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S&P500高配当株ETF関連で優れているのは?

ストーリーハイライト

ステート・ストリートがS&P500指数関連を対象とした複数の高配当株ETF(上場投資信託)を運用しています。投資家はどう選択すればいいかを考えていきましょう。

SPDR S&P米国高配当株式ETF (NSPDR S&P Dividend ETF, YSEARCA:SDY) は、2005年の運用開始以来、202億ドルの運用資産を獲得しており、投資家に人気のある選択肢です。

しかし、SPDRのETFシリーズの中で配当重視のETFはSDYだけではありません。比較的新しい配当ETFであるSPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPDR Portfolio S&P 500 Dividend ETF, NYSEARCA:SPYD)は、2015年のローンチ以来、69億ドルの運用資産を積み上げています。

これらETFの戦略は若干異なりますが、どちらも配当に焦点を当てています。今後、投資家にとってより良い選択はどちらでしょうか?SDYの人気と長い運用期間にもかかわらず、このETFは今日の投資家にとっては圧倒的な選択肢とは言えません。より新しく、より小型のSPYDの方が、配当に関してはパンチがあり、保有コストもかなり安いです。これら2つのSPDR配当ETFを詳しく見てみましょう。

SDY ETFの戦略とは?

ステート・ストリートによると、SDYは「少なくとも20年連続で一貫して増配している企業を選別し、株式を利回りで加重する」株式インデックスに連動する投資成果を目指します。

ステート・ストリートは、「20年間連続増配しているインデックスをスクリーニングしているため、インデックスに含まれる銘柄は、純粋な利回り銘柄とは対照的に、資本成長と配当収入の両方の特性を備えています」と説明しています。

SPYD ETFの戦略は?

一方、SPYD は「S&P 500指数内の高配当利回り銘柄上位 80 社のパフォーマンスを測定するために設計された」株式インデックスに連動する投資成果を目指します。SDY と同様、SPYD もまた、値上がり益と利回りの両立を目指しています。

パフォーマンス比較

4 月 30 日現在、SDY の 過去3 年間の年率リターンはわずか 4.0%と平凡な成績であり、SPYD のリターンはそれよりわずかに低い 3.7%となっています。過去 5 年間では、SDY の年率リターンは 7.6% で、SPYD の 5 年間の年率リターン 5.4% よりも良好です。

これらのリターンはひどいものではなく、投資家はどちらのETFでも損をしていませんが、市場全体をアンダーパフォームしています。今日の市場で最大かつ最も流動性の高いETFである、市場全体を代表するSPDR S&P 500 ETFトラスト(NYSEARCA:SPY)は、3年年率リターンが7.9%、10年年率リターンが13.0%と遙かに優れています。

配当利回りで違い

配当は明らかにSDYの目玉ですが、現在の利回りは2.5%に過ぎません。これは市場全体の利回り(例えば、SPYの利回りはわずか1.3%)よりは良いものの、インカム投資家にとって魅力的な利回りとは言えず、SPYDははるかに優れた4.5%の利回りで簡単にこれを上回っています。

インカム重視の投資家はSPYDの高い利回りを魅力的に感じるでしょう。

大きく異なる手数料

SPYD が SDY と一線を画し、優れた選択肢として際立つもう一つの分野は、手数料です。

SPYDの経費率はわずか0.07%と非常に魅力的ですが、SDYは0.35%と大幅に高くなっています。つまり、SPYDに10,000ドルを投資した場合、年間手数料はわずか7ドルであるのに対し、SDYに投資した場合、年間手数料は35ドルとなります。

SDYの経費率0.35%はETF市場全体から見れば大きすぎるものではありませんが、SDYの5倍も高いです。

これらの手数料の差は、時間の経過とともに実質的な違いを生む可能性があります。各ETFが今後年率5%のリターンを上げ、現在の経費率を維持すると仮定した場合、SPYDに10,000ドルを投資した投資家が10年間で支払う手数料はわずか90ドルであるのに対し、SDYに投資した投資家は443ドルを支払うことになります。

ポートフォリオ比較

SDYが分散投資している点は評価できます。このETFは136銘柄を保有しており、上位10銘柄の保有比率はETFの19.3%に過ぎません。以下は、TipRanksの保有銘柄ツールによるSDYの上位10銘柄の概要です。

一方、SPYDは保有銘柄数こそ少ないものの、77銘柄とかなり分散されており、同様に集中度は低いです。上位10銘柄の保有比率はETFのわずか15.2%です。以下は、TipRanksの保有銘柄一覧ツールを使ったSPYDの上位10銘柄の概要です。

上位保有銘柄のリストを見てわかるように、SDYは公益事業や消費者向け製品など、伝統的に配当で知られるセクターの銘柄を多く組み入れています。SDYの最大のエクスポージャーはこれらのセクターで、ウェイトはいずれも18.0%です。

一方、SPYDも公益事業へのエクスポージャーは18.6%と大きいものの、不動産と金融へのエクスポージャーがより大きく、ETF内でのウェイトはそれぞれ27.0%と20.3%となっています。

エクスポージャーの点では違いがありますが、成長よりも配当で知られる市場セグメントにフォーカスしているという点では、両ポートフォリオは類似しています。

上位銘柄のTipRanksスマートスコアで違いも

一方、TipRanksのスマートスコアシステムは、SPYDの上位10銘柄をSDYよりも好意的に捉えています。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的な株式スコアリング・システムです。これは、8つの市場主要要因に基づいて銘柄に1から10までのスコアを与えます。8以上のスコアは「アウトパフォーム」評価に相当します。

スマートスコアによれば、SPYDの上位10銘柄のうち6銘柄にアウトパフォーム相当のスマートスコアが付与されています。しかし、SDYの上位保有銘柄のうち、このような好意的な評価を受けているのは4銘柄のみです。

アナリストによると、SDYは「買い」か?

ウォール街に目を向けると、TipRanksによれば、SDYのコンセンサス評価は「中程度の買い」です。これは、ポートフォリオで保有する各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価に基づいており、「買い」84銘柄、「中立」45銘柄、「売り」6銘柄です。SDYの平均目標価格の141.49ドルは、今後12カ月で9.2%の上値余地を示唆しています。

アナリストによれば、SPYDは「買い」か?

TipRanksによれば、SPYDのコンセンサス評価もやはり「中程度の買い」です。ポートフォリオ内の各銘柄の過去3カ月間のコンセンサス評価である、「買い」62銘柄、「中立」13銘柄、「売り」3銘柄に基づいています。SPYDの平均目標価格の44.34ドルは、今後12カ月で9.2%の上値余地を示唆しています。

結論:勝者は明らかにSPYD

SDYはより大規模で人気のあるETFですが、過去の経緯や投資家の慣れを超えて、なぜ人気があるのかわかりません。SPYDは配当利回りがSDYよりはるかに優れており、経費率がSDYのわずか5分の1と大幅に低いことから、明らかにSDYより優れた選択肢に見えます。

両ETFは近年、市場全体をアンダーパフォームしていますが、SPYDは魅力的な利回りと低い経費率から、インカム重視の投資家にとって依然として魅力的な選択肢と考えられます。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、SDY vs. SPYD: Which S&P 500 Dividend ETF Is Better?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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