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ウォール街主要投資銀行が強気局面で推す3銘柄:コインベースなど

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S&P 500指数が再び過去最高値を更新しています。堅調な投資家心理を支えているのは、インフレ率の低下と、米連邦準備制度理事会(FRB)の今年の利下げ期待です。

ウォール街の老舗投資銀行・証券会社オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は最近、「当社の見解では、米国の経済指標は『これまでのところ非常に良好』です」と述べています。「利上げサイクルに直面し、経済は確かに若干減速していますが、それでもなお底堅さを保っています。(中略)FRBは2022年3月以降、(今のところ)経済を景気後退に陥らせることなく利上げに成功しています」と続けています。

新たな強気局面の始まり見込みで、特定の銘柄追求をアドバイス

オッペンハイマーの株式アナリストは、このポジティブなインサイトを受け、幅広い銘柄に「買い」レーティングを出しています。同社は、投資家に対して、新たな強気局面の始まり見込みに対して、今、特定の銘柄を追求すべきとアドバイスしています。TipRanksデータベースを使い、オッペンハイマーが最近選んだ3銘柄について、他のアナリストがどのように評価しているかを調べてみました。

コインベース・グローバル (COIN)

初めにご紹介するのは、オンライン・デジタル通貨の世界をリードするコインベースです。コインベースは主要な仮想通貨取引所を運営し、その取引所プラットフォームと仮想通貨ウォレットをデスクトップとモバイルデバイスの両方で利用できるようにしています。ユーザーはビットコイン、イーサリアム、USDCを含むほとんどの主要仮想通貨を購入し、取引することができます。

仮想通貨取引は大きなビジネスになっています。例えば、ビットコインは2021年11月に64,000ドルを超えてピークに達し、その後1年で3分の1以下に下落しましたが、その後上昇し、42,000ドルのレベルまで回復しています。コインベースは、ビットコインの上昇と関連する取引活動の活発化から大きな利益を得ており、株価は2023年12月のピークから引き戻されたにもかかわらず、過去12カ月間で123%の上昇を示しています。同社は現在、約300億ドルの時価総額を誇っています。

コインベースの活動の規模を示すには、いくつかの数字で十分でしょう。同社は100カ国以上のユーザーにサービスを提供し、1,140億ドル以上の資産をプラットフォーム上で保護しています。

SECのコインベース提訴の行方

コインベースの取引活動は米連邦証券取引委員会(SEC)の目に留まり、SECは昨年6月に同社を提訴しました。SECは、コインベースはSECの保護下にあるべきであり、現在未登録の証券ブローカーとして営業していると主張しています。コインベースは訴えを却下するよう求めており、この訴訟の担当判事は今後3カ月以内に判断を下すとみられます。

直近の2023年第3四半期では、コインベースの総取引高は760億ドル、総売上高は6億7,400万ドルで、前年同期比14.2%増で予想を2,000万ドルほど上回りました。GAAP(米国会計基準)のEPS(1株当たり利益)は1セントの赤字でしたが、これも予想を52セント上回りました。

コインベースは多くの投資家が考えている以上に強力

オッペンハイマーのアナリスト、Owen Lau氏は最近、コインベース株のレーティングを「中立」から「買い」に格上げしました。160ドルの目標株価は、今後12カ月で28%の上値余地を示唆しています。同氏は幾つかの理由を示し、コインベースのSECとの戦いに関してポジティブです。「多くの同業他社が倒産する中、コインベースは事業と業界のために立ち上がり、戦っています。コインベースは多くの人が思っている以上に強く、経営陣は多くの投資家が思っている以上にタフだと考えています」と述べています。

ウォール街の見方は楽観的ではありません。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が8人、「中立」が4人、「売り」が8人で、コンセンサス評価は「中立」です。株価は125.20ドル近辺で取引されており、平均目標株価の128.58ドルは、株価が12カ月後もほぼ同じ水準で推移することを示唆しています。

ブレッド・ファイナンシャル・ホールディングス (BFH)

