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今注目すべき割安な配当株2銘柄

ストーリーハイライト

UPSとフォード・モーターは、魅力的なバリュエーションで取引されている2大配当株であり、投資家に安定した配当収入と、進化する物流業界および自動車業界における成長可能性を提供します。

米国では高利回りの普通預金口座や国債が高いリターンを提供する時代において、配当株は一見魅力に欠けるように思えるかもしれません。しかし、賢明な投資家は、割安な配当銘柄が安定した配当収入と資本増価の可能性の両方を提供できることを知っています。そのような銘柄として市場アナリストの注目を集めているのが、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)とフォード・モーター (F) です。

割安な株価、安定した配当、強力な事業基盤の組み合わせを提供

高い配当利回りを持つ銘柄の多くには隠れたリスクや持続不可能な配当が伴いますが、UPSとフォードは、割安な株価、強力な事業基盤、安定した配当という魅力的な組み合わせを提供しています。

ユナイテッド・パーセル・サービス (United Parcel Service, UPS)

ユナイテッド・パーセル・サービスは、米物流業界の大手です。同社は、何十年にもわたり荷物の配達事業を成功させており、利益を上げてきました。

同社は1株当たり1.63ドルの四半期配当を出しており、配当利回りは4.57%で、今日の市場で無視できる水準ではありません。同社は株主のために貢献してきた歴史を持つ会社であり、14年連続で増配しています。

同社はこのほど2024年第2四半期決算を発表し、これを受けて株価は大きく下落しました。売上高は218億ドルで、前年同期の221億ドルから減少し、コンセンサス予想の222億ドルを下回りました。1株当たり利益(EPS)も、コンセンサス予想の1.99ドルを下回り、1.79ドルとなりました。なお、米国での輸送量が9四半期ぶりに増加に転じており、同社が好転する兆しとみられます。

UPSの戦略的イニシアチブは、「顧客第一、人材主導、イノベーション主導」のアプローチであり、世界的なプレミアム小口荷物プロバイダーおよびロジスティクス・パートナーとして位置づけています。

広範な業界に対して割安

UPSは現在、2024年の予想利益の約18倍で取引されており、これは2024年第1四半期の業界平均の20倍よりも低いです。これは、同社がより広範な業界に対して相対的に割安で取引されているという考え方を裏付けるものです。

同社は2026年に向けて、連結売上高1,080億ドル~1,140億ドル、連結調整後営業利益率13%以上といった意欲的な財務目標を設定しています。これらの目標はUPSの成長と効率改善への取り組みを反映しています。

アナリストによると、UPS株は「買い」か?

TipRanksによれば、UPS株のコンセンサス評価は「中程度の買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」9人、「中立」8人、「売り」1人に基づきます。平均目標株価の159.17ドルは、今後12カ月で約10.5%の上値余地を示唆しています。

フォード・モーター (Ford Motor Company, F)

米国を代表する自動車メーカーであるフォード・モーターは、1世紀以上にわたり自動車業界の礎であり続けています。多様な自動車ラインナップで知られる同社は近年、電動化と商用車に注力しています。

株主還元に対するフォードのコミットメントは、配当政策にも表れています。同社は、普通配当と特別配当を合わせて約5.56%の魅力的な配当利回りを提供し続けています。また、13年間にわたり毎年配当を行っており、配当性向は41.27%となっており、株主への価値還元に熱心であることを示しています。

EV生産削減発表で株価上昇

フォードは最近、電気自動車(EV)の生産を削減すると発表しました。これは同社にとってネガティブと思われるかもしれませんが、市場はそうは考えていないようです。フォードの株価はこのニュースで2.5%上昇し、現在年初来で19%上昇しています。

この最近の株価上昇は、市場全体や、ゼネラル・モーターズ(GM)などの競合他社を上回っています。バリュエーションの観点からは、時価総額578億ドルの同社株は6.9倍の予想PER(株価収益率)で取引されており、市場がフォードの収益が間もなく改善すると予想していることを示しています。同業他社と比較すると、フォードのバリュエーション指標は割安である可能性を示唆しています。

予想PERは自動車業界内では割安

フォードの予想PERはテスラ(TSLA)の93.8倍より大幅に低く、バリュー投資家にとってより魅力的な選択肢となる可能性があります。ゼネラル・モーターズ(GM)の5倍より少し高いものの、フォードは依然として自動車業界内では割安なバリュエーションであるとみられます。

EV生産の後退にもかかわらず、フォードは電動化戦略に注力し続けています。同社は、従来の内燃エンジン車やハイブリッド車とともに、EVのフルラインナップを提供する計画です。このバランスの取れたアプローチは、EV市場が進化し続ける間、同社がさまざまな消費者の嗜好に応えることを可能にしています。

アナリストによれば、フォード・モーター株は「買い」か?

TipRanksによれば、フォード・モーター株のコンセンサス評価は「中程度の買い」で、過去3カ月間のアナリストレーティングの「買い」7人、「中立」5人、「売り」1人に基づいています。平均目標株価の15.33ドルは、今後12カ月で8.6%の上値余地を示唆しています。

結論

UPSとフォード・モーターは、今日の市場で割安な配当株として魅力的なケースとなっています。UPSは、物流とeコマース関連で圧倒的な地位を占めており、短期的な困難に直面しているにもかかわらず、事業の安定性と4.57%の堅実な配当利回りを提供しています。

一方、フォードは5.56%の配当利回りと電気自動車やハイブリッド車への積極的な取り組みで、リスクは高いもののリターンも高くなっています。

両社ともそれぞれの課題を抱えていますが、魅力的なバリュエーションと戦略的な取り組みにより、多少の市場変動を乗り切る意欲があるインカム重視の投資家にとって、魅力的な銘柄となっています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、UPS, Ford: 2 Undervalued Dividend Stocks to Watch Now原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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