米国株

アリババ株、大きな上振れ余地:潤沢な手元資金、大幅な株主還元の可能性

ストーリーハイライト

中国のeコマース大手のアリババ(NYSE:BABA)は、時価総額の41%に相当する潤沢な手元資金を保有しており、収益の安全性が高く、大幅な株主還元の可能性があります。実際、アリババの膨大なキャッシュポジションを、自社株買いや配当開始に振り向けようとする経営陣の戦略的視点は、アリババ株への投資家の関心を高めるとみられます。

アリババは、直近四半期における堅調な収益を受けて、強固なキャッシュポジションを築くことに成功しています。その潤沢な手元資金だけで、株価が大きく上昇する可能性を秘めています。アリババの好業績とは無関係に、株価はかなり低迷した水準で取引されていますが、その多額のキャッシュポジションが株価上昇の重要なきっかけとなる可能性があります。

アリババの継続的な株価下落

S&P500指数(SPX)が過去1年間で25%もの上昇を記録した好調な市場上昇の中で、アリババの一貫した株価下落はますます不可解なものとなっています。アリババ株は同期間に約14%下落しています。

アリババ株を取り巻く強気心理の持続的な欠如は、最近のことではありません。市場全体が急騰しているにもかかわらず、アリババ株は長期間にわたり、同様の取引レンジ内にとどまっています。

アリババの株価とその強固な財務ファンダメンタルズとの間の明白な乖離を強調するために、現在の株価が75ドルをわずかに上回る水準で推移しているという事実を考えてみましょう。これは、2014年のIPO水準をわずかに上回っているだけです。

財務指標は良好

一方、同社の財務指標は大きく異なります。2014年度から過去12カ月間では、売上高は114億2,000万ドルから1,253億1,000万ドルへと11倍という驚異的な伸びを記録しました。

同時にEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)も46.8億ドルから246.2億ドルへと、5倍以上の伸びを記録しています。さらに、アリババのネット・キャッシュポジションは、103.3億ドルから514.9億ドルへと急増しています。

株価と財務の対照的な状況は、アリババの経営実績、強固な財務体質と、アリババ株に対する市場の認識との間に断絶があることを浮き彫りにしています。同社の一貫した成長とバランスシートの強化にもかかわらず、投資家は依然として納得しておらず、弱気スタンスを維持しています。

株主還元を促進するキャッシュポジション

アリババの大きなキャッシュポジションが株主還元の拡大につながるという見方は、単なる推測ではなく、すでに具体的な現実となっています。アリババの利益率の高いビジネスモデルは、一貫して多額のキャッシュを生み出し、驚異的なペースで蓄積しています。

アリババは現在、予想株価収益率(PER)8.0倍で取引されており、低い倍率であることは否定できません。そして、アリババは多額の現金を保有しています。これらは、株価に2つの大きな恩恵をもたらします。

第一に、自社株買いは注目に値する買いとなり、株価上昇の自然な起爆剤となります。第二に、現在のバリュエーションでの自社株買いは、一株当たり利益成長率を大幅に増加させ、株式の投資ケースをさらに強化します。

背景を説明すると、同社は過去12カ月間に102億4,000万ドル相当の自社株を取得しており、前年度の86億1000万ドルから大幅に増加しています。この102億4,000万ドルはアリババの時価総額の約5.3%に相当し、現在の株価水準では株式数が大幅に減少する可能性があります。

自社株買いに加え、初の配当

アリババは、株価低迷が長引く中、継続的な自社株買いだけでは十分ではないとの認識から、9月期決算発表と同時に初の配当を発表しました。配当は2023年度に適用され、米国預託証券(ADR)1枚につき1.00ドルで、配当利回りは約1.3%です。圧倒的な高配当ではありませんが、この配当には十分な成長余地があり、よりインパクトがある自社株買いを補完するものです。

アリババの拡大する財務と低迷する株価を考慮すると、自社株買いと配当利回りの累積インパクトは、投資家がアリババ株のポテンシャルを見過ごせないほど大きなものになると考えられます。

アナリストによると、アリババ株は「買い」か?

投資家は懐疑的ですが、ウォール街アナリストの大半はアリババの見通しに強気な姿勢を崩していません。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が18人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は125.92ドルで、今後12カ月で67.3%の魅力的な上値余地を示唆しています。

結論

強固な財務ファンダメンタルズにもかかわらず、アリババの株式市場における一貫したアンダーパフォームは不可解なままです。同社の優れた売上高成長率、強化されたバランスシートに対して、市場の弱気なスタンスが明白なコントラストとなっています。

しかし、同社の多額のネット・キャッシュポジションは、変革の起爆剤となります。経営陣は、株主還元の拡大に戦略的に焦点を当て、自社株買いや新たな配当導入など、具体的な動きをすでに見せています。これらの取り組みが勢いを増すにつれ、投資家の認識を再構築し、株価を上昇軌道に乗せる可能性があり、アリババは魅力的な投資機会となるとアナリストは見ています。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Alibaba Stock (NYSE:BABA): Cash Pile Alone Positions It for Significant Upside原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事