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ウォール街が注目する3つのフィンテック関連銘柄:ブロック、マスターカード、Nuvei

ストーリーハイライト

マクロ的な逆風にもかかわらず、ウォール街は現在、ブロック、マスターカード、Nuveiといったフィンテック関連銘柄に対して圧倒的に強気です。今後12カ月間で各銘柄の大幅な上昇を予想しています。

テクノロジー株は近年厳しい状況に直面していますが、市場をリードするフィンテック革新企業であるブロック、マスターカード、Nuveiを再検討する価値はあります。これらの銘柄は、今後金利が上昇したとしても、長期戦を展開していくとみられます。

フィンテック関連銘柄が直面しているボラティリティと不確実性の波にもかかわらず、ウォール街のアナリストの多くがこういったフィンテック関連銘柄を支持し続けていることは注目に値します。

経済が低迷し、消費者がより慎重になっている中、金融決済やフィンテックの状況は変化しています。そして、フィンテック銘柄に対する期待もまた変化しており、2021年のピーク時の投資家の陶酔は、現在ではより現実的な、おそらく過度に保守的な見方に変わっています。

いずれにせよ、一部フィンテック銘柄の長期的な見通しは、他の投資家が撤退する中、ボラティリティの中に飛び込む勇気のある投資家にとって、依然として説得力があるように思われます。

そこで、TipRanksの比較ツールを使って、ウォール街の投資家の信頼を得ている3つの堅実なフィンテック関連銘柄をチェックしてみましょう。

ブロック (NYSE:SQ)

ブロック(旧スクエア)は、最近の急落で購入を検討できる最も魅力的なフィンテック銘柄かもしれません。なんといっても、同社を率いるのはツイッター(現X)をゼロから共同設立した、先見の明のあるジャック・ドーシーです。

ブロックはここ数年、アイデンティティの問題を抱えているようです。事業としては、スクエア・ペイメントは依然として大きな地位を占めていますが、同社は未来に完全に焦点を当てているようです。

ビットコイン(BTC-USD)であれ、独自の暗号通貨であれ、ブロックチェーン上の別のフィンテック革新であれ、ブロックはブロックチェーンイノベーションを追求する最良の方法の1つであると私は考え続けています。最近のボラティリティにもかかわらず、私はブロック株に対して強気を維持しています。

株価は2021年につけた史上最高値から84%下落しています。他のハイテク株とは異なり、ブロック株はあまり回復相場の恩恵を享受しておらず、株価は最近、41ドル未満という数年来の安値をつけました。

ブロックのスクエア部門のアリッサ・ヘンリー最高経営責任者(CEO)は今月退社し、ドーシー氏が後任に就任する予定です。この予期せぬ動きは、すでに複雑な成長ストーリーに新たな不確実性をもたらすものです。

ブロックは、高成長とより良い利益率のバランスを取るために最善を尽くしているとしても、同社に対する投資家の信頼を保つことは困難です。

それでもなお、キャッシュアプリの強力なネットワークとドーシー氏の専門知識は、株価が予想PERの約18倍(5年間の過去平均の107.4倍を下回る)で取引されている間、株価にチャンスを与える十分な理由になると思われます。

ブロックの目標株価は?

ブロック株への過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」24件、「中立」6件で、TipRanksによればコンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は81.11ドルで、76.3%の上昇可能性を示唆しています。

マスターカード (NYSE:MA)

マスターカードは、おそらく現時点で最もテクノロジーに精通したクレジットカード会社です。同社の最高マーケティング責任者(CMO)であるラジャ・ラジャマナー氏は最近、Web3、NFT(非代替性トークン)、および依然として大きな可能性を秘めているその他のテクノロジーに言及しました。

他の企業がNFTやブロックチェーンから目をそらし、生成AIに熱中する中、マスターカードがそのいったテクノロジーの背後にある可能性を探求し続けることは賢明だと思います。今のところ、私はマスターカードへの強気を維持しています。マスターカードはフィンテックのイノベーターであり、そして決済処理企業です。

たとえ革新的な試みが実を結ばなかったとしても、同社は盤石なビジネスを展開しており、決済のデジタル化が進む中、消費が回復すれば勝利を収めるでしょう。経済的な逆風が吹いているものの、同社のチーフ・エコノミストであるMichelle Meyer氏は、ホリデー四半期の小売売上高は3.7%増加すると見ています。

消費の回復に伴い、マスターカードも回復するでしょう。その一方で、マスターカードはすでに大きな「堀(経済的優位性)」を持つ同社に新たな金融テクノロジーを加えるべく、その探求に余念がないでしょう。

今のところ、株価は、クレジット・サービス業界平均の実績PER20.6倍に対し、高い37倍で取引されており、史上最高値から4.3%程度の下落です。株価は決して安くはないかもしれませんが、景気後退の可能性がある2024年を前に比較的安定していることを考えれば、一考の価値があります。

マスターカード株の目標株価は?

アナリストによる過去3カ月のレーティングは、「買い」が19件、「中立」が1件となっていて、コンセンサス評価は「強気買い」です。

平均目標株価465.06ドルは、16.2%の上昇可能性を示唆しています。

Nuvei (ヌベイ、NASDAQ:NVEI)

Nuveiはあまり知られていないカナダのフィンテック企業ですが、現在の価格水準だと大きな割安株追求になると私は考えます。株価は2021年のピーク水準から約89%下落し、過去2年間は底値形成に苦労してきました。ひどいチャートにもかかわらず、この中型株(時価総額22億ドル)は、新しい取引を獲得し、新しいサービスを開始し続けています。

先週、同社はB2B顧客向けに強化された決済ソリューションを発表しました。これは、Nuveiが過去数年間に行ってきた多くの魅力的な動きの一つです。

最近の一連のイベントは多くの熱狂を集めていないものの、私は、創業者兼最高経営責任者(CEO)のフィリップ・フェイヤー氏が最近、自社の劣後議決権行使株式22,000株以上を取得したことは注目に値すると思います。

Nuvei株の予想PERは8倍弱で、インフラ・ソフトウェア業界の平均25.6倍を大きく下回っています。さらに心強いことには、一部のアナリストが、同社株の3桁の上昇率を予想していることです。

Nuvei株の目標株価は?

アナリストによる過去3カ月間のレーティングは、「買い」11件、「中立」1件で、コンセンサス評価は「強気買い」です。

平均目標株価は31.25ドルで、現在から95.6%の上昇可能性を示唆しています。

結論

誇大広告に惑わされる投資家が他のトレンドに注目する中、一流のフィンテック株取得に大金を払う必要はもはやありません。

上述の3銘柄は、革新的な能力を持ちながらも過小評価されているようです。現在、アナリストはNuveiが最も上昇する可能性があると見ており、現在の水準からほぼ100%の上昇が見込まれています。

免責事項

 ディスクロージャー

 本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、MA, SQ, NVEI: 3 Fintech Stocks Wall Street’s Pounding the Table On原文の翻訳を中心にまとめています。

 

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この記事のライター
フリージャーナリスト。出版社勤務後、1984年4月からフリー転向。以降、月刊宝石や「ダカーポ」などに原稿を執筆。月刊誌の取材・執筆活動のほか、単行本の執筆や編集等を行う。著書に『サイエンススクランブル』『我らチェルノブイリの虜囚』(いずれも共著)がある。2007年11月から2016年1月まで日本で唯一の外国為替証拠金取引(FX)の専門誌月刊「FX攻略.com」の初代編集長を務める。FXポータルサイト「エムトレ」アドバイザー歴任。
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