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AIの追い風を受ける「強気買い」テック株でベストな銘柄は?

ストーリーハイライト

AIの追い風を受け、一部アナリストの目標株価によれば、今年は多くのAIイノベーターの株価が大幅に上昇する可能性があります。現在、潮流は、プロードコム、ケイデンス・デザイン・システムズ、サービスナウといった最も革新的なテック企業の側にあると考えられます。

テック・セクターは今年も好調を維持しています。バリュエーションはかなり高めですが、上述の3社のようなハイフライヤーは、ウォール街のアナリストから「強気買い」のコンセンサス評価を受けています。

生成AIカタリストを持つ3銘柄

そこで今回は、TipRanksの比較ツールを使って、テック・シーンで目覚ましいパフォーマンスを見せている銘柄のうち、さらなる上昇可能性がある生成AIカタリストを持つ上述の銘柄をチェックします。

ブロードコム (NASDAQ:AVGO) 

半導体業界では、AI半導体のトップ企業 2 社に注目が集まっていますが、多角的な半導体事業を展開するブロードコムも静かに上昇しています。時価総額5,920億ドルの巨大半導体企業であるブロードコムは、かつてのような潤沢な配当を支払う企業ではないかもしれませんが、ウォール街の多くのアナリストによれば、半導体シーンでより高い成長を遂げる企業の1つとして際立っています。

ブロードコムの株価は、ライバル企業と比較した場合、予想株価収益率(PER)27.4倍と、より魅力的なバリュエーションにあるとみられます。なお、かつては配当利回りが3~4%もありましたが、現在は1.64%程度に縮小しています。

JPモルガン、ブロードコムをエヌビディアに次ぐ最大のAI半導体プレーヤーと見なす

ブロードコムの株価は急騰していますが、JP モルガン (NYSE:JPM) のアナリストは今年、ブロードコムをエヌビディア (NASDAQ:NVDA) に次ぐ最大の AI 半導体プレーヤーと見なしています。これは、ハイエンドの AI ASIC (特定用途向け半導体) など、ブロードコム の「AI 関連製品におけるリーダー的地位」のおかげでもあります。

実際、AIハードウェアはGPU(画像処理半導体)だけではありません。特定のAIアプリケーション向けにハードウェアをカスタマイズしようとする企業が増えるにつれ、ASICが独自のブームを迎える可能性があります。ブロードコムは、AI アクセラレータを追求しているため、AI関連ASICトレンドに乗るのに最適と考えられます。

ブロードコム株の目標株価は?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が19人、「中立」が2人で、コンセンサス評価「強気買い」です。株価がかなり上昇してきているため、平均目標株価の1,222.22 ドルは、今後12カ月で2.35% の下値余地を示唆しています。

ケイデンス・デザイン・システムズ (NASDAQ:CDNS)

半導体や電子機器の設計関連企業のケイデンス・デザイン・システムズもまた、エヌビディアほどではありませんが、最近ホットな半導体プレーヤーです。ケイデンスは、新しいAIモデルを取り入れることで、より効率的になる半導体設計の側面を担っています。

半導体設計は参入障壁が高く、非常に複雑な分野です。標準的なAIチップを作るには、専門的なハードウェア・エンジニア陣が必要です。しかし、そこにAIが加われば、その障壁はおそらく大幅に下がるとみられます。

実際、ケイデンスがAIチップの設計を適切に行うことができれば、「堀(強力な競合優位性)」を広げようとしている同社の株価がどれほど上昇するかは分かりません。長期的な成長ドライバーをすべて考慮すると、アナリストはケイデンスを今最もエキサイティングなAI関連株とみています。

見かけほどは高くないとみられるバリュエーション

ケイデンス株に対する唯一の批判はそのバリュエーションにあり、株価収益率(PER)は76.9倍で、半導体業界平均の45.3倍を大きく上回っていますが、アプリケーション・ソフトウェア業界平均の86.1倍よりは低い水準です。ケイデンスが半導体設計分野でライバルを凌駕できると仮定すれば、アプリケーション・ソフトウェア企業として、このバリュエーションは見かけほど高くないかもしれません。

しかし、今週初めに決算を発表したケイデンスの株価は、2024年第1四半期のガイダンスが印象的でなかったため、4%下落しました。

ケイデンス株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が7人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の320.88ドルは、今後12カ月で9%の上値余地を示唆しています。

サービスナウ (NASDAQ:NOW)

サービスナウは、企業向けワークフロー管理に関するSaaS(サービスとしてのソフトウェア)企業で、株価は2022年後半に底を打って以来、上昇を続けています。同社の堅牢な製品が再び好調になっている上、投資家は、AIの機会を収益化する同社の能力に期待しています。

サービスナウの最高執行責任者(COO)は、生成AIはソフトウェア業界にとって3兆ドルのビジネスチャンスと強調しています。同社は、AIイノベーションに資金を投入し、顧客のコスト削減と生産性向上を支援することで、この巨大なパイの一部を手に入れたいと考えています。このため、PERが91.8倍という高水準にもかかわらず、アナリストはこの銘柄に強気です。

AIは「画期的な瞬間」

サービスナウの最高経営責任者(CEO)であるBil​​l McDermott氏は、生成AIと同社の成長見通しについて明るい見通しを示しています。同氏は、最新の四半期業績が好調だったことを受けて、AIを「画期的な瞬間」と表現しました。AIブームはすでにサービスナウに到来しているようであり、今後の四半期にも大きな影響を与えるとみられます。

サービスナウ株の目標株価は?

過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が28人、「中立」が1人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価の851.26ドルは、今後12カ月で10%の上値余地を示唆しています。

結論

テック株への追い風は2月に入っても健在のようです。バリュエーションがかなり高まっている可能性はあるものの、生成AIは、企業が現在の高いマルチプルに追いつくための収益成長ドライバーとなりそうです。アナリストはこの3社の中で、サービスナウの株価が今後1年間で最も上昇(10%)すると見ています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AVGO, CDNS, NOW: Which Strong-Buy-Rated Tech Stock Is Best?原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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