ブロックチェーンのメリット・デメリットを知りたい方
ブロックチェーンの利用事例を知りたい方
仮想通貨投資を勉強していると、必ず「ブロックチェーン」という言葉を目にするでしょう。
ブロックチェーンについて知らなくても仮想通貨への投資自体はできます。しかしブロックチェーンについて概要だけでも知っておけば、投資にとても役に立ちますよ。
今回は仮想通貨投資を始める前にぜひ知っておきたいブロックチェーンについて解説していきます。
- ブロックチェーンの仕組みとして「P2P方式」「取引履歴が公開されている」「ビットコインの新規作成が可能」
- ブロックチェーンは管理者の有無によって「プライベート型」「パブリック型」に分けられる
- ブロックチェーンのメリットは「データが改ざんしにくい」「データ保存・管理のコストが安い」「システムが安定している」
- ブロックチェーンのデメリットは「送金に時間がかかる」「スケーラビリティ問題」「法的整備が追いついていない」
- 「SONY」「Microsoft」「DENSO」などがブロックチェーンを利用した取り組みを行っている
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目次
ブロックチェーンとは取引データ技術
ブロックチェーンとは取引データを管理する技術のことです。取引データを「ブロック」という塊にまとめてつなげていく(チェーンする)ことで、取引データを管理します。
従来の金融システムでは、中央にサーバを置いて取引データを管理します。仮想通貨の場合、ブロックチェーンを用いることで取引データを管理することが可能です。
仮想通貨にとっては、まさに中心的な技術といってもいいでしょう。
現在、仮想通貨は多くの国家や企業に実用化が期待されています。その背景には、ブロックチェーンの存在が大半を占めていると言っても過言ではありません。
ブロックチェーンが周知され、実用性が高くなることで仮想通貨の価格はどんどん上がっていくでしょう。
ブロックチェーンの仕組み
ブロックチェーンの細かな仕組みは、プログラミングの勉強をしなければ理解はできないでしょう。ただし基礎的な仕組み程度であれば、専門知識は不要です。
最低限抑えておきたい、ブロックチェーンの仕組みを紹介します。
P2P方式:分散型取引台帳
ブロックチェーンの基盤となっているのはP2P方式、分散型取引台帳と言われるネットワークです。
従来のネットワークでは、ネットワークの中央に管理者を置くことでシステムを管理しています。このシステムを「クライアントサーバ方式」と言います。
しかしP2P方式では中央に管理者を置かず、仮想通貨のユーザー同士が分散して仮想通貨のシステムを管理しているのです。すべてのユーザーが分散してひとつの取引台帳を管理することから分散型取引台帳とも言われます。
P2P方式では中央に管理者を置き、すべてのデータを管理できるような高性能なサーバを置く必要はありません。そのため、サーバの費用や管理コストなどを削減することができます。サーバのダウンでシステム全体が止まるような心配も不要です。
またP2P方式ではネットワークを構成するコンピュータである「ノード」をチェックする仕組みがないため、匿名性の高いネットワークを作ることができます。
取引の履歴が公開されている
ブロックチェーンでは取引の履歴が公開されており、ネットワークに参加するすべてのノードが履歴を見たり追跡したりすることが可能です。
すべての参加者が同じ履歴を共有することができるため、履歴の改ざんなどが起きてもすぐに判明します。また正しい履歴と突き合わせることで、改ざん箇所を明らかにできるなど、高いセキュリティを確保できます。
また履歴を追跡すれば送金元が明らかになり、マネーロンダリングなどの対策も可能です。
ビットコインを新規生成が可能
ブロックチェーンでは、ブロックが生成されることでビットコインが新規生成されます。この仕組みによって、ノードにブロックの承認と生成を促しているのです。
ブロックチェーンには管理者がいません。不特定多数のノードが取引データを正しいと承認します。このとき、多数の意見をそろえるために「コンセンサスアルゴリズム」という合意規則に従います。
ビットコインは「プルーフ・オブ・ワークス(PoW)」というコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
PoWはコンピュータを使って「ナンス」という値を見つけるまで計算を繰り返す「マイニング」で取引データを承認し、新たなブロックを生成する仕組みです。
