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フリーキャッシュフロー重視の新ETF、パフォーマンスは良好

ストーリーハイライト

新しいフリーキャッシュフロー特化型ETF(上場投資信託)である「ビクトリーシェアーズ・フリーキャッシュフローETF (VictoryShares Free Cash Flow ETF, NASDAQ:VFLO)」は、昨年6月の設定以来26%上昇しており、有望なスタートを切っています。保有銘柄のフリーキャッシュフロー利回りに焦点を当てたその健全な戦略、厳格な投資プロセス、そして開始直後の好調なパフォーマンスから、VFLOは魅力的です。

VFLO ETFの戦略とは?

VFLOは2023年6月20日にローンチされ、現在の運用資産は3億7,840万ドルです。ETFのスポンサーであるビクトリーシェアーズによると、VFLOは「割安で取引され、良好な成長見通しを有するハイクオリティ米国大型株へのエクスポージャー提供を目指します」。

このETFは、これらの銘柄を特定するためにフリーキャッシュフロー利回りに注目し、以下で説明するように銘柄選択で厳格な投資プロセスを採用しています。

フリーキャッシュフローに注目する理由

フリーキャッシュフローとは、企業が費用、利息、税金、長期投資を支払った後に残るキャッシュのことです。このキャッシュは、自社株買い、配当、買収などを通じて、株主価値向上で活用できます。

フリーキャッシュフロー利回りは、1株当たりフリーキャッシュフローを株価で割って求めます。フリーキャッシュフロー利回りが高ければ高いほど、株価は魅力的に見えます。

売上高の多くをフリーキャッシュフローに転換している企業は、効率的な経営を行っており、業績が好調である可能性が高いため、フリーキャッシュフロー利回りは有用な指標です。さらに、多くの賢明な投資家は、純利益よりもフリーキャッシュフローを好みます。なぜなら、純利益は非現金項目や会計上の調整によって影響を受ける可能性があるのに対し、フリーキャッシュフローは再投資や株主還元に利用可能な実際のキャッシュをより明確に示すからです。

厳格な投資プロセス

VFLOは、米国の収益性の高い大企業400社を投資対象としています。そして、このリストの中からフリーキャッシュフロー利回りが最も高い75銘柄を選択します。

ここで重要なのは、VFLOは「企業の将来フリーキャッシュフローをより適切に見積もる」ために、フリーキャッシュフローの予測値だけでなく、過去のフリーキャッシュフローも見ているということです。VFLOは、これが「フリーキャッシュフローを評価するための改善されたアプローチ」であると考えます。

次に、VFLO はこれら 75 銘柄を成長スコア(売上高トレンド、EBITDA成長率、長期的な利益成長率を含む指標)が最も高い 50 銘柄に絞り込み、フリーキャッシュフロー利回りが高いが成長見通しが乏しい銘柄を除外します。最後に、残りの50銘柄をフリーキャッシュフローの規模と利回りに基づいて加重平均します。

VFLOの保有銘柄

VFLOは現在49銘柄を保有しており、上位10銘柄でETF資産の34.1%を占めています。以下では、TipRanksの保有銘柄ツールを使って、VFLOの保有上位10銘柄の概要をご覧いただけます。

ETFの上位保有銘柄であるエネルギー大手エクソンモービル(NYSE:XOM)は資産の5.0%を占めているのみであり、集中リスクはほとんどありません。

エネルギーセクターへのエクスポージャーが最大

エクソンモービル、NRGエナジー(NYSE:NRG)、シェブロン(NYSE:CVX)、ビストラ・エナジー(NYSE:VST)など、VFLOの上位保有銘柄のいくつかはエネルギーセクターのものです。エネルギーは、ETFでは25.5%のウェイトで最も大きなエクスポージャーを持つセクターです。

しかし、半導体企業のクアルコム(NASDAQ:QCOM)、住宅メーカーのレナー(NYSE:LEN)、シグナ(NYSE:CI)、エレバンス・ヘルス(NYSE:ELV)、CVSヘルス(NYSE:CVS)などのヘルスケア銘柄を通じて、他のセクターも代表しています。ヘルスケアはETFで2番目に大きなエクスポージャーで、ウェイトは24.4%です。

VFLOの保有銘柄は、スマートスコアも良好です。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的銘柄スコアリング・システムで、8つの市場主要要因に基づいて銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上は「アウトパフォーム」と評価されます。VFLOの上位10銘柄のうち、スマートスコアが「パーフェクト10」のNRGエナジー、ビストラ・エナジー、クアルコムを含む、7銘柄がアウトパフォーム相当の8以上を獲得しています。

当初のパフォーマンスは有望

かなり新しいETFであるため、VFLOにはまだ長期実績がありませんが、昨年6月の運用開始以来、26%という素晴らしい上昇率を記録しています。このETFが投資家の支持を得るには、時間をかけてその実力を証明する必要があるのは確かですが、幸先の良いスタートを切っています。

VFLOの経費率

VFLOの経費率は0.39%で、1万ドルをETFに投資した場合、年間39ドルの手数料を支払うことになります。これは、主要インデックスファンドの経費率よりは高いですが、妥当な経費率であり、全ETFの過去の平均経費率(0.57%)を下回っています。

アナリストによれば、VFLOは「買い」?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、VFLOのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これはポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」39件、「中立」11件、「売り」ゼロ件です。VFLOの平均目標価格の35.65ドルは、今後12カ月で14.9%の上値余地を示唆しています。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、VFLO: New Free-Cash-Flow-Focused ETF Looks Promising原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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