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ヘルスケア株3銘柄のうち最も高いリターン創出の可能性があるのは?

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世界の多くの国々で医療インフラや医薬品開発への支出が増加しており、ヘルスケア企業は恩恵を受けることが期待されています。ここでは、3つのヘルスケア銘柄に関するアナリストの見解を検討し、最も高い上昇の可能性を持つ企業を選びます。

新型コロナパンデミックによる大規模な混乱以来、ヘルスケアへの注目が高まっています。多くの国が医薬品開発や医療インフラに割り当てる予算が増加したことから、いくつかのヘルスケア企業は恩恵を受けることが期待されています。さらに、ヘルスケア企業は人工知能(AI)などの先端技術を活用して、満たされていない医療ニーズに対応しています。

TipRanksの株式比較ツールを使って、インテュイティブ・サージカル(NASDAQ:ISRG)、ファイザー(NYSE:PFE)、デクスコム(NASDAQ:DXCM) を比較し、アナリストが最も高い上昇可能性をヘルスケア株を選びました。

インテュイティブ・サージカル (Intuitive Surgical, NASDAQ:ISRG)

インテュイティブ・サージカルは、低侵襲なロボット支援手術分野の支配的なプレーヤーです。同社は主にダヴィンチ手術システムで知られています。第1四半期には313台のダヴィンチ手術システムを新たに設置し、総設置台数は14%増の8,887台となりました。

ダヴィンチ手術件数の増加と設置台数の拡大により、2024年第1四半期の売上高は前年同期比11%増加しました。興味深いことに、手術件数の増加は同社の機器と付属品の販売に貢献しています。第1四半期には、機器および付属品の売上高が総売上高の61%以上を占めました。

今後、インテュイティブ・サージカルは、地域ごとにダヴィンチ5モデルおよびその他の新しいプラットフォームの「計画的な発売」を進めています。しかし、経営陣は、機器の供給制約により、今年のダヴィンチ5システムの設置は不均一になる可能性があると警告しました。

インテュイティブ・サージカル株は「買い」か?

最近、BTIGのアナリスト、Ryan Zimmerman氏は、米国ロボット手術学会の年次総会を受けて、インテュイティブ・サージカルの「買い」レーティングを再確認し、目標株価を421ドルから451ドルに引き上げました。同アナリストは、競争が激化しているにもかかわらず、ロボット支援手術は現在の対象市場を超えて拡大する可能性があるため、医療テクノロジー分野で最も魅力的な投資分野の一つであり続けていると主張しています。

Zimmerman氏は、インテュイティブ・サージカルをロボット医療テクノロジー分野の明確なリーダーと見ており、これは市販されている同社のシステムまたは開発中のシステムの数の増加によるものです。

ウォール街の見方は?

TipRanksによれば、インテュイティブ・サージカル株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が14人、「中立」が5人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の439.06ドルは、今後12カ月で1%の下値余地を示唆しています。株価は年初来で31%以上上昇しています。

ファイザー(Pfizer, NYSE:PFE)

ファイザーの株価は、新型コロナ関連製品の需要急落が投資家心理を圧迫しているため、勢いを失っています。新型コロナワクチンと抗ウイルス薬Paxlovidの堅調な販売により、パンデミックの間、同社の株価は堅調でした。

現在続いている圧力の影響を緩和するため、ファイザーは積極的にコストを削減し、新型コロナ関連以外の製品販売で事業を復活させています。これらの努力により、2024年第1四半期は予想を上回る業績を達成し、通期の利益見通しを引き上げることができました。同社は最近、2027年末までのコスト削減について、昨年発表した40億ドルの目標に加えて、さらに15億ドルの削減を目指すと発表しました。

ファイザーは現在、腫瘍学(がん関連)などの成長分野で事業を強化しようとしています。昨年、がん治療薬メーカーのSeagenを430億ドルで買収しました。この買収により、ファイザーの腫瘍パイプライン(新薬候補)が強化され、同社は2030年までに少なくとも8つのブロックバスター(年間売上高10億ドル以上のヒット)医薬品を生み出すと予想しています。

ファイザー株は「買い」か?

TipRanksによれば、ファイザー株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が7人、「中立」が8人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価の33.50ドルは、今後12カ月で19.4%の上値余地を示唆しています。株価は年初来で約3%下落しています。

デクスコム (DexCom, NASDAQ:DXCM)

デクスコムは、糖尿病ケア分野で有力企業の一社です。同社は、リアルタイム持続血糖測定(CGM)システム導入により、糖尿病分野で急速に成長してきました。

2024年第1四半期の決算はアナリスト予想を上回り、通期の売上高ガイダンスの下限を引き上げました。売上高は前年同期比24%増の9億2,100万ドルとなり、米国と海外の売上高はいずれも24%増加しました。調整後EPS(1株当たり利益)は、前年同期の0.17ドルから0.32ドルに急増しました。

しかし、通期売上高見通しの中央値が市場予想を下回ったため、決算発表後、株価は下落しました。さらに投資家は、糖尿病ケア分野における競争激化と、減量薬がCGMデバイスの需要に及ぼす潜在的な影響について懸念しています。

経営陣、新製品投入で販売の勢い継続を予想

しかし、今後についてデクスコムは、新製品の発売に支えられ販売の勢いが続くと楽観視しています。2024年第1四半期にデクスコムは、インスリンを使用していない2型糖尿病患者向けに設計された新しいCGMシステム「Stelo」でFDA(米食品医薬品局)の承認を取得したことは注目に値します。同社はまた、次世代のDexcom ONE+リアルタイムCGMをヨーロッパ8カ国での発売を開始しました。

デクスコム株は「買い」か?

今月初め、デクスコムの株価は、投資家が米国の売上再編に関する経営陣の発言を、第2四半期の売上高が予想を下回る可能性を示唆するものと解釈したことを受けて下落しました。

バーンスタインのアナリスト、Lee Hambright氏は、この下落を買い機会と見ています。経営陣との議論に基づき、同アナリストは、経営陣が第2四半期のパフォーマンスについて何かを示唆するつもりだったとは考えていません。

実際、経営陣はアナリストに対し、第2四半期の全世界売上高の12%連続成長見通しは、季節性と販売再編による予想される混乱を考慮すると、コンセンサスと一致していると念を押しました。

ウォール街の見方は?

TipRanksによれば、デクスコム株の過去3カ月間のアナリストレーティングは、Hambright氏を含め、16人が「買い」、2人が「中立」で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の153.89ドルは、今後12カ月で35.4%の上値余地を示唆しています。株価は年初来で8.4%下落しています。

結論

ウォール街は、インテュイティブ・サージカルやファイザーよりもデクスコムに対して強気です。アナリストは、他の2つのヘルスケア株と比較した場合に、デクスコム株にはより高い上昇可能性(35.4%)があると見ています。継続的なイノベーションにより、デクスコムは糖尿病ケア製品の巨大な需要を獲得する上で有利な立場にあります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、ISRG, PFE, or DXCM: Which Healthcare Stock Could Generate the Highest Returns?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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