ストーリーハイライト
アーク・インベストメント・マネジメントのCEO/CIOであるキャッシー・ウッド氏の投資哲学は、破壊的な資質を備えた高成長銘柄を重点的に選ぶポートフォリオへの揺るぎない信念に基づいています。それでも、インフレの急上昇と高金利という経済状況を背景に、その戦略は2021年から2022年にかけて大きく下落しました。
しかし、アーク・インベストの旗艦ファンドであるARKKは、今年その勢いを取り戻したようで、高金利後の状況を見据えると、ウッド氏はその勢いは今後も続くと予想しています。
キャシー・ウッド氏の見立て
ウッド氏は最近、「金利上昇への恐れが当社戦略に悪影響を与え、そして実際、昨年は金利上昇が当社の戦略に大きな損害をあたえました」と語りました。「今年、私たちはアウトパフォームし始めていますが、これは投資家が金利上昇の終わりを予測し、最終的には金利が低下することを見越しているからだと思います」と述べています。
ウッド氏は次のように続けています。「私たちが正しければ、破壊的イノベーションが多くのデフレを引き起こすでしょう。それは良いことです。破壊的イノベーションによるデフレは、破壊的イノベーション関連分野における事業成長率を爆発的に高めるでしょう。ですから、私たちは最悪の事態を乗り切ったと考えています」
ここでウッド氏が正しいとすれば、「破壊的イノベーション」が進むべき道なのかもしれません。それを念頭に置いて、ウッド氏が最近積極的に投資しているこの種の銘柄をいくつか調べてみることにしました。
実は、これらの銘柄をポートフォリオに加える価値があると考えるのはウッド氏だけではありません。TipRanksのデータベースによると、一部のウォール街アナリストは、以下で紹介する2銘柄に大きなポテンシャルがあると見ています。投資家が注目すべき理由を見てみましょう。
アーチャー・アビエーション (ACHR)
破壊的イノベーションといえば、都市型エアモビリティの領域を掘り下げてみましょう。アーチャー・アビエーションは、革新的な電動垂直離着陸機(eVTOL)の製造・技術企業です。
アーチャーは、新興の都市エアモビリティ(UAM)業界の主要企業で、短距離の都市部での航空を目的とした持続可能で効率的な電気航空機を開発することで、都市交通に革命を起こすことをミッションとしています。
アーチャーはまだ売上を上げておらず初期段階にありますが、大きな後ろ盾があり、最近、自動車大手のステランティス、ボーイング、ユナイテッド航空を含むコンソーシアムから2億1500万ドルの投資を得ました。
同社のeVTOL車両である「ミッドナイト」の受注残には、戦略的パートナーとされる米航空会社のユナイテッド航空とメサが含まれており、ミッドナイトの量産を独占的に請け負うステランティスも含まれています。アーチャーは、2024年に型式認証を取得し、翌年に商業運航を開始することを目標としています。
さらに今月初め、同社は米空軍からモバイル・フライト・シミュレーターの初期費用として総額100万ドル近くが支払われたことを発表。これは、最近開示された1億4,200万ドルに上る契約の最初の支払いに相当します。
今年最大のサクセスストーリーのひとつ
アーチャー株は、最近の反落の後でも今年最大のサクセスストーリーの一つであり、年初来で180%の上昇を達成しています。
その間、ウッド氏も買い増しています。同氏は、ARKK、ARKQ、ARKX ETFを通じて、過去2ヶ月間に6,005,798株を購入しました。これらのETFは現在、合計で15,798,848株を保有しており、その時価総額は8,200万ドルを超えています。
レイモンド・ジェームズのアナリスト、Savanthi Syth氏は、この破壊的企業には未知の部分が多いものの、ユニークな価値提案を提供していると考えています。
「米連邦航空局(FAA)のスケジュールはまだ確実ではないものの、アーチャーはカバレッジ対象企業の中では認証取得でリードを続けており、業界は2024年に認証に準拠した航空機を導入する方向で前進を続けています(アーチャーと競合のジョビーは24年上半期にパイロット搭乗飛行する可能性が高い)。
一般の人々や投資家の間でセンチメントの勢いが高まるはずと私たちは考えています」とSyth氏は説明しています。「私たちは、eVTOL関連の見通しと投資機会について概して建設的ですが、アーチャーは際立っており、現在までの進展と商業化へのバランスの取れたアプローチを組み合わせた現在のバリュエーションが特に魅力的です」
