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イーライリリー株:イノベーションや減量薬などの成功でアナリストは強気

ストーリーハイライト

イーライリリーは最近、マンジャロのような新しい減量薬を中心に大幅な売上高増を達成しました。高いPER(株価収益率)にもかかわらず、アナリストは同社の今後に楽観的です。高いバリュエーションに対する懸念は、消費者直販の「リリーダイレクト」のような戦略的イニシアティブや、アマゾンの薬局部門との提携によって相殺される模様です。

革新的な医薬品で知られる米製薬大手のイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE:LLY)は、直近決算発表でアナリスト予想を上回った後、史上最高値付近で取引されています。不透明な薬価動向にもかかわらず、同社は堅調な業績を維持しています。さらに、イーライリリーは新たな減量治療薬の開発に注力しており、ヘルスケアセクターの一角を狙う投資家にとって特に魅力的な銘柄です。

新たな減量薬が業績を後押し

イーライリリーの2023年第4四半期売上高は93億5,000万ドルに達し、前年同期比28%の大幅増となりました。糖尿病治療薬マンジャロのような新たな減量薬の登場が、この好調な業績を後押ししました。同社の売上高は過去1年間で大幅に増加し、2022年第4四半期の73億ドルから直近まで上昇しました。この成長は加速しており、S&P500指数(SPX)のリターンを大きく上回っています。

しかし、投資家はイーライリリーの高いバリュエーションに注意する必要があります。同社の予想PERは60.8倍で、S&P 500指数構成銘柄平均の約3倍です。従って、高いバリュエーションに対して、1株当たり利益(EPS)が十分に増加するのは、当面は難しいかもしれません。同社の減量治療薬による潜在的成長は有望ですが、かなりの部分がすでに現在の株価に織り込まれている可能性があります。

こうした懸念にもかかわらず、アナリストはイーライリリーの2024年の売上高成長率を21.17%と予測しています。この予測は、業界が予想する年平均成長率(CAGR)の6.2%を大きく上回るものです。さらに、「ゼップバウンド」のブランド名で販売されているマンジャロは、ピーク時の年間売上高が250億ドルに達する可能性があると考えるアナリストも複数います。この売上高を達成すれば、製薬業界史上最も売れた医薬品のひとつに数えられるでしょう。

時価総額1兆ドルに達する最初の製薬会社になる可能性

イーライリリーの将来性は、投資家の注目を集めています。同社は、時価総額が1兆ドルに達する最初の製薬会社になる可能性があり、富裕層やアナリストが注目しています。

イーライリリーの売上高は、マンジャロのような新しい減量薬の登場によって大きく伸びました。当初は2型糖尿病の治療薬として使用されていたマンジャロは、FDA(米食品医薬品局)の減量治療薬としての承認により役割が拡大し、この成長に大きく貢献しています。その結果、イーライリリーの新製品部門は、1年前はほぼゼロだった売上高が、第4四半期だけで24億9,000万ドルに急増しました。

アマゾンの薬局部門と提携

また、イーライリリーは最近、マンジャロ、ゼップバウンドの両治療薬の販売強化を目的とした消費者直販サイト「リリーダイレクト」を導入しました。先週、同社はアマゾン・ドット・コム(NASDAQ:AMZN)の薬局部門との提携を発表し、リリーダイレクトを通じて注文された医薬品の処方箋の配達を促進します。

バンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)のアナリスト、ジェフ・ミーチャム氏は、イーライリリーに対するポジティブな見通しを医薬品開発の可能性に求めています。「投資家はマンジャロ(糖尿病)とゼップバウンド(肥満症)の商機を明確に認識していますが、心臓病、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、肝臓病における更なる商機は大きく過小評価されていると言えるでしょう」とミーチャム氏は指摘しています。

羨望の売上高/利益見通しを誇る

2023年にイーライリリーの株価は59%上昇し、過去25年間で2番目に高い年間業績を記録し、時価総額で世界最大の製薬会社の座に躍り出ました。株価は今年さらに上昇する可能性があります。イーライリリーのアナリストは、2024年第1四半期の売上高を前期比29%増の89.6億ドルと予想しています。

イーライリリー株への期待は大きく、同様にEPS成長率への期待も高いです。経営陣は、2024年第1四半期のEPSを5.7%増の2.56ドルと予測しています。さらにアナリストは、イーライリリーが今年通年では12.44ドルのEPSを達成すると予測しています。

昨年12月、イーライリリーの取締役会は四半期配当の15%増を宣言し、2024年の第1四半期配当を1株当たり1.30ドルに設定しました。

アナリストによれば、イーライリリーは「強気買い」

TipRanks によると、イーライリリーに対する過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が3人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は830.67ドルで、今後12カ月で8.1%の上値余地を示唆しています。アナリストの目標株価は様々で、安値610.00ドルから高値1000.00ドルとなっています。

結論

イーライリリーの継続的な株価上昇は、同社の売上高と成長の勢いに関する投資家のポジティブなセンチメントを反映しています。同社の財務は軒並み好調で、投資家は同社の新しい減量薬が強気の売上予測を上回ると期待しています。PERは高いものの、同社の医薬品パイプラインは充実しており、業界の成長平均を上回る可能性を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Eli Lilly Stock (NYSE:LLY): Bullish on Innovation and Pharmaceutical Success原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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