マイニングには、専用のパーツが必要であったり電気代がかかったりなど、大きな費用がかかります。そのためブロック生成でビットコインを新規生成し、報酬として渡すことでマイニングを促しているのです。
またブロックチェーンでは、コンセンサスアルゴリズムに従ってビットコインを新規生成します。ビットコインは総発行数を2100万枚と決められており、一定の周期で「半減期」という、新規生成される量を半減するタイミングを設けることで仮想通貨の発行ペースをコントロール可能です。
ブロックチェーンの特徴と種類
ブロックチェーンは管理者の有無によって、プライベート型とパブリック型の2つに分けられます。
プライベート型とパブリック型にはそれぞれ長所と短所があり、ユースケースによってどちらかを選択します。それぞれのブロックチェーンの特徴と種類について紹介しましょう。
プライベート型:管理者がいる
プライベート型の特徴は「管理者がいる」ということです。P2P方式を採用し、複数のノードで取引データを管理する点は変わりませんが、取引データの承認のみを管理者である特定の機関や企業、個人で行います。
プライベート型のブロックチェーンには、承認を完全に単独の機関が行う「プライベートチェーン」や複数の機関、企業がコンセンサスを取って承認にあたる「コンソーシアムチェーン」があります。
プライベート型のブロックチェーンは取引の承認を特定の個人が行うため、非常に送金の承認などを早くすることが可能です。またマイニングの報酬などを用意する必要がありません。データは分散して管理されるため、セキュリティも万全です。
金融機関などの管理者がブロックチェーンの持つメリットを受けつつ、従来通り管理者として取引を管理する際などにはプライベート型のブロックチェーンは有効です。管理者が存在する分、技術面のアップデートなども容易に行えます。
プライベート型のブロックチェーンを採用する仮想通貨としては、リップルが有名です。リップルでは、リップル社によって選ばれたバリデーターという人が取引の承認をしています。
パブリック型:非中央集権である
一方、ビットコインやイーサリアムなど多くの仮想通貨で採用しているのがパブリック型のブロックチェーンです。管理人を置かず、不特定多数のノードが取引を承認することで非中央集権を実現しています。
パブリック型のブロックチェーンでは、プライベート型のブロックチェーンよりも公正で厳格に取引データの合意を形成しています。そのため、データの改ざんなどへの耐性は高いです。
加えて管理する必要がないため、ブロックチェーンを導入する際のリスクも低く抑えることができます。
しかし不特定多数がアルゴリズムに従って合意を形成するために、取引の速度は遅くなってしまいます。また管理者がいないため、仕様変更の際に承認を得ることが難しくなってしまいます。
ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンは次世代のネットワークの形として、多くの機関や企業で実用化の研究が進められています。当然、研究されるからにはメリットが存在しています。
ブロックチェーンの有するメリットを紹介します。
データ改ざんがしにくい
ブロックチェーンはデータの改ざんがしにくく、悪意ある利用者による攻撃が難しくなっています。そのため従来のネットワークよりも安心して送金や決済が可能です。
ブロックチェーンではP2P方式を用いて、すべてのデータを分散し、暗号化して管理しており、望む箇所の改ざんは困難です。
また各ブロックは「ハッシュ値」というものを使って相互に関連し合っており、どれかのブロックを改ざんすると、整合性が取れなくなるためすぐに不正が明らかになります。
データの保存・管理コストが安い
ブロックチェーンは、管理者を必要としない仕組みです。プライベートチェーンでも管理者はデータの承認を行うだけで、管理などにリソースを割くことはありません。P2P方式を採用するため、データのセキュリティも確保されます。
従来のクライアントサーバ方式のネットワークでは、データの保存や管理をするために処理能力の大きなサーバなどを置く必要があります。またセキュリティにも予算を割かないといけません。
そのためブロックチェーンは、保存・管理コストを安くして、その分手数料を安くするなどして顧客に還元することもできます。
システムが安定している
クライアントサーバ方式のネットワークでは、ネットワークが管理者に大きく依存します。もし悪意あるユーザーがサーバを攻撃し、ダウンさせてしまえばネットワーク全体が停止してしまいます。
