米国株

テンセント株:最近の上昇にもかかわらず、さらなる上値余地

ストーリーハイライト

テンセント株(OTC:TCEHY)は直近で上昇を続けていますが、さらに上昇する可能性があるようです。中国のソーシャルメディアとテックの巨大企業は、2024年に入り業績は好調で、第1四半期の業績報告では、売上高が大きく伸び、さらに重要なこととして、利益率が大幅に拡大し、収益性が大きく向上しました。しかし、最近の株価上昇にもかかわらず、テンセントのバリュエーションは依然として魅力的であり、まだ上昇余地があることを示しています。

第1四半期:売上高と利益の力強い成長が投資家の確信を高める

第1四半期決算は、売上高と利益が好調な伸びを示し、投資家の同社に対する確信を高めました。思い起こせば、テンセントは2022年に売上高がわずかに減少し、株価が急落しました。その後、2023年には売上高が回復したものの、株価は大幅な上昇には至りませんでした。しかし、2024年に入り同社が力強い成長を維持していることから、市場はテンセントの将来性に確信を深めているようです。

第1四半期の売上高は前年同期比6%増の225億ドルで、オンライン広告とフィンテック/ビジネスサービスの大幅な伸びが、付加価値サービス(VAS、プラットフォーム上の有料サービス)の売上高のわずかな落ち込みを相殺しました。

付加価値サービス(VAS)

テンセントの付加価値サービス部門は、前四半期に引き続き低調な業績となりました。同セグメントにはビデオゲームおよびソーシャルネットワーク部門が含まれ、売上高は0.9%減少しました。

ビデオゲームの業績はまちまちでした。国際的には好調で、総収入は34%増でしたが、会計上の理由で実際の売上高は3%増でした。

一方、国内ゲームについては、総収入が3%増加したものの、売上高は同2%減少しました。この減収は、18歳未満のプレイ時間制限を目的とした、2021年に始まったゲーム業界に対する取り締まりによるものと考えられます。

最後に、ソーシャルネットワークからの売上高も2%減と軟調でした。全体として、VASセグメントの第1四半期の業績は極めて低調でした。

オンライン広告

オンライン広告部門は、業界全般の回復を追い風に顕著な復活を遂げました。売上高は、ビデオアカウント、ミニプログラム、公式アカウント、Weixin Searchのエンゲージメント拡大により、前年同期比26%増となりました。このセグメントの成長は、AIを活用した広告インフラの継続的な改善にも支えられています。

テンセントの売上高の伸びは、業界全体の回復を反映したもので、同時期のメタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)などの業界リーダーの業績指標と一致しています。広告費はほぼすべての主要カテゴリーで増加し、ゲーム、インターネットサービス、消費財業界では大幅な伸びが見られました。自動車業界は例外で軟調でした。

フィンテックとビジネスサービス

最後に、フィンテックとビジネスサービスは、売上高が前年同期比7%増と、まずまずの業績を示しました。フィンテックの成長は、オフライン消費支出の伸び悩みと出金手数料収入の減少によって妨げられたものの、ウェルス・マネジメント・サービスの売上高は堅調な伸びを記録しました。ビジネスサービスについては、クラウドサービス収入の増加とビデオアカウントにおけるeコマース・テクノロジー・サービス料金の増加が牽引し、売上高は前年比10%台の伸びを達成しました。

テンセントのバリュエーションは依然として妥当

第1四半期決算を受け、テンセントのバリュエーションは、通期の堅調な収益成長ポテンシャルを示唆するものであり、極めて妥当と思われます。具体的には、営業利益率は昨年の25%から33%に回復し、売上高の成長とともに1株当たり利益(EPS)は55%増の0.62ドルに達しました。従ってウォール街は、通期のEPSが前年比33.8%増の3.03ドルになると予想しています。

これは、現在の株価が予想PER(株価収益率)約16.2倍で取引されていることを意味します。テンセントの全体的な成長見通しと中国における強力な「堀(強力な競争優位性)」を考えると、このPERは非常に魅力的です。

一方、同社は引き続き自社株買いを急速に実施しており、過去4四半期で80億ドル相当の自社株買いを実施しました。これは、経営陣も現在の株価水準がかなり割安であると考えていることを示唆しています。

アナリストによれば、テンセント株は「買い」か?

TipRanksによれば、テンセント株のコンセンサス評価は「強気買い」です。これは、過去3カ月間のアナリストレーティングの、「買い」16人、「中立」1人に基づきます。平均目標株価は453.98香港ドルで、今後12カ月で19.2%の上値余地を示唆しています。米ドルでは、米国上場ADR(米国預託証券)は約58ドルになります。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Tencent Stock (OTC:TCEHY): More Upside Likely Despite Recent Gains原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事