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新しいアクティブ運用型成長株ETFに注目

ストーリーハイライト

「フィデリティ・エンハンスト・ラージキャップ・グロースETF(NYSEARCA:FELG)」は、フィデリティ・インベストメンツの比較的新しいアクティブ運用型成長株ETFです。同ETFの運用資産は21億ドルで、高い評価を得ているポートフォリオであり、堅実な長期実績があります。また、経費率はわずか0.18%で(アクティブ運用型ETFとしては異例の低さ)、成長株投資家にとって有力な選択肢です。

FELG ETFの戦略とは?

FELGは11月に設定された「新しい」ETFですが、ちょっと背景があります。フィデリティ・インベストメンツは最近、フィデリティ・ラージ・キャップ・グロース・エンハンスト・インデックス・ファンド(現在のFELG)を含む6本の投資信託をETFに転換しました。FELGはETFの世界では新顔ですが、豊富な実績があります。

フィデリティは、FELGを「大型株成長を維持し、魅力的な特徴を持つ企業に投資する規律あるアプローチを活用した米国株式戦略」と説明しています。

FELGの主な目標はキャピタルゲインです。通常、資産の最大80%を、米国の大型成長株で構成される時価総額加重型のインデックスであるラッセル1000グロース・インデックスに属する株式に投資します。その後、フィデリティはコンピューターを利用した定量分析により、原指数を上回るパフォーマンスが期待できると考えられる銘柄を分散して選定します。

アクティブ運用型ETFへの転換により、フィデリティはETFの人気を活用しつつ、投資家にミューチュアル・ファンドよりも節税効果の高い商品を提供することができます。

高いパフォーマンスを維持

上述の通り、FELGはETFの分野では新参者ですが、その前身ファンドの運用実績は新参者ではなく、長期にわたって高いパフォーマンスを維持しています。

11月30日現在、FELGの前身ファンドは、年率9.7%のしっかりとした3年間のトータルリターンを記録しています。5年間のトータルリターンは15.6%と、さらに素晴らしい結果を創出しています。10年間では年率13.5%のリターンとなっています。

FELGの運用成績は、3年間では広範な市場をカバーするS&P500指数(SPX)と同等でした。5年および10年の期間では、S&P500指数(5年が12.5%、10年が11.8%)を上回りました。

FELGのポートフォリオ構成

FELGの分散ポートフォリオは180のポジションを保有しています。さらに、上位10銘柄の保有比率は資産の33.9%に過ぎず、集中リスクはほとんどありません。以下は、TipRanksの保有状況ツールを使ったFELGの上位10銘柄の概要です。

FELGの上位保有銘柄のスマートスコアは、高くなっています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的な株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄に1から10までのスコアを与えます。8点以上がアウトパフォーム評価となります。FELGの上位9銘柄のうち、8銘柄がアウトパフォーム相当のスマートスコア8以上を獲得しています。

FELGの高評価上位保有銘柄には、アップル(NASDAQ:AAPL)、エヌビディア(NASDAQ:NVDA)、アマゾン(NASDAQ:AMZN)、メタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)、アルファベットのクラスA株(NASDAQ:GOOGL)など、テックセクターの長期的な勝者企業が含まれています。

しかし、FELGは分散が効いたファンドであり、大手テック株に限定しているわけではありません。ユナイテッドヘルス・グループ(NYSE:UNH)とJPモルガン・チェース(NYSE:JPM)が上位10銘柄に含まれており、上位10銘柄以外では、ホーム・デポ(NYSE:HD)、コカ・コーラ(NYSE:KO)、バークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.B)など、非テックの高評価銘柄を保有しています。

全体として、FELGは投資家に、2023年の市場を上昇させた有力なテック企業へのエクスポージャーを提供する一方で、他の市場セクターの優良企業へのエクスポージャーも十分に提供し、素晴らしいミックスを作り出しています。

これらを総合すると、FELGのETFスマートスコアはアウトパフォーム相当の8となります。

FELGの経費率は?

FELGの経費率はわずか0.18%で、全体から見れば妥当な水準であり、アクティブ運用のETFとしては特に優れています。

この経費率は、10,000ドルをFELGに投資する投資家が、1年間でわずか18ドルの手数料を支払うことを意味します。ファンドが今後年率5%のリターンを上げ、この0.18%の経費率を維持すると仮定すると、同じ投資家が10年間に支払う手数料はわずか230ドルになります。

この経費率は、他の人気のあるアクティブ運用ETFと比較して特に有利です。

アーク・インベストの旗艦ファンドであるアーク・イノベーションETF(NYSEARCA:ARKK)の経費率は0.75%とはるかに高いです。同じ1万ドルをARKKに投資した場合、1年目に75ドル、10年間で931ドルの手数料を支払うことになります(上述と同じパラメータを仮定)。

フィデリティのフィデリティ・ブルーチップ・グロースETF(BATS:FBCG)でさえ手数料は0.59%で、FELGよりはるかに高いです。同じ1万ドルをFBCGに投資した場合、投資家は1年目に59ドルの手数料を支払い、10年間で738ドルの手数料を支払うことになります。

もう一つの人気アクティブ運用ETF、ティー・ロウ・プライス・ブルーチップ・グロースETF(NYSEARCA:TCHP)の手数料は0.57%です。TCHPに10,000ドル投資した場合、1年目は57ドル、10年間では714ドルの手数料を支払うことになります。

ご覧の通り、FELGはアクティブ運用ETFの世界では費用対効果の高い選択肢です。以下は、TipRanksのETF比較ツールを使って作成した、FELG、ARKK、FBCG、TCHPの比較です。

アナリストによれば、FELGは「買い」ですか?

FELG構成銘柄に対する過去3カ月間のアナリストのコンセンサス評価は、「買い」が151件、「中立」が28件で、FELG自体のコンセンサス評価は「中程度の買い」です。FELGの平均目標価格の28.46ドルは、今後12カ月で8.2%の上値余地を示唆しています。

結論

FELGはどの角度から見ても堅実なETFです。その前身ファンドを見ると、FELGは長期的にしっかりとしたパフォーマンスを上げています。

さらに、FELGの構成銘柄は、スマートスコアが高く、様々な市場セクターの高評価成長株からなる分散ポートフォリオを形成しています。

最後に、FELGの経費率は0.18%と、他のアクティブ運用型ETFの経費率と比較してリーズナブルです。これらの理由から、FELGは魅力的なアクティブ運用ETFと考えられます。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、FELG: New Actively-Managed Growth ETF Packs a Punch原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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