そうでなくとも定期的なサーバのメンテナンスを行い、ネットワークを停止させなくてはなりません。
ブロックチェーンでは管理者がおらず、ネットワークをすべてのコンピュータで管理します。コンピュータ同士がつながり、蜘蛛の巣のようにネットワークを構成するイメージです。
たとえ1ヶ所を攻撃されても、迂回路を見つけることで無事に接続でき、ネットワーク全体がダウンすることはありません。
つまりブロックチェーンのほうが、システムが安定しているということです。実際にビットコインは2009年以来、一度もネットワークをダウンさせたことがありません。
システムが安定していると、ネットワークの都合で送金ができなかったり決済がキャンセルされたりすることが減るので、取引の信頼性が大きく上がります。
ブロックチェーンのデメリット
ブロックチェーンは、現在主流となっているネットワークの課題を解決する存在として大きく注目されています。しかしブロックチェーンさえあればすべてを解決するわけではありません。
ブロックチェーンにも解決すべきデメリットが存在しています。デメリットについて解説しましょう。
送金時間がかかる
ブロックチェーンではユーザーの間で合意形成を経て送金を承認する仕組みであるため、リアルタイムでの送金処理はできません。どうしても送金に時間がかかってしまいます。
ビットコインの場合は、送金に10分かかります。現在はビットコインよりも送金が速い仮想通貨も出てきていますが、いずれもクレジットカードよりは遅いです。
送金や決済に時間がかかると、やはり買い物には不便です。仮想通貨は常に価格が変動しているため、決済の間に支払った金額が変化してしまう可能性もあります。
スケーラビリティ問題
仮想通貨の利用が広がると「スケーラビリティ問題」と直面します。スケーラビリティ問題とは取引量が増え、取引データの量が増加することで、送金や決済の承認が追いつかなくなる問題です。
スケーラビリティ問題が起きると送金や決済の処理が遅延し、優先的に処理してもらえるよう手数料を高く支払わなくてはなりません。
ビットコインでは、スケーラビリティ問題の解決策をめぐってコミュニティ内で意見が対立し、ビットコインが分裂してしまったことがあります。
スケーラビリティ問題を解決するためには、取引データをまとめるブロックの容量(ブロックサイズ)を大きくする、または取引データの圧縮が必要です。
取引データから署名部分を切り離して別の領域に保存する「Segwit」や、具体的な送金をブロックチェーンの外で行い、結果のみをブロックチェーンに記録する「ライトニングネットワーク」などが、スケーラビリティ問題を解決するために登場しています。
法的整備が追いついていない
仮想通貨は2009年に登場した、まだまだ歴史の新しい概念です。そのため、国によって法的整備がまちまちで、整備の追いついていない国も少なくありません。
日本では、2017年4月に改正資金決済法(仮想通貨法)が施行され、2020年5月に改正されました。しかしヨーロッパやアメリカなどでは、仮想通貨への対応がそれぞれ異なっています。
また中国では、国内の仮想通貨取引を実質禁止するなど厳格な姿勢を取っています。
各国での法整備が追いついていないと、法律の変化によって突然ブロックチェーンが規制されたり仮想通貨の開発チームが活動停止したりなどのリスクがあるのです。
2019年10月には、国際連合の補助機関であるユニセフが仮想通貨による寄付を通してブロックチェーンの開発支援を行う「ユニセフ仮想通貨ファンド」を設立しています。
また2018年9月には国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長が総会でブロックチェーンについて前向きな見解を口にしました。
国ごとで法整備が異なるのはブロックチェーンの普及には大きなハードルですが、今後は国際連合などの国際組織が後押しをすることで国境を超えた規制の枠組みなどが議論されるようになるかもしれません。
ブロックチェーンの利用事例
ブロックチェーンは、多くの企業・機関が実用化を目指して動いています。特に大手企業は積極的に研究開発を行っています。
実際のブロックチェーンの利用事例を見ていきましょう。
SONY(ソニー)
ソニーは2018年に権利情報の処理をブロックチェーンで行うシステムの開発をしており、2019年4月にはブロックチェーンを利用した音楽制作プラットフォーム「soundmain」をオープンしています。
