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米投資銀行が推すフィンテック株3銘柄:力強い成長の余地は十分

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フィンテック・セクターはこの1年間、インフレと高金利の重圧を感じてきました。しかし、米投資銀行ベンチマークのアナリスト、マーク・パーマー氏は、今が買い時と考えています。

このセクターの現状についてパーマー氏は、センチメントの転換が必要であると考えています。「現在のフィンテック銘柄のバリュエーションの多くは、セクター内の企業見通しに関する悲観論や疑念を反映していますが、この分野の多くの企業には、今後数年間で力強く成長する余地が十分にあると考えます」と述べています。

パーマー氏は、3つのフィンテック銘柄を今後の勝者と見ています。TipRanksデータベースを使い、彼のトップピックについて他のウォール街アナリストの意見を調べてみました。詳しく見てみましょう。

ブロック(SQ)

最初にご紹介するのは、フィンテック界のリーダーであり、2つの人気アプリ「Square」と「Cash App」を運営する持ち株会社、ブロックです。ブロックの主要子会社であるこれらのアプリは、相反する、しかし補完的な方向からフィンテックにアプローチしています。Squareは販売者の視点から現場に浸透しており、Cash Appは購入者の生活をより簡単にします。

Squareは、加盟店がよりハードかつスマートに仕事をこなし、ビジネス活動を自動化して効率を高め、多様な収益源を統合して利益と柔軟性を高めることを目的としています。Squareのハードウェア・デバイスはスマートフォンをクレジットカード・リーダーに変えることができ、ソフトウェアはタブレットをレジとして使うことができます。Squareは世界中で400万以上の販売者に利用され、毎年40億以上の取引を促進しています。

Cash Appは、消費者である顧客側からフィンテックにアプローチします。Cash Appを使うと、ユーザーはお金へのアクセスとその使用を効率化できます。このアプリは、迅速かつ簡単で、誰もがアクセス可能なオンライン決済を可能にし、ユーザーに当座預金口座や普通預金口座、クレジット機能、デビット機能、さらには株式投資オプションや資金を保管するためのビットコインの使用へのアクセスを提供します。

ブロック、収益力に関して転換点に

ブロックの次の財務データ(2023年第4四半期および2023年通期)は2月末に発表される予定です。直近の第3四半期の総利益は19億ドルで、第2四半期の18億7,000万ドル、第3四半期の15億7,000万ドルから増加し、前年同期比で21%の成長となっています。調整後EPS(1株当たり利益)は55セントで、前年同期比13セント増でした。

堅調な見通し、総利益の伸び、前年比EPSの増加は、パーマー氏の株式評価の重要なポイントです。同氏は、次のように書いています。「過去数年間、ブロックは一貫して力強い総利益の伸びを創出してきましたが、同社は収益性が低いとして投資家から批判を浴びてきました。(中略)私たちは、ブロックが収益力に関して転換点に達し、収益性向上への十分な余地を残していると考えています」

パーマー氏は、ブロックに「買い」レーティングを付け、89ドルの目標株価は、今後12カ月で37%の上値余地を示唆しています。

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が20人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は84.65ドルで、今後12カ月で30%の上値余地を示唆しています。

コンポセキュア (CMPO)

次にご紹介するコンポセキュアは、安全な決済カードのニッチ分野、特に金属製決済カードのリーダーです。同社は、プラスチックから金属への移行という、決済カードの世界における変化の最前線にいます。

金属製カードはプラスチック製カードよりも多くの利点があり、カード1枚あたりの材料費の高さを補って余りあります。金属カードは耐久性に優れ、セキュリティ機能を保持しやすく、使用時の信頼性が高く、顧客が魅力的に感じる美しさを備えています。現在、主に富裕層が使用していますが、金属製決済カードの市場は拡大しています。

その広がりは相当なものです。コンポセキュアは、米国のカード発行会社上位10社のうち8社を含む100社以上のカード決済プログラムと提携しており、2010年から2022年までで、1億4,400万枚のカードを製造してきました。

