ストーリーハイライト
数十年に一度、テクノロジーの世界は、私たちの生活を予測不可能な形で変え、輝かしい新しいものを生み出します。人工知能(AI)は数年前にコンピューターの世界を席巻し、コンピューター間の相互作用の方法を変化させ、コンピューター技術の可能性の限界を広げました。最近では、生成AIが登場し、私たちと機械とのコミュニケーション方法を劇的に変えました。
生成AIは、よりリアルなチャットボット(自動会話プログラム)、よりインテリジェントなオンライン検索、そしてよりスマートなデバイスなどをもたらすため、投資家にとって新たな投資機会を生み出すでしょう。
ウォール街の老舗金融機関キャンター・フィッツジェラルドのアナリストは、半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices, NASDAQ:AMD)と音声認識ソフトウェアのサウンドハウンドAI(SoundHound AINASDAQ:SOUN)に焦点を当て、AIの状況について詳細な分析を行いました。両社は、形態は大きく異なるものの、AI革命の最前線にいます。キャンターのアナリストは、どちらが優れたAI銘柄であるかを判断し、明確な推奨を行っています。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
まずは、世界の半導体チップメーカーのトップ10に入るAMDからです。時価総額は2,475億ドルで、AMDは第6位に位置しています。年間売上高では、過去4四半期で228億ドルを創出し、9位に位置しています。
AMDはAI対応プロセッシング・チップの開発、エンジニアリング、マーケティングを通じてこの地位を獲得してきました。同社の製品ラインは、大きいデータ処理能力を必要とする生成AIを扱う開発企業や、AIやその他のデータ集約型アプリケーションの実行に必要な統合サーバーシステムを持つデータセンター企業の間で、すぐに受け入れられ、強い需要があります。
MI300シリーズにAI関連で大きな需要
AMDの新しい製品ラインアップの中でも特に優れているのは、MI300シリーズ・アクセラレーターで、最も要求の厳しいAIアプリケーションやハイパフォーマンス・コンピューティング・システムのニーズに対応するよう設計された半導体製品ラインです。最新のMI300チップ・シリーズは昨年12月に発売され、同社はそれ以来、販売と生産を拡大してきました。
全体としては、直近の2024年第1四半期の売上高は55億ドルで、前年同期比2.2%増と小幅な伸びを示し、アナリスト予想を2,000万ドル上回りました。非GAAP(米国会計基準)ベースのEPS(1株当たり利益)は62セントで、予想を1セント上回りました。
株価下落は好機とアナリスト
AMDの株価は3月のピークから27%下落しており、キャンターのアナリスト、C.J. Muse氏は投資家にとって好機と見ています。同氏は、AMDの強固な市場地位と大きな成長可能性を主な理由として挙げ、長期的な「買い」を推奨しています。
Muse氏は次のように述べています。「投資家の失望の中心は、2024年通年のコンセンサスに対して、収益レバレッジの上振れがないことです。MI300の立ち上がりは本当に印象的ですが、供給制約により、さらに大きな上昇可能性が見えなくなっています。とは言え、2025年以降のストーリーは健在であり、MI300 GPUは、エヌビディアに次ぐ2番目の商用AIサプライヤーとして、4000億ドルの2027年AI市場に挑む同社にとって、依然として強力なストーリーです」と述べている。
Muse氏はAMD株に「オーバーウエート(=買い)」レーティングを付け、170ドルの目標株価は、今後12カ月で最大12%の上値余地を示唆しています。
ウォール街の見方は?
TipRanksによれば、AMD株のアナリスト・コンセンサス評価は「強気買い」です。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が27人、「中立」が6人です。株価は現在153.16ドル近辺で、平均目標株価は192.40ドルとなっており、今後1年間で26%の上値余地を示唆しています。
サウンドハウンドAI
次の銘柄は、カリフォルニア州サンタクララに本社を置くシリコンバレーのテック企業、サウンドハウンドです。同社は会話型インテリジェンスと音声AIソリューションに特化しており、要するに、AIアプリケーションを単に音声で起動するだけでなく、音声で対話できるようにすることに取り組んでいます。同社の音声AI製品は、IoT(モノのインターネット)、スマートテレビ、自動車産業など、さまざまな分野で応用されています。
サウンドハウンドの画期的な製品は、リアルタイムのマルチモーダル(テキスト、画像、音声など複数情報を組み合わせて処理すること)接客インターフェースのDynamic Interactionです。さらに同社は、統合生成AIを搭載したデジタル音声アシスタント、SoundHound Chat AIを顧客に提供しています。ここに共通する特徴は、ユーザー自身の声をAIアプリケーションのインターフェースツールに変えることです。
サウンドハウンドの音声AIプラットフォームには固有の強み
話すことは私たちの最も自然なコミュニケーション手段の1つであり、テキストを読んだり書いたりするよりも確かに直感的です。サウンドハウンドにとって、この事実は、音声AIプラットフォームに固有の強みです。
財務状況を見ると、2024年第1四半期の売上高は1,160万ドルで、前年同期比73%増で、アナリスト予想を149万ドル上回りました。非GAAPベースのEPSは7セントの損失となりましたが、予想を1セント上回りました。
キャンター・フィッツジェラルドは慎重な見方を維持
サウンドハウンドは顧客に価値ある製品を提供しており、決算のプラス面も注目できますが、キャンター・フィッツジェラルドのアナリスト、Brett Knoblauch氏は依然として慎重です。
同氏は次のように述べています。「経営陣が強調した需要を考えると、サウンドハウンドが投資モードに戻り、できるだけ早く需要を取り込もうとするのは理にかなっているかもしれません。当社はサウンドハウンドの2024年および2025年の売上高予想を引き上げる一方、両年の調整後EBITDA予想を引き下げます。当社は、サウンドハウンドの現在のバリュエーションから、上昇リスクと下落リスクがかなり均等になっていると考えており、引き続き静観を続けます」
Knoblauch氏はサウンドハウンド株を「中立」と評価し、目標株価の5ドルは今後12カ月で最大6%の下値余地を示唆しています。
ウォール街の見方は?
キャンターのアナリストがこの銘柄に慎重なのに対し、ウォール街は比較的強気のスタンスです。TipRanksによれば、アナリスト・コンセンサス評価は「中程度の買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が4人、「中立」が2人です。平均目標株価は7.15ドルで、現在の株価5.30ドルから今後12カ月で約35%の上値余地を示唆しています。
AMDとサウンドハウンドのレビューを振り返ってみると、キャンターは今のところAMDをより優れたAI銘柄と見ています。
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本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AMD or SoundHound AI: Cantor Chooses the Superior AI Stock to Buy原文の翻訳を中心にまとめています。
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