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フィンテックのブロック、安値から2倍になり、さらなる上値余地

ストーリーハイライト

米国で人気のCash Appを運営するフィンテック企業、ブロック(NYSE:SQ)の株価は、ややさえない第4四半期決算発表後にポジティブな2024年のガイダンスがあり、最近上昇を続けています。株価は、昨年10月につけた安値から2倍になり、成長株投資家の心(と投資資金)を取り戻す好機かもしれません。

今回の株価倍増は大きな出来事ですが、ブロックの株価は2021年のピークからまだ73%も下落しており、金利が低下するにつれて上昇余地は十分に残されているとみられます。

ドーシー氏、Cash AppとSquareの強化に注力

創業者のジャック・ドーシー氏と彼のチームが、ビジネスのビッグ2(個人間送金アプリのCash Appと中小企業向け決済サービスのSquare)を強化しようとしている中、ウォール街のアナリストは強気で、より高い道筋を見ており、同社の明るい2024年の見通し発表後、目標株価とポジションを引き上げています。

2024年はターニングポイントとなり得るか?

ブロックは、収益性を改善しつつあるようです。最新のガイダンス更新では、2024年通期の売上総利益を、コンセンサス予想の85.5億ドルをやや上回る86.5億ドルとしています。EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)も、予想を10%以上上回る26.5億ドルになる見込みです。

今後、景気回復だけでもブロック株の復活には十分かもしれません。また、ブロックのコスト抑制への努力も加わり、ブロック社の直近業績と2024年第1四半期への明るい期待の後では、利益確定売りに走るのは厳しいと思われます。

第4四半期決算は全般的にはさえなかったが、Cash Appはポジティブサプライズに

なお、2023年第4四半期の業績は、特筆すべきものではありませんでした。売上高は58億ドルで、アナリスト予想を若干上回りましたが、EPS(一株当たり利益)は、アナリスト予想の0.58ドルを下回り0.45ドルでした。

それでも、第4四半期決算には、ポジティブな点もありました。Cash Appの売上高は、アナリスト予想の37.1億ドルを上回る前年同期比31%増の39.1億ドルとなり、5%以上のポジティブサプライズとなりました。SquareとAfterpay(後払い決済サービス)も、好調なシーズン(ブラックフライデーとサイバーマンデー)に後押しされました。

ブロックの3大推進力は、餓えたライバルの存在にもかかわらず、より良い結果を出しつつある

ブロックの3つの推進力(Cash App、Square、Afterpay)は、正しい軌道に戻りつつあるようです。そして、ドーシー氏がコストを抑制しつつ成長強化に注力しているため、これらの推進力は長期的にさらに拡大する可能性があります。

なお、より高い金利環境では、ブロックのような企業は、自らを維持できることを証明しなければなりません。これまでのところ、同社は高金利環境への適応でかなりうまくいっているとみられます。

目を見張る最近のSquareの回復、生成AIを活用へ

Squareの最近の回復力には目を見張るものがあります。販売時点情報管理システム(POS)の分野でライバルが増え、その競争に打ち負かされる恐れがあると考えられていたエコシステムとしては、このセグメントの業績は悪くありません。おそらく、ブロックに対する多くの弱気論者は、Squareのエコシステムが様々な加盟店にとってどれほど粘着性があるかを過小評価していたのでしょう。

アップル(NASDAQ:AAPL)のような企業が、フィンテック・サービス分野でより大きなパイを獲得しようとしている中、Squareは群れをリードし続ける方法を見つける必要があります。今のところ、Squareは加盟店を囲い込んでいるため、競合他社の最初のラッシュをかわすことができそうです。

もちろん、Squareは競争をかわすために常に気を張っている必要があります。今のところ、Squareのエコシステム強化のために生成AIに注目しているドーシー氏の方が優勢かもしれません。SquareがAIの力を活用し続ける限り、Squareは他社に先んじることができ、決済市場におけるSquareのシェアをディスラプター(破壊的企業)が食うのは、より困難になるでしょう。

アナリストによると、ブロック株は「買い」?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が27人、「中立」が4人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の90.96ドルは、今後12カ月で18.3%の上値余地を示唆しています。アナリストの目標株価は安値62.00ドルから高値100.00ドルまでとなっています。

結論

ブロックの2024年初頭のポジティブなガイダンスは、さらなる励みになります。ドーシー氏が生成AIを採用し、Square、Cash App、さらにはAfterpayの粘着性を高めています。復活を進めている同社には上値余地がかなりあるとみられるため、利益確定で売るべきではないでしょう。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Block Stock (NYSE:SQ) Doubled from Lows. More Upside Is Likely原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
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