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バイドゥvs.アリババ:ベストな中国ビッグテック株は?

ストーリーハイライト

バイドゥとアリババは長年、欧米で人気の中国インターネット株でしたが、ここ数年は大きく人気を落としています。そして、最近の株価急落は、両銘柄が買い場かどうかを見極める絶好の機会とみられます。

この記事では、TipRanksの比較ツールを使って、バイドゥ (百度、NASDAQ:BIDU)とアリババ (NYSE:BABA)の2つの中国ビッグテック株を評価し、どちらが優れているかを調べました。

バイドゥは、世界最大級のAI(人工知能)・インターネット企業です。一方、アリババは、電子商取引、小売、インターネットベースのテクノロジーに特化しています。両社は直接競合するわけではありませんが、どちらも中国を拠点とするビッグテック企業であり、バイドゥはしばしば「中国のグーグル」、アリババは「中国のアマゾン」と表現されます。

バイドゥの株価は、直近3カ月で13%下落し、ここ1年では20%下落しています。株価は1月12日だけで7%急落し、ここ1年以上で最大の下げ幅となりました。一方、アリババ株はここ1年で39%と大きく下落し、うち直近3カ月では16%下落しています。

中国に対する懸念で両銘柄とも大きく下落

両社の1年間の下落率は異なりますが、最近の下落率が似ているのは中国に対する懸念に起因しています。

「インベスコ・ゴールデン・ドラゴン・チャイナETF(NASDAQ:PGJ)」の下落に見られるように、ここ数カ月、米国上場の中国株は全般的に対中関係の悪化により下落しています。このETFは、米国に上場する中国株で構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数に連動する投資成果を目指していますが、過去1年間で23%下落、直近3カ月で8%下落しています。

このように、中国固有の多くの問題は両社の銘柄レーティングに重要な役割を果たしていますが、企業固有の要因を詳しく見ると、明確な勝者がいることを示唆しています。

バイドゥ (百度、NASDAQ:BIDU)

バイドゥの現在の株価収益率(PER)は12.6倍で、2019年3月以降の平均24.6倍に対して大きなディスカウントで取引されています。残念なことに、同社の生成型AIボット「アーニー」プラットフォームと中国の軍事研究を関連付ける報道が最近あり、当面の間バイドゥの株価を圧迫し続ける可能性があるため、現時点では中立的な見方が適切と思われます。

バイドゥによれば、アーニーは、質問に対して人間のような応対を生成でき、オープンAIのChatGPTとほぼ同様の機能を有しています。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、中国軍のサイバー戦争を扱う部門に所属する大学が、バイドゥのアーニーを使ってAIシステムをテストしたと報じました。

バイドゥは中国軍との提携を否定するものの、米国による制裁の可能性で懸念高まる

1月15日に、バイドゥは大学や中国軍との提携を否定し、研究については知らないと主張しました。しかし、この報道は、中国軍とのこのような提携を抑制することを目的とした、中国企業に対する米国の制裁の可能性について懸念を引き起こしました。

米国がバイドゥに報復するかどうかや、この報道の長期的な影響を測るのは時期尚早ですが、バイドゥの株価リターンは、短期的には上昇幅が限定的であることを示唆しています。バイドゥの株価は過去3年間で56%急落し、過去5年間と10年間はそれぞれ36%と37%下落しています。

バイドゥ株の目標株価は?

バイドゥ株には短期的および長期的にいろいろな課題はあるものの、TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が17人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は169.21ドルで、今後12カ月で61.9%の上値余地を示唆しています。

アリババ (NYSE:BABA)

アリババの現在のPERは10倍で、5年平均の35.2倍から大幅に割安となっています。中国関連の問題は長期的にアリババの株価に重くのしかかっており、トンネルの先に光が見えるまでは中立的な見方が適切かもしれません。

以前、アリババ株の強気ケースで最も注目されたのは、6つの事業部門を別会社に分離する計画で、これにより株主価値が大幅に上昇する可能性があることでした。しかし、これらの計画のほとんどは実現しないようです。

クラウド事業の分社化計画中止で株価急落

アリババは11月、米国による、中国への半導体輸出規制の拡大を理由に、クラウド事業の分社化計画を中止すると発表し、株価が急落しました。また、香港のスマート物流事業「Cainiao」の上場は進めているものの、食料品小売チェーン「Freshippo」の上場計画は中止しました。

長期的に見ると、アリババ株は過去3年間で71%急落し、過去5年間で53%下落、2014年9月以降では19%下落しています。

したがって、中国経済が本格的な回復の兆しを見せ始め、中国関連の問題が解決されるまで、あるいは計画されている事業分離についてより明確になるまで、様子見が最善と思われます。

アリババ株の目標株価は?

アリババも様々な課題を抱えていますが、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が18人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の120.85ドルは、今後12カ月で74%の上値余地を示唆しています。

結論

バイドゥとアリババに対しては、中国における潜在的な問題を理由に中立的な見方をしていますが、少なくとも一時的にはアリババの勝ちです。バイドゥの中国軍に関わる懸念はより切迫しているように見えます。一方、アリババは複数のスピンオフを通じて、株主に大きな価値をもたらす可能性があります。

しかし、バイドゥとアリババのバランスが突然変化し、バイドゥの問題が解決されるか、アリババが残りのスピンオフをすべて確実にキャンセルした場合、バイドゥが有利になる可能性があります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、BIDU vs. BABA: Which Chinese Big Tech Stock is Best?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
TipRanksの専属編集者兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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