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2024年米大統領選を前にバイオ医薬品大手2社に注目:HSBCアナリスト

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来年11月には米国で大統領選挙が行われ、金融市場にも大きな影響を与えます。近年、選挙の年には、薬価引き下げなど医薬品関連問題が争点となっており、来年についてもバイオ医薬品企業への影響が出る可能性があります。

HSBCのアナリスト、Rajesh Kumar氏は、このような状況を踏まえ、2024年に向けて投資機会を提供するであろう2つのバイオ医薬品大手の大型株を選びました。TipRanksのプラットフォームを使って、これらの銘柄のどこが群を抜いているのかを調べてみました。

テバ・ファーマシューティカル(TEVA)

テバ・ファーマシューティカルは、イスラエルに本拠を置くジェネリック医薬品(後発医薬品)の製造会社として知られています。ジェネリック医薬品市場は巨大で、Statistaによると、昨年は4,100億ドル以上、2030年には6,000億ドル以上に達すると推定されています。そしてテバは、この重要なバイオ医薬品分野で常に5大メーカーに数えられています。

テバは、バイオ医薬品企業の中で最大の製品ポートフォリオを有し、世界60カ国で3,500種類以上の製品を販売しています。このポートフォリオにはジェネリック医薬品に重点が置かれていますが、完全自社開発の新薬開発にも取り組んでおり、他の製薬会社とのパートナーシップも結んでいます。

薬価引き下げなどがジェネリック医薬品企業に機会をもたらす可能性

Kumar氏が業界レポートの中で述べているように、選挙の年は製薬業界に変化をもたらします。大統領候補者は薬価引き下げ、連邦政府の医薬品支出などについて公約を掲げ、選挙後に勝者はそれを実行しなければなりません。比較的低価格のジェネリック医薬品に特化したテバのような企業にとっては、新たな予算が組まれた際に、サプライヤーとして豊富な機会がもたらされる可能性があります。

なお、テバの、直近の2023年第3四半期の全売上高は、前年同期比7%増の39億ドルで、アナリスト予想を1億6,000万ドル上回りました。非GAAP(米国会計基準)希薄化後EPS(1株当たり利益)は60セントとなり、予想を1セント下回っています。

新経営陣が変化をもたらす可能性

Kumar氏は、強気の見方を裏付けるいくつかのポイントを強調しています。「(2023年初めに刷新された)新経営陣は、テバの現状に変化をもたらす可能性があると考えています。ジェネリック医薬品事業では、より価値の高い機会に焦点を絞ったアプローチによって売上高が安定し、規律ある債務返済計画によってレバレッジが低下するはずです。(中略)革新的な資産に関しては、サノフィのようなブランド製薬企業との外部提携は、臨床開発に関してより高い安全性をもたらすことができると考えています」

Kumar氏は「買い」レーティングを付け、目標株価を13ドルとしており、これは今後12カ月で25%の上値余地を示唆しています。

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が4人、「中立」が2人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は11.83ドルで、今後12カ月で13.5%の上値余地を示唆しています。

サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック (TMO)

サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックは、医療技術(メディカルテクノロジー、略してメドテック)分野の銘柄です。医薬品企業、政府機関、病院、研究機関の、特に医学研究室が業務を遂行するために必要な多数の製品を製造・供給しています。同社の製品ラインには、化学薬品や試薬、サンプリングや検査用品、科学機器、ラボやラボ機器を動かすソフトウェアシステムなどがあります。

Kumar氏が指摘するように、メドテック企業は選挙期間中、それほど困難には直面しないとみられます。サーモ・フィッシャーの場合、製薬会社が選挙結果にどのように反応しようとも、顧客である製薬会社は研究機器や関連製品を必要としています。

今年の売上高は減少傾向だが、今後は明るい見通し

なお、今年のサーモ・フィッシャーの売上高は若干減少しています。2023年1〜9月期の売上高は320億ドルで、前年同期比4.4%減です。直近の2023年第3四半期の売上高は前年同期比1%減の105.7億ドルで、アナリスト予想を7,000万ドル下回っています。一方、非GAAPベースのEPSは12%増の5.69ドルで、予想を8セント上回りました。経営陣は、この増益は営業利益率が200ベーシスポイント拡大したことによるものとしています。

Kumar氏は、ライフサイエンス・ツール市場が循環的に回復する可能性があることなどから、サーモ・フィッシャーの今後の見通しについて明るい見方をしています。Kumar氏は、「買い」レーティングを付け、目標株価の610ドルは、今後12カ月で15.5%の上値余地を示唆しています。

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が17人、「中立」が5人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。とはいえ、547.80ドルの平均目標株価は、今後12カ月で4%という緩やかな上値余地しかないことを示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、HSBC Sees Opportunity in These 2 Biopharma Giants Ahead of the 2024 Elections原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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