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「強気買い」ヘルスケア株でベストの選択は?

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割安成長株を探すバリュー投資家にとって、ヘルスケア業界には魅力的な選択肢が多くあります。現在、ウォール街で注目されている3つのヘルスケア銘柄を見ていきましょう。

バリュエーションが高いテック株に対して一息入れたい投資家にとって、ヘルスケア業界は魅力的な投資先です。ヘルスケア銘柄であれば、高成長株に高いPER(株価収益率)は求められません。

今回は、TipRanksの比較ツールを使い、アナリストコミュニティから「強気買い」のコンセンサス評価を受けている3つのヘルスケア銘柄、リジェネロン、シグナ、ボストン・サイエンティフィックについて解説します。

リジェネロン (Regeneron, NASDAQ:REGN)

リジェネロンは革新的なバイオテクノロジー企業で、時価総額は1,113億ドルと大きく、株価は4桁台で株式分割の時期を迎えています。同社は、炎症関連疾患、眼疾患、がん、肝疾患など様々な疾患をカバーする豊富なパイプライン(新薬候補)を有しています。

保有期間が長くなるほど魅力が増すバイオテクノロジー株であり、今後のカタリストや依然として割安なバリュエーションを考慮すると、ウォール街は強気です。

直近の2024年第1四半期のEPS(1株当たり利益)は 9.55ドルで、コンセンサス予想の10.17ドルを下回りましたが、投資家は今後の成長に期待を寄せています。

有力な治療薬の売上増が成長ドライバーに

Dupixent(炎症治療薬)とLibtayo(がん免疫療法薬)の第1四半期売上は、前年同期比でそれぞれ24%、45%増加しました。これらの薬剤は、Eylea(眼疾患治療薬)とともに、リジェネロン株の新たな高値を期待させる重要な成長ドライバーです。

今年の後半には、これら3つの薬剤が、まずまずの第1四半期決算に続き、ポジティブサプライズをもたらす可能性があります。なお、予想PER22.9倍は、バイオテクノロジー業界平均38.1倍に対して大幅に割安となっています。

リジェネロン株の目標株価は?

TipRanksによれば、リジェネロン株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が17人、「中立」が2人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の1,074.22ドルは、今後12カ月で4.5%の上値余地を示唆しています。

シグナ (Cigna, NYSE:CI)

シグナは医療サービスプロバイダーで、リジェネロンのような急成長バイオテクノロジー企業ほど刺激的ではないかもしれません。しかし同社は、競合他社の株価を圧迫してきた業界の逆風にうまく対処してきました。

実際、昨今のマネージドヘルス(医療費の抑制と質の向上を目指した医療保険とサービス提供)業界は投資家にとって厳しい状況です。困難な状況にもかかわらず、シグナの経営陣は、主に賢明な買収によって、逆境に立ち向かう素晴らしい手腕を発揮してきました。

シグナは、大規模買収によって顧客のコスト削減を実現できる可能性がありますが、当面は「ボルトオン」型買収(既存事業の補完・強化を目的とした買収)に満足しているようです。また、規制当局は業界を問わず、巨大合併に対して厳しく取り締まっているようです。ヘルスケア保険業界の隅々には、まだ多くの人が気づいていない隠れた価値があるのかもしれません。

100億ドルの自社株買いを進める

いずれにしても、シグナは昨年末に発表した100億ドルの自社株買い戻しを進めており、優れた企業です。シグナ株は割安で、近年、同業他社に対して大きな進捗を遂げていることを考えると、自社株買いは効果的な価値創造につながる可能性があります。執筆時点では、シグナ株の予想PERは11.9倍で、ヘルスケアプラン業界平均の13.1倍をわずかに下回っています。

シグナ株の目標株価は?

TipRanksによれば、シグナ株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が11人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の395.00ドルは、今後12カ月で17.5%の上値余地を示唆しています。

ボストン・サイエンティフィック (Boston Scientific, NYSE:BSX)

ボストン・サイエンティフィックは、医療機器メーカーで、株価は過去1年間で50%以上上昇し、77ドルを超えて過去最高値を更新しています。しかし、株価が急騰しているからといって、利益確定のタイミングではないとみられます。革新的な医療技術企業である同社は、成長を促進する新製品の発売を予定しているからです。

2024年第1四半期の決算は目覚ましく、純売上高は前年同期比14%近く増加して38億6,000万ドルに達しました。時価総額1,130億ドルの企業としては、非常に健全な成長です。通期売上高は11~13%の範囲で拡大すると経営陣は予想しており、当初の8.5~9.5%の予想から大幅に上方修正されています。

新製品のヒットで、上方修正された純売上高予想をさらに上回る可能性も

新製品が実際にヒットすれば、純売上高は上方修正された予想をさらに上回る可能性もあります。不整脈治療用デバイス「FARAPULSE」は、注目すべきカタリストとなるでしょう。また、業務効率化への取り組みも加味すると、今年後半にかけては予想以上に好調かもしれません。

予想PER33.2倍という水準には、これらのカタリストの多くが織り込まれていると考えられます。しかし、FARAPULSEの可能性だけでなく、堅実な製品パイプラインや経営陣の実績を考慮すれば、多少割高であっても投資する価値はあると言えるでしょう。

ボストン・サイエンティフィック株の目標株価は?

TipRanksによれば、ボストン・サイエンティフィック株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が21人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の82.15ドルは、今後12カ月で6.1%の上値余地を示唆しています。

結論

現在、ヘルスケア業界には、GARP(割安成長株)タイプの銘柄が豊富にあります。バイオテクノロジー、医療保険、医療技術など、どの分野でもウォール街のアナリストから信頼されている素晴らしい企業が存在します。今回紹介した3銘柄の中では、アナリストはシグナ株で最も高い上昇余地(17.5%)を見込んでいます。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、REGN, CI, BSX: Which “Strong Buy” Healthcare Stock Is the Best Bet?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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