米国株

アナリストによる、今買うべき半導体株ベスト5(2024年3月)

ストーリーハイライト

アナリストによる、2024年3月に買うべき半導体銘柄ベスト5をご紹介します。これらの銘柄は、TipRanksによれば「強気買い」のアナリスト・コンセンサス評価を得ており、セクターの成長可能性に対する強い確信が背景にあります。世界の半導体市場は昨年、一部の最終市場は困難に直面しましたが、2024年には上昇に転じると予想されています。

調査会社Statistaのデータによると、半導体市場の売上高は2023年の5,530億ドルから今年は6,130億ドルに達すると予測されています。人工知能(AI)のゴールドラッシュのおかげで、半導体製造業界は今後数年で急成長が見込まれています。

1位 エヌビディア(NASDAQ:NVDA)

エヌビディアは、コンピューティングに欠かせないGPU(画像処理半導体)を設計・製造しています。同社の半導体セットは、ゲーム、機械学習、ビデオ編集、コンテンツ制作など幅広い用途に利用されています。

さらに強力なGPUを発表

エヌビディアは、時価総額で1兆ドルクラブに入った最初の半導体銘柄となり(現在の時価総額は2兆ドルを突破しています)、AI競争では議論の余地のない勝者です。同社のハイエンドGPUは、クラウド、データセンター、ネットワークエッジ、組み込み機器などあらゆる領域で、生成AIアプリのペースを加速させるために使用されています。

先日開催されたエヌビディアGTC開発者カンファレンスで、同社はBlackwellプラットフォーム(新世代のAIグラフィックス・プロセッサ)の一部である初のGB200 GPUを発表しました。GB200は、H100チップよりさらに優れており、計算効率を加速させるよう設計されています。エヌビディアの株価は、過去1年間で241.5%上昇しています。

アナリストの評価は?

このカンファレンスに感銘を受けたTruist Financialのアナリスト、William Stein氏は、エヌビディアの目標株価を911ドルから1,177ドルに引き上げ、「買い」レーティングを維持しました。

同様に、HSBCのアナリストであるFrank Lee氏は、目標株価を880ドルから1,050ドルに引き上げ、「買い」レーティングを再確認しました。同氏は、エヌビディアは新しいBシリーズGPUとGB200製品(GPUとCPUの組み合わせ)から売上高を増加させる見込みと指摘しています。

TipRanksによれば、エヌビディアの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が39人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の913.74ドルは、今後12カ月で3.3%の上値余地を示唆しています。

2位 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (NASDAQ:AMD)

エヌビディアと同様、AMDも新しいタイプの半導体を開発し、ファウンドリー(半導体受託生産企業)に製造を委託するファブレス半導体設計企業です。過去数年間、PCのCPU(中央演算処理装置)市場で急成長を遂げたアドバンス・マイクロ・デバイセズは現在、AIの波に乗るための準備を整えています。

AMDは、トレーニングフェーズから推論フェーズ(トレーニング済みAIモデルにライブデータを入れ、予測を行うプロセス)に着実に移行しており、MI300Xアクセラレータには大きな可能性があります。AMDの株価は過去1年間で96.9%上昇しています。

アナリストの評価は?

AMDの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が28人、「中立」が6人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の201.26ドルは、今後12カ月で5.6%の上値余地を示唆しています。

3位 台湾積体電路製造 (TSMC、NYSE:TSM)

台湾積体電路製造は、世界最大の独立系ファウンドリー(半導体受託生産企業)です。TSMCの半導体は、高性能コンピューティング・プラットフォーム(パソコン、タブレット、サーバー、ゲーム機など)、自動車産業、モノのインターネット(IoT)、デジタル家電など、さまざまな最終市場で使われています。

エヌビディアやAMDのような半導体大手は、TSMCに大きく依存していますが、過度の依存には地政学的リスクが伴います。TSMCが本拠を置く台湾への侵攻をもくろむ中国の終わりのない情熱は、世界の半導体産業におけるTSMCのビジネスに存亡の危機をもたらす可能性があります。

このためTSMCは、その生産基盤を拡大するために、米国、日本、欧州に半導体工場を分散させようとしています。

アナリストの評価は?

TSMCの過去3カ月間のアナリストレーティングは、アナリスト6人全員が「買い」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の144.33ドルは、今後12カ月で5.6%の上値余地を示唆しています。

4位 マイクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)

マイクロン・テクノロジーは、集積回路、コンピューター・プロセッサー、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)、フラッシュメモリー、USBフラッシュドライブなどのストレージ・デバイスを製造しています。

マイクロンは、3月20日の市場終了後に2024年度第2四半期(2023年12月-2024年2月)決算を発表する予定です。市場では、売上高53.3億ドル、1株当たり0.26ドルの調整後損失を計上すると予想しています。マイクロン株は過去1年間で62.7%上昇しています。

(訳注:3月20日に発表された決算では、売上高は前年同期比57.7%増の58.2億ドルで、アナリスト予想を大きく上回りました。また、調整後EPS(1株当たり利益)で0.42ドルを計上し、これもまた予想の損失を大きく上回りました。決算発表を受け、株価は14%急騰しました。)

決算に先立ち、好調なHBM(高帯域幅メモリー)事業を理由に、数名のアナリストがマイクロン株の目標株価を引き上げています。アナリストはまた、同社がAI市場で大きな可能性を秘めていることから、堅実な上振れ決算が発表されると予想しています。重要なのは、マイクロンが、エヌビディアが間もなく発売するH200 AIアクセラレータで使用される24GB 8H HBM3Eの主要サプライヤーになったことです。

アナリストの評価は?

株価を取り巻くポジティブなニュースセンチメントに後押しされ、シティのアナリスト、Christopher Danely氏は、ウォール街で最も高い目標株価150ドル(60%の上値余地)を新たに提示しました。

全体としては、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が25人、「中立」が1人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の104.76ドルは、今後12カ月で11.7%の上値余地を示唆しています。

5位 ASMLホールディングNV (NASDAQ:ASML)

ASMLは、先端半導体の製造に使用されるリソグラフィ装置(半導体露光装置)の唯一のメーカーです。オランダに本社を置く同社の装置は、紫外線レーザーを使用して回路を半導体にエッチングするプロセスである極端紫外線(EUV)フォトリソグラフィーを使用しています。

ASMLは、EUVフォトリソグラフィーの世界市場で独占的な地位を占めています。

アナリストの評価は?

ASMLは、ニッチな分野で独占的地位を築いたことで、アナリストが最も注目する銘柄の1つとなっています。TipRanksによれば、ASMLの過去3カ月間のアナリストレーティングは、6人のアナリスト全員が「買い」を付けており、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の988.60ドルは、今後12カ月で5%の上値余地を示唆しています。ASMLの株価は過去1年間で45.6%上昇しています。

結論

半導体産業は、AIセクターの成長において重要な役割を果たしています。高成長株を探している投資家は、徹底的なリサーチを行った上で、上述のベスト半導体株5銘柄をポートフォリオに加えることを検討してみてはいかがでしょうか。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、5 Best Semiconductor Stocks to Buy in March 2024, According to Analysts原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事