米国株

バフェット氏が愛し、上値余地も魅力的な5銘柄

ストーリーハイライト

配当と株価上昇の両面で安定したリターンを得たい投資家は、伝説の投資家であるウォーレン・バフェット氏の株式投資アイデアを参考にできるでしょう。今回は、バフェット氏の投資先トップ10の中から、今後12カ月間に大きな上昇可能性がある5銘柄をご紹介します。

バフェット氏は、自身のコングロマリットであるバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.A)(NYSE:BRK.B)を通じて企業に投資しています。バークシャーのポートフォリオは、13-F(規制当局への提出書類)を通じて、四半期ごとに公開されていますので、見ることができます。

バークシャーの投資の大半はテクノロジーセクター

バフェット氏のポートフォリオは、過去12カ月間で17.71%の平均リターンを創出し、シャープレシオは1.39です。現在、バークシャーの投資の大半はテクノロジーセクターで、ポートフォリオの51.44%を占めています。次に大きいのは金融で(24.14%)、消費ディフェンシブ(10.88%)、エネルギー(9.53%)と続きます。

1位 アップル (NASDAQ:AAPL)

アップルはバフェット氏に最も愛されている銘柄で、彼のポートフォリオで長年1位の座を占めています。2023年末時点で、ポートフォリオの42.4%を占めています。バフェット氏は2016年に初めてアップルを買い始め、2023年末時点でバークシャーは1,550億ドル相当9億5,056万株保有しています。バークシャーはアップルの発行済株式数の5.9%を保有しています。

「堀」を備えているアップルの製品

iPhoneメーカーであるアップルは近年、スマートフォンやタブレット、ラップトップなど、これまでのような革新的な製品を発表していません。しかし、アップルの中核的な価値は、主要市場でプレミアムの地位を占める製品に対する旺盛な需要にあり、バフェット氏が重視する経済的な「堀(モート、強力な競争優位性)」を備えています。

アップルで最も待望されているVision Proヘッドセットは、仮想現実市場を大きく変えると予想されています。とはいえ、アップルは最大の市場である中国からの需要が悪化していることや、現在進行中の訴訟もあり、一定の困難に直面しています。

アップルのアナリスト予想は?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」が9人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。アナリストの今後12カ月の平均目標株価は、現在の水準から19.7%の上値余地を示唆しています。

2位 シェブロン(NYSE:CVX)

米エネルギー大手のシェブロンは、バークシャーのポートフォリオで5.3%と5番目に大きなポジションを占めています。バークシャーは2023年末現在、1億2,609万株(194億ドル相当)保有しています。実質的には、シェブロンの発行済株式数の6.8%保有していることになります。シェブロンは「配当貴族(25年以上連続で増配している企業)」として知られ、過去36年間、大きな配当と一貫した増配を続けています。

グローバル・エネルギー産業の重要なプレーヤー

シェブロンの直近の四半期配当は1株当たり1.63ドルで、3月11日に支払われ、利回りは4.05%でした。シェブロンは、石油・天然ガスの生産、精製、小売のあらゆる面に関与しており、米国第2位の規模を誇っています。バフェット氏が、グローバル・エネルギー産業の重要なプレーヤーであるこの銘柄を手にしているのは不思議ではありません。

シェブロンは今買うべき銘柄か?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が10人、「中立」が6人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。今後12カ月の平均目標株価の176.63ドルは、現在の水準から14.8%の上値余地を示唆しています。シェブロンの株価は過去1年間で4.3%下落しています。

3位 クラフト・ハインツ (NASDAQ:KHC)

クラフト・ハインツは、消費者向けパッケージ食品・飲料の最大手企業の一つです。バークシャーのポートフォリオで7位(3.1%)を占め、3億2,563万株、112億4,000万ドル相当を保有しています。バークシャーは、クラフト・ハインツの発行済株式数の26.8%も大量に保有しています。

バフェット氏が「割高投資」と認識している数少ない銘柄の一つ

クラフト・ハインツは、バフェット氏が割高な投資であると認めている数少ない銘柄の一つです。彼が積極的に関与した2015年のクラフト・フーズとH.J.ハインツの合併後、バフェット氏が期待したほどのリターンは得られていませんが、魅力的な配当を払っています。

クラフト・ハインツは3月29日に1株当たり0.4ドルの次の四半期配当を支払う予定です。配当利回りは4.57%で、セクター平均よりはるかに高いものです。

クラフト・ハインツは「買い」か、「売り」か、「中立」か?

