100億ドル相当の自社株買いを計画しており、自社株買いは公開株式数を減らすため、株価を下支えする要因となります。

アナリストによると、GM株は「買い」?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が11人、「中立」が5人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は44.65ドルで、今後12カ月で41.4%の上値余地を示唆しています。

GM株の売買でどのアナリストに従うべきか迷っているのであれば、(1年間のタイムフレームで)最も正確なアナリストはJPモルガン(NYSE:JPM)のRyan Brinkman氏で、レーティング毎の平均リターンは13.65%、成功率は62%です。

結論:GM株を検討すべきか?

GMの経営陣は、労働者のストライキによる財務的影響を認めています。損害が相当なものになることは否定できません。

その一方で、増配と自社株買いの実施を計画しているため、将来見通しについては楽観的とみられます。GMは長期的な回復途上にあり、同社株を検討する価値があるでしょう。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、GM Stock (NYSE:GM): Auto Giant Wows Investors with Dividends and Buybacks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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