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パフォーマンスが良く安定的な米国生活必需品株ETFとは

ストーリーハイライト

市場が不安的な中、コカ・コーラ(NYSE:KO)、チョコレートのハーシー(NYSE:HSY)、歯磨きや洗剤などのコルゲート・パルモリーブ(NYSE:CL)、たばこのフィリップ・モリス(NYSE:PM)などの生活必需品株は好決算を報告しており、長期的に着実で信頼性の高い銘柄と考えられます。

バンガード米国生活必需品株セクターETF (NYSEARCA:VDC)は、投資家がこういった優良株に分散投資できる主要な生活必需品株ETF(上場投資信託)です。

保有銘柄の安定した売上高と利益、保有銘柄が販売する製品に対する根強い需要、そして不安定な市場の中でのETFの堅調なパフォーマンスに基づき、VDCは魅力的です。また、低手数料、長い配当実績、および上位保有銘柄が誇る優れたTipRanksスマートスコアも魅力的です。

VDC ETFの戦略とは?

VDCは、インデックスファンドのパイオニアであるバンガードが20年以上前の2004年1月に設定しました。そして、ETFの運用資産(AUM)は65億ドルにまで成長しました。バンガードによると、VDCは「生活必需品株セクターの株式の投資リターンを測定するベンチマーク・インデックスのパフォーマンスに連動する投資成果を目指します」。

VDCの主要保有銘柄

VDCは105銘柄を保有しており、上位10銘柄でETFの60.7%を占めています。以下は、TipRanksの保有銘柄ツールによるVDCの上位10銘柄の概要です。

ご覧の通り、VDCは知名度の高い優良な米国生活必需品株を多数保有しています。

不況でも消費者は日用品を毎日購入

同ETFは、プロクター・アンド・ギャンブル(NYSE:PG)やコルゲート・パルモリーブなど、洗剤、消臭剤、石鹸、シャンプーなどの日用品メーカーを保有しています。これらの企業は、世界で最もエキサイティングな企業には聞こえないかもしれませんが、人々が毎日必要としている製品を販売しています。そのため、景気がどのように変動しようとも、これらの企業は強い立場にあります。

コルゲートは最近、インフレと景気の不透明感を払拭するような力強い第1四半期決算を発表しました。既存事業売上高は前年同期比9.8%増と好調で、製品価格も8.5%引き上げることができ、生活必需品大手企業が持つ強さを象徴しています。コルゲートはまた、好調な第1四半期を機に、通年の売上高ガイダンスを引き上げました。

マクロ動向にかかわらず、人々はコーラなどを愛飲

一方、VDCはコカ・コーラやペプシコ(NASDAQ:PEP)といった清涼飲料大手のポジションを保有しています。マクロ経済の動向や金利の動向にかかわらず、多くの人々は日常的にこういった企業のコーラやその他飲料を愛飲しています。

コルゲート同様、コカ・コーラも最近四半期決算を発表し、マクロ経済の困難を克服し、売上高、利益ともにアナリスト予想を上回りました。コカ・コーラによると、今年通年の既存事業売上高は前年比8~9%という驚異的な成長を遂げる見込みで、為替中立のEPS(1株当たり利益)は11~13%の伸びを予想しています。

タバコ利用者は習慣的に製品を購入

フィリップ・モリスやアルトリア(NYSE:MO )などのタバコ株も同様に強い立場にあります。タバコ利用者は習慣的に製品を購入しており、景気が低迷しているからといってこの習慣をやめる可能性は低いです。

コストコ(NASDAQ:COST)やウォルマート(NYSE:WMT)のような大型小売店は、その低価格商品のおかげで、どのような経済環境においても競争力があります。

上位10社以外の注目すべきVDC銘柄には、ハーシー、総合飲料のキューリグ・ドクター・ペッパー(NYSE:KDP)、エナジードリンクのモンスター・ビバレッジ(NASDAQ:MNST)、スポーツ飲料のセルシウス・ホールディングス(NASDAQ:CELH)などがあります。ハーシーは、カカオ価格の上昇を跳ね除けて予想を上回る素晴らしい第1四半期決算を発表したばかりです。利益は前年同期比3.7%増、売上高は8.7%増でした。

スマートスコアが高い上位銘柄

こうした弾力的なビジネスモデルと旺盛な需要に加え、VDCの上位銘柄に共通しているもう一つの点は、スマートスコアが高いことです。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的な株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄を1から10までのスコアで評価します。8点以上はアウトパフォームに相当します。

VDCの上位10銘柄のうち8銘柄がアウトパフォーム相当のスマートスコア8以上であり、VDC自体のアウトパフォーム相当のETFスマートスコアは10点満点中8点です。

長い配当実績

ペプシやコカ・コーラ、アルトリアやフィリップ・モリスなど、VDCの上位保有銘柄の多くは配当実績が長いことで称賛されています。

VDCの現在の配当利回りは2.5%です。大きな利回りではありませんが、S&P500指数(SPX)の利回り1.4%を上回っています。加えて、VDCは18年連続で配当を支払っており、配当を支払うETFとして信頼できる実績があります。

手ごろな経費率

多くのバンガードETFと同様、VDCの経費率は0.10%(運用報酬0.09%+その他経費0.01%)と控えめです。つまり、このETFの投資家は、毎年1万ドルの投資に対してわずか10ドルの手数料を支払うだけです。

長期的には、このような低コストのETFに投資することで、投資家はかなりの金額を節約することができます。このETFが今後年率5%のリターンを上げ、現在の経費率を維持すると仮定すると、このETFに1万ドルを投資した投資家は、10年間でわずか128ドルの手数料を支払うことになります。

アナリストによれば、VDCは「買い」か?

TipRanksによれば、VDCのアナリスト・コンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のアナリストレーティングに基づいており、「買い」は56件、「中立」は43件、「売り」は6件です。VDCの平均目標価格の220.16ドルは、今後12カ月で8.8%の上値余地を示唆しています。

結論

景気は浮き沈みし、株式市場も上下しますが、消費者は常に生活必需品企業が販売する製品を必要としています。これらには、コカ・コーラやペプシの清涼飲料水やコルゲート・パルモリーブの歯磨き粉などが含まれます。最もセクシーなセクターではないかもしれませんが、生活必需品企業は利益も売上高も安定しており、VDCの魅力となっています。

決算シーズンを通して、コカ・コーラ、ハーシー、フィリップ・モリス、コルゲート・パルモリーブ、その他の生活必需品銘柄がこれを証明しています。

また、VDC保有銘柄のスマートスコアが高く、経費率が低く、配当利回りも魅力的です。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、VDC: Strong and Steady Consumer Staples ETF原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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