ブレッド・ファイナンシャルは、オンライン・ファイナンスのニッチ分野で、融資、貯蓄、決済のためのシンプルでパーソナライズされたソリューションを提供しています。同社は、米国ではクレジットカードのリワードプログラムで知られ、2%のキャッシュバックが保証され、年会費0ドルのアメックスカードを顧客に提供しています。さらに、ブレッドの顧客は個人貯蓄口座を開設することができ、最低開設残高は100ドルほどで、実質利回りは5.15%と十分な高さになっています。ブレッドはまた、クレジットカード以外のオンライン決済アプリ「ブレッド・ペイ」を顧客に提供しています。

最近発表した2023年第4四半期決算では、収入は前年同期比1%減の10億2,000万ドルでしたが、予想を3,330万ドル上回りました。ブレッドは最近の四半期決算で常に収入予想を上回っています。

利益水準は配当を十分にカバー

同期のEPSは90セントで予想通りでした。予想を上回らなかったものの、ブレッドの利益は普通株配当を十分にカバーしています。現在の配当は1株当たり21セントで、2020年以来安定しており、次回の配当は3月15日に予定されています。一株当たり84セントの年間配当は、2.36%程度の利回りをもたらします。

オッペンハイマーのアナリスト、Dominick Gabriele氏は、ブレッド株は過小評価されていると考えています。「当社は通常、厳しい経済状況下での移行ストーリーには手を出しませんが、ブレッドのバリュエーションとほぼ適正規模の資本指標は非常に魅力的です」と書いています。

アナリスト、チャンネルの多様化、モデルの簡素化、健全なバランスシートに注目

同アナリストは、「チャンネルの多様化、モデルの簡素化、より健全なバランスシートは投資家に安心感を与えるはずです」と続けています。

結論として、Gabriele氏はブレッドを「アウトパフォーム(=買い)」とし、目標株価の52ドルは、今後12カ月で46.5%の上値余地を示唆しています。

ウォール街は一般的に慎重です。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が1人、「中立」が7人、「売り」が4人で、コンセンサス評価は「中立」です。株価は35.47ドル近辺で推移しており、平均目標株価は35.09ドルで、当面はレンジ相場が続くと思われます。

エントラーダ・セラピューティクス (TRDA)

オッペンハイマーが推しているリストの最後は、米国の早期臨床段階のバイオ医薬品会社、エントラーダ・セラピューティクスです。この会社は、今有効な治療法がない希少遺伝性疾患の治療に、エキサイティングで興味深いアプローチを取っています。エントラーダは、独自の「エンドソーム脱出媒体(EEV)」という新しい治療技術に取り組んでいます。このプラットフォームは、これまで「治療不可能」とされてきたターゲットに到達できる、新しいクラスのEEV医薬品の開発を可能にします。

エントラーダのEEVプラットフォームは、様々な臓器や組織において、細胞内経路を介した治療薬の効率的な送達を可能にします。この細胞内ターゲットへの到達能力は重要で、病気の原因物質の約75%は細胞内に存在しますが、現在の治療薬のうち、意図したターゲットに到達できるものはわずか2%以下です。同社の前臨床試験では、EEVを利用した薬剤は、意図した細胞内ターゲットに50%もの確率で到達できることが示されています。このことは、幅広い病態における治療の新たな可能性を開くものです。

アナリスト、主要新薬候補の動向に注目

オッペンハイマーの五つ星アナリスト、Hartaj Singh氏は、エントラーダ、特にその主要な新薬候補は、投資家が詳しく見るに値すると考えています。同氏は、今年中にエントラーダの臨床データが得られる見込みに明るい見方を示しています。

同アナリストは「アウトパフォーム(=買い)」レーティングを付けており、22ドルの目標株価は、今後12カ月で48%の上値余地を示唆しています。

この銘柄は、アナリストのコンセンサスで「強気買い」と評価されています。現在の株価は14.83ドルで、平均目標株価は21ドルとなっており、今後1年間で41.5%の上昇の可能性があります。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、‘Time to Pull the Trigger,’ Says Oppenheimer About These 3 Stocks原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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