従来、著作権の管理は専門の管理団体などが行っていて、著作権の証明には業界団体の仲介が必要でした。しかしsoundmainではブロックチェーンで自動的に管理され、改ざんもできません。著作権に関する業務を効率化できるほか、著作権を巡るトラブルも回避できます。
また2020年4月には次世代の移動システムとして注目されるMaaS(Mobility as a Service)向けにブロックチェーン技術を利用したデータベースであるBCDB(Blockchain Common DetaBase)の開発を発表しました。
MaaSは複数種類の交通手段を統合して、利用者にとって最短経路や所要時間、利用料金などを提示するシステムです。ソニーのBCDBは1日700万件以上の移動履歴などの処理・共有を可能としています。
Microsoft(マイクロソフト)
マイクロソフトは「Azure」というブロックチェーンを公開しています。Azureはコンソーシアムブロックチェーンを提供するサービスです。Azure上にアプリケーションを構築することで誰でもブロックチェーンの恩恵にあずかることができます。
AzureはJPモルガンがイーサリアムをベースに開発した「Quorum」を元にしており、アプリ開発をはじめスマートコントラクトと言われる契約を自動化するシステムの開発支援を行う機能や、独自の仮想通貨(トークン)を発行する機能などがあります。
Azureを利用する企業はブロックチェーンのメリットを享受しつつ、ブロックチェーンを作成・管理する手間を省き、アプリの開発に力を注ぐことができます。
またマイクロソフトは自社でAzureを開発するほかに、多くのブロックチェーンスタートアップとの協業を発表。日本に関連するものではLayerXやGinco、zerobillbankなどがマイクロソフトと協業しています。
DENSO(デンソー)
DENSO(デンソー)といえば世界的な自動車部品メーカーであり、ハード面でのイメージが強いかもしれません。しかしブロックチェーン技術をモビリティ(自動車業界)に活用するための多くの実証実験を行っています。
2019年1月、デンソーは世界最大規模の技術展示会CES2019に参加し、自動運転車の車載データをブロックチェーンを用いて管理することでセキュリティを確保する技術を発表しました。
自動運転車はこれからのモビリティにおいて注目される一方、実用化にあたっては外部からのハッキングが大きな課題となっていました。
ブロックチェーンを活用することで、自動運転車のデータを外部から改ざんすることができないようにします。ほかにも走行記録やメンテナンス記録などを管理でき、中古車として売るときに不正を防止することも可能です。
2020年3月にはトヨタの立ち上げた「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」にデンソーも参加。トヨタとデンソーなどのサプライヤーがブロックチェーンを活用した同一の台帳を用いて部品の管理を行うプロジェクトに当たっています。
今後のブロックチェーンに期待
- ブロックチェーンの仕組みとして「P2P方式」「取引履歴が公開されている」「ビットコインの新規作成が可能」
- ブロックチェーンは管理者の有無によって「プライベート型」「パブリック型」に分けられる
- ブロックチェーンのメリットは「データが改ざんしにくい」「データ保存・管理のコストが安い」「システムが安定している」
- ブロックチェーンのデメリットは「送金に時間がかかる」「スケーラビリティ問題」「法的整備が追いついていない」
- 「SONY」「Microsoft」「DENSO」などがブロックチェーンを利用した取り組みを行っている
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ブロックチェーンは仮想通貨で用いられる、取引データを管理するための技術です。データを分散させて仮想通貨のユーザー同士で管理し、相互に承認し合うことで高い改ざん耐性や管理コストの削減を実現します。
デメリットも当然ありますが、既存のネットワークの欠点を解消する存在として多くの企業がブロックチェーンの実用化を目指しています。今後はブロックチェーンを用いた新しい取り組みや技術が広くリリースされていくでしょう。
もしブロックチェーンを身近に感じたいと思ったら、まずは仮想通貨を購入してみるといいでしょう。送金や決済などを通じて、ブロックチェーンを直接経験してみてください。
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