多くの特許を取得し、最新の不正防止生体認証などにも対応

同社は関連技術を保護するために53の特許を取得し、さらに43の特許を出願中です。重さ7グラムから21グラムのメタルカードを数種類用意しており、メタル化粧板、ガラスまたは鏡面仕上げ、さまざまなセキュリティ対策などのオプションを備えています。カードは、最新の不正防止生体認証および認証システムに対応しています。

コンポセキュアの最新決算は2023年第3四半期で、売上高は9,690万ドルでした。これは前年同期比で6%以上減少し、予想に540万ドル以上及びませんでした。非GAAP(米国会計基準)ベースのEPS(1株当たり利益)は24セントで、前年同期比で2セント増加しました。

バリュエーションは金属製決済カード市場における支配的ポジションを反映していない

ベンチマークのパーマー氏は、コンポセキュアの長期的なポテンシャルを高く評価しています。同氏は次のように述べています。「当社の見解では、コンポセキュアのバリュエーションは、成長する金属製決済カード市場における同社の支配的な市場ポジションを反映していません。同社のシェアは70%以上と推定しています」

パーマー氏は「買い」レーティングを付けており、目標株価の7ドルは、今後12カ月で39%の上値余地を示唆しています。

コンポセキュアは、アナリストからあまり注目されておらず、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が1人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は6.5ドルで、今後12カ月で29%の上値余地を示唆しています。

ペイオニア (PAYO)

ペイオニアは、2005年以来、デジタル決済サービスとオンライン国際送金のビジネスを展開しています。同社は、低手数料、迅速な支払い、信頼性という3つの重要な特徴を顧客に提供しています。ペイオニアは、グローバルな商取引に民主主義をもたらし、中小企業に世界的な金融プラットフォームへのアクセスを提供しています。

ペイオニアは、顧客基盤である中小企業セグメントに対し、支払いの送受信を容易にする様々なサービスを提供しています。このサービスは、様々な市場やビジネスネットワークを接続し、迅速な資金移動を可能にします。そして、ユーザーは、米ドル、英ポンド、ユーロ、日本円、さらには豪ドルやカナダドルなど、選択した通貨で口座から資金を引き出すことができます。ペイオニアは合計70の通貨をサポートし、20以上の言語でサービスを提供しています。

顧客は口座にある資金の活用が可能

おそらくペイオニアのユーザーにとって最大の恩恵は、プロセスの最後に訪れます。顧客は、口座にある資金を将来の支払い送金用に保管したり、オンラインで買い物をしたり、現地の銀行口座に引き出したり、ATMで現金として引き出したりと、いくつかの使用方法があります。

直近の2023年第3四半期の収入は、前年同期比31%増の2億800万ドルで、同社の言葉を借りれば、「また過去最高の収入を記録した四半期」でした。しかし、予想を92万ドル下回りました。GAAP基準のEPSは3セントでした。前年同期の8セントの赤字からは大幅に改善したものの、予想を2セント下回りました。

強力なクロスボーダー決済とプラットフォームを活かす経営陣の計画で収益性向上へ

とはいえ、パーマー氏は、次のように述べています。「ペイオニアは、そのクロスボーダー決済サービスの強力な価値提案と、プラットフォームの価値を引き出す経営陣の計画を組み合わせることで、高い収益性(調整後EBITDAマージンが20%台半ば)と、より強力な本業の収入成長(2024年終了時点で最大15%)を達成する道を歩んでいます」

パーマー氏のスタンスは「買い」で、目標株価の7ドルは、今後12カ月で38%の上値余地を示唆しています。

過去3カ月間のアナリストレーティングは、アナリスト5人全員が「買い」レーティングを付けており、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は7.60ドルで、今後12カ月で50%の上値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、‘Ample Room for Strong Growth’: Benchmark Pounds the Table on 3 Fintech Stocks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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