アナリストの間では、クラフト・ハインツ株について意見が分かれています。TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が5人、「中立」が8人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。今後12カ月の平均目標株価の38.21ドルは、現在の水準から10.7%の上値余地を示唆しています。クラフト・ハインツ株は、過去1年間で9.5%下落しています。

4位 コカ・コーラ (NYSE:KO)

コカ・コーラはノンアルコール飲料市場のヒーローです。同社は「配当王(50年以上連続で増配している企業)」でもあり、バフェット氏が同社株のポジションを築いた理由も納得できます。

コカ・コーラは、バークシャーのポートフォリオで4番目に大きな投資先(6.7%)です。バフェット氏は1988年以来、コカ・コーラ株を買い続け、12月31日現在、発行済株式数の9.3%を占める4億株を積み上げ、その価値は244億5,000万ドルに達しています。

パンデミックやインフレ環境も難なく乗り切る

コカ・コーラは消費者向けの主力企業であるため、パンデミックやインフレ環境も難なく乗り切りました。同社の飲料やスナック菓子の需要は一貫して伸びています。バフェット氏は以前、コカ・コーラ株を売却することはないと主張していました。コカ・コーラは安定したキャッシュフローを備えた広い堀を享受しており、自社株買いや配当を通じて株主に継続的に恩恵をもたらしています。

コカ・コーラは62年連続で増配しています。1株当たり0.48ドルの現在の四半期配当は4月1日に支払われます。配当利回りは3.05%で、業界平均を上回っています。

コカ・コーラの目標株価は?

ポジティブな属性にもかかわらず、TipRanksによれば、コカ・コーラ株のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングで、11人の「買い」、4人の「中立」の評価に基づいています。今後12カ月の平均目標株価の66.20ドルは、現在の水準から8.3%の上値余地を示唆しています。

5位 オキシデンタル・ペトロリアム(NYSE:OXY)

アメリカの石油・天然ガス巨大企業であるオキシデンタル・ペトロリアムは、バフェット氏の重要なストックピックの一つです。同氏は2019年にオキシデンタル株の積み増しを開始し、以来、発行済株式数の28.2%を保有しています。

バークシャーは、2023年末時点で、153億9,000万ドル相当のオキシデンタル株2億4,802万株を保有しています。オキシデンタルはバークシャーのポートフォリオで着実に順位を上げ、現在6位を占めています。

炭化水素探査のリーダー

オキシデンタルは米国における炭化水素(炭素と水素からなる化合物の総称)探査のリーダーであり、炭素回収技術にも進出しています。まだ配当貴族ではありませんが、1株当たり0.22ドルの配当を支払っており、利回りは1.17%です。

オキシデンタルの目標株価は?

オキシデンタル・ペトロリアムの今後12カ月の平均目標株価の67.86ドルは、現在の水準から9.4%の上値余地を示唆しています。また、オキシデンタル株は、TipRanksによれば「中程度の買い」のコンセンサス評価を得ています。オキシデンタル株は過去1年間で3.1%上昇しています。

結論

ウォーレン・バフェット氏は、長期的な銘柄選択で魅力的なリターンを創出した実績があります。投資家は、彼の売買パターンを参考にすることで、どの銘柄が長期的に勝つ可能性が高いかを理解できます。上記の5銘柄はバフェット氏のお気に入りであり、また今後12カ月にかけて魅力的な上昇可能性を秘めています。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、5 Stocks that Warren Buffett Loves原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事