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キャタピラー株:成長鈍化にもかかわらず株価上昇が続くと思われる理由

ストーリーハイライト

重機、建設、鉱山機械の大手であるキャタピラー(NYSE:CAT)の2023年の業績は、売上高、利益ともに過去最高を記録しました。同社の成長は今年は低下すると予想されるものの、インフラ投資は引き続き堅調であり、株価の妥当なバリュエーションも相まって、強気ケースをサポートしています。

キャタピラーは、2023年に驚異的な業績を上げ、先日、通期決算が発表されると株価は史上最高値を更新しました。2024年は同社にとって一段落の時期になると予想されています。しかし、株価がさらに上昇する可能性は否定できません。

キャタピラー史上最高の年

2023年は、キャタピラーが事業のあらゆる面で優れた業績を上げたため、史上最高の年となりました。過去最高の売上高、利益率、利益、株主還元など、前例のないマイルストーンを達成しました。これらはすべて、近年で最も困難なマクロ経済環境を乗り切りながら達成されたものです。

要約すると、2023年度の業績は以下の通りです。

  • サービス部門の売上高230億ドル(前年比5%増)を含む、過去最高の総売上高671億ドル(前年比3%増)
  • 売上総利益率は2022年度の26.2%から31.7%に上昇
  • 過去最高の調整後営業利益率20.5%(前年度比510ベーシス・ポイント増)
  • 過去最高の調整後EPS(1株当たり利益)は2022年度比53%増の21.21ドル
  • 過去最高の約100億ドルのフリーキャッシュフロー
  • 過去最高の約75億ドルの株主還元

米政府支出に支えられた記録的なインフラ投資の恩恵を享受

通常、景気循環の影響を受けやすい企業がこのような驚異的な数字を達成したことは、特に2023年に直面したマクロ関連のボラティリティの高まりを考慮すると、注目に値します。

キャタピラーは堅調な業界の追い風を享受しています。建設機械・重機業界は、前例のない政府支出に支えられた記録的なインフラ投資により、大きな恩恵を受けています。これは、2021年に承認された1兆2,000億ドルの超党派インフラ法案によるものです。業界最大手であるキャタピラーは、このトレンドの主な受益者であると思われます。

キャタピラーの勢いは2024年も続くのか?

キャタピラーの業績がこのように急上昇しているのを見て、投資家としてまず抱く疑問は、この勢いが持続できるかどうかということです。経営陣の今年の見通しからすると、インフラへの継続的な支出に後押しされ、キャタピラーの機械・設備に対する並外れた需要は持続するようです。しかし、逆風がキャタピラーの強みを相殺する可能性もあります。

経営陣は以下のような追い風を期待しています。

  • 旺盛な政府インフラ支出に牽引され、北米の建設業界は健全な状態を維持
  • 中南米では、金融情勢の改善により建設活動が活発化
  • 中東が機械需要に大きく貢献
  • 長期的な成長機会を支えるエネルギー移行の全般的傾向

一方、これらのカタリストは、いくつかの障害によって相殺される可能性があります。

  • アジア太平洋地域の景気軟化
  • 中国の10トン以上のショベル産業は低水準に
  • 欧州の経済不安
  • エネルギー・運輸部門における産業用需要の軟化
  • 北米の石油・ガスセクターにおける坑井整備の短期的な減速

その結果、キャタピラーの売上高と利益を大きく押し上げる主要カタリスト(インフラ支出)がなくなるわけではありませんが、潜在的な好材料は逆風によって相殺される可能性があります。

したがって、2024年の売上高とEPSのコンセンサス予想は674億ドルと21.01ドルで、それぞれ前年比で0.5%とマイナス0.6%の変化を意味します。基本的に、ウォール街は前年比横ばいを予想しています。

株式の魅力的なバリュエーション

キャタピラーの売上高と利益の伸びは今年減速すると予想されていますが、これは必ずしも株価にとって悪いことではありません。確かに、売上高と利益の成長は常に株価上昇の確かなカタリストです。しかし、キャタピラーの場合、株価上昇を促進するのはさらなる成長ではありません。むしろ、株式の魅力的なバリュエーションです。

キャタピラーの株価は、奇妙に聞こえるかもしれませんが、割高になるほど急騰していません。前年の株価は23.4%上昇しましたが、調整後EPSは同期間に53%も大幅に上昇しました。

2024年の年初来上昇でキャタピラーの業績が好調だったとしても、株価は今年の予想利益の15倍という妥当な水準で取引されています。

好調なインフラ投資が数年間続くという見通しを含め、業界の強力なカタリストはメガサイクルの可能性を示しています。このため、収益は中期的に過去最高水準か、それに近い水準で推移する見通しです。堅調なキャピタル・リターンと相まって、株価はさらに上昇すると考えられます。

アナリストによると、キャタピラー株は「買い」か?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が7人、「中立」が9人、「売り」が2人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の314.76ドルは、今後12カ月で0.6%の下値余地を示唆しています。

キャタピラー株の売買でどのアナリストに従うべきか迷っているのであれば、(1年間のタイムフレームで)最も正確なアナリストはクレディ・スイスのJamie Cook氏で、レーティング毎の平均リターンは27.51%、成功率は79%です。

結論

キャタピラーは2023年に、かなり厳しいマクロ環境にもかかわらず、記録的な売上と利益を達成し、素晴らしい業績を残しました。2024年に向けて、同社はいくつかの市場で逆風に直面する可能性がありますが、インフラ支出は引き続き堅調であるため、同社の収益は記録的なレベルに近い水準を維持するとみられます。

仮に成長が一息ついたとしても、現在の株価バリュエーションは妥当と思われます。従って、株価は以前のような上昇を繰り返すことはないかもしれませんが、多くのアナリストはキャタピラーの将来のリターンについて楽観的です。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Why Caterpillar Stock (NYSE:CAT) Can Keep Rising Despite a Growth Slowdown原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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