こういったコメントは、Syth氏のアウトパフォーム(=買い)レーティングを支えるものであり、同氏の目標株価9ドルは、今後1年間で株価が71%上昇することを示唆しています。
全体としては、強気派は大きくアーチャーを支持しており、コンセンサス評価は「強気買い」であり、4人のアナリストが一致して肯定的な評価を下しています。株価は5.21ドルで取引されており、9.5ドルの平均目標株価は、1年間の上値余地が最大81%であることを示唆しています。
CRISPRセラピューティクス (CRSP)
CRISPRセラピューティクスは、深刻な疾患に対する画期的な遺伝子ベースの治療法の開発を目標とする遺伝子編集のリーディング・カンパニーです。同社は、独自のCRISPR/Cas9プラットフォームを活用し、遺伝子の正確かつ的を絞った改変を可能にする画期的なゲノム編集ツールを提供しています。
同社は、ヘモグロビン異常症、腫瘍学、再生医療、希少疾患など、さまざまな病状にわたる治療プログラムの多様なポートフォリオを有しています。
しかし、バイオテクノロジーではカタリストが全てであり、CRISPR社には大きなカタリストが控えています。
バーテックス・ファーマシューティカルズとの提携により、CRISPRは鎌状赤血球症(SCD)および輸血依存性ベータサラセミア(TDT)の治療薬となる可能性のあるexa-cel(exagamglogene autotemcel)の開発を進めてきました。
FDA(米国食品医薬品局)は、SCD適応症について優先審査権を付与し、PDUFA(処方薬ユーザーフィー法)で承認審査期限を12月8日に設定しました(TDTについては2024年3月30日に設定)。
これに先立ち、10月31日には諮問委員会が開催され、生物製剤承認申請(BLA)に関する審議と勧告が行われる予定です。従って、Exa-celはFDAの承認を得る最初のCRISPR遺伝子編集療法となる可能性があります。
革新的なソリューションを提供
このような名前と革新的なソリューションの可能性は、まさにウッド氏の好みにぴったりです。過去2ヶ月間、彼女はARKKとARKGのETFを通じて194,324株を購入しました。これらのETFは現在、合計6,529,322株、2億7,750万ドル相当を保有しています。
Truistのアナリスト、Joon Lee氏は、承認がもたらす影響に疑いの余地はないと考えており、その他の予想される展開でさらに輝きを増すと見ています。
「SCDのexa-celのPDUFAは12月8日で、ASH2023(2023年度全米血液学会)が始まる前日であり、CRISPRにとって転換点となる可能性があります」とLee氏は書いています。
「EU/英国の承認審査も進んでおり、12月22日の申請に基づいて近い将来に承認される可能性があります。IO、再生医療、生体内プログラムも進んでおり、YE23(2023年度遺伝子学会)までに更新される可能性があります」
Lee氏は次にようにまとめています。「CRISPRは、歴史的な初のCRISPR-Cas編集による治療用医薬品を提供する目処が立っており、2030年までにピーク時には米国で25億ドルの売上機会を得ることができると考えています。CRISPRは当社の2023年のお気に入り5銘柄の一つです」
Lee氏がCRISPR株を「買い」と評価していることには不思議はありませんが、ウォール街の中では最も高い同氏の目標株価220ドルは、今後12ヶ月で417%の巨大な成長ポテンシャルがあることを示唆しています。
さて、これがTruistの見解で、次にウォール街の他のアナリストに注目してみましょう。「買い」が10件、「中立」が5件、「売り」が1件で、コンセンサス評価は「中程度の買い」となります。今後数カ月で平均目標株価83.33ドルが達成されれば、94.51%の上昇余地があります。
魅力的なバリュエーションで取引されている銘柄の良好なアイデアを見つけるには、TipRanksの株式に関するあらゆる見識を統合した新ツール、TipRanksのBest Stocks to Buyをご覧ください。
本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Cathie Wood Pours Millions Into These 2 Stocks, Analysts Say They Have Strong Upside Potential — Here’s Why You Should Pay Attention原文の翻訳を中心にまとめています。
米国株