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地政学的緊張が高まる中、注目すべき防衛関連株2銘柄:クラトス・ディフェンス、ノースロップ・グラマン

ストーリーハイライト

地政学的緊張の高まりが、防衛関連銘柄にポジティブなセンチメントをもたらしています。ここでは、ウォール街のアナリストによる、進行中のイスラエル・ハマス戦争から恩恵を受ける可能性のある防衛関連銘柄を2つ取り上げます。

現在進行中のイスラエル・ハマス戦争と中東紛争がさらにエスカレートする懸念が、防衛関連株の上昇を促すと予想されています。実際、イスラエル・ハマス戦争が始まってから米国で最初の取引日となった10月9日には、いくつかの防衛関連株が急騰しました。

そういった銘柄には、ノースロップ・グラマン(NYSE:NOC)、ゼネラル・ダイナミクス(NYSE:GD)、ロッキード・マーチン(NYSE:LMT)、クラトス・ディフェンス(NASDAQ:KTOS)、エアロバイロンメント(NASDAQ:AVAV)などが含まれています。

イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスが壊滅するまで停戦はあり得ないと明言しており、現在の状況は防衛関連株への投資家心理を高めるかもしれません。ウクライナ対ロシアや中東で戦争が続く中、防衛分野に関心を持つ投資家は、SPDR S&Pエアロスペース&ディフェンスETF (XAR)、インベスコ・エアロスペース&ディフェンスETF (PPA)、ARK スペース・エクスプロレーション&イノベーション ETF (ARKX) などのETFへの投資も検討できるでしょう。

それでは、ウォール街のアナリストによる、今後上昇する可能性のある防衛関連銘柄2つを見てみましょう。

クラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズ(NASDAQ:KTOS)

クラトスは、無人システム、衛星通信、ミサイル防衛、極超音速システムなどの防衛製品・サービスを手がけており、米国国家安全保障関連の顧客、同盟国、民間企業に提供しています。

2023年上期の売上高は、前年同期比16.2%増の4億8,870万ドルでした。同期のGAAPベースの1株当たり純損失は、前年同期の0.16ドルに対し0.08ドルに減少しました。

クラトスは11月2日に第3四半期決算発表を予定しています。2023年第1四半期および2四半期の調整後EPSはアナリスト予想を上回りました。第3四半期の調整後EPSについてアナリストは、前年同期の0.08ドルから0.09ドルに上昇すると予想しています。

クラトス・ディフェンスは買いか?

10月16日、RBCキャピタルのアナリスト、Kenneth Herbert氏は、航空宇宙・防衛セクターの第3四半期決算を前にした広範なリサーチの一環として、クラトスの目標株価を16ドルから18ドルに引き上げ、「買い」レーティングを再表明しました。

Herbert氏は、防衛関連銘柄の好決算を予想しています。同氏は、下期の売上高比較が困難になる可能性はあるにせよ、防衛関連売上高の1桁台前半から半ばの伸びと好調な受注残高が、投資家心理に好影響を与えると予想しています。

同氏は、防衛関連利益率の改善期待は低下するものの、地政学的緊張の高まりが下振れリスクを抑制し、好業績を拡大させる可能性があると付け加えています。

アナリストレーティングは、「買い」5人、「売り」1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価18.33ドルは、9%の上値余地を示唆しています。クラトス株は過去1カ月で約12%上昇し、年初来では63%上昇しています。

ノースロップ・グラマン (NYSE:NOC)

防衛大手ノースロップ・グラマンの株価は、イスラエル・ハマス戦争に反応して、10月9日に11%以上急騰しました。先週木曜には、兵器への旺盛な需要に後押しされ、予想を上回る2023年第3四半期決算を発表し、投資家は歓迎しました。また、通期の売上高見通しも上方修正されました。

第3四半期の売上高は、航空システム、防衛システム、ミッション・システム、宇宙システムの全セグメントにわたる堅調な成長により、9%増の98億ドルとなりました。さらに、EPSは約5%増の6.18ドルとなり、コンセンサス予想5.81ドルを軽々と上回りました。

ノースロップは、バイデン政権から「ウクライナやイスラエルを含む緊急ニーズに対して、兵器システムや防衛産業基盤の即応態勢への投資を含む追加要請を続けている」と述べ、自社製品の需要について強気です。

ノースロップ株の見通しは?

第3四半期決算を受けて、Argus Researchのアナリスト、John Eade氏は月曜、ノースロップ・グラマン株の目標株価を500ドルから520ドルに引き上げ、「買い」のレーティングを再表明しました。

Eade氏は、ノースロップは国防支出の増減や共和党・民主党の政権に関係なく、しばしば業績予想を上回ってきたと強調しています。最近、特定の分野における米国の国防支出が増加しており、この傾向は続く可能性があると指摘しています。

同氏は、ノースロップが売上の国際的分散と宇宙システム部門に注力していることを好意的に評価しています。そして、地政学的緊張の継続が、ノースロップの売上と利益に恩恵をもたらすと予想しています。

アナリストレーティングは、「買い」6人、「中立」4人、「売り」1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価513ドルは、今後12カ月で9.5%の上値余地を示唆しています。ノースロップ株は過去1カ月で6.5%上昇しましたが、年初来では14%下落しています。

結論

地政学的緊張の高まりは、武器・弾薬の需要増を促進し、防衛セクター企業とその株価に恩恵をもたらすと予想されています

。イスラエル・ハマス戦争がさらに激化すれば、ここで取り上げた2銘柄に対する強気スタンスが高まり、さらなる上昇につながる可能性があります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、2 Defense Stocks to Watch as Geopolitics Heat Up原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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