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生成AI活用でソフトウェア2銘柄にさらなる上昇余地:モルガン・スタンレーの見解

ストーリーハイライト

米国株式市場は、2023年年末まで力強い強気相場が続き、特にナスダック市場が急上昇を記録し、テックセクターに投資家の注目が集まっています。そしてその注目の多くは、AI(人工知能)技術、特に生成AIに注がれています。

モルガン・スタンレーの5つ星アナリストであるKeith Weiss氏は、特に生成AIと関係のあるソフトウェア企業を選好しています。

「ソフトウェア業界は、ここ数十年で最大のイノベーションサイクルの瀬戸際にある中、2023年には株価収益率(PER)が大幅に回復しましたが、ソフトウェアの長期的優位性は依然としてしっかり残っているとみられます。IT予算の改善と利益率の余地を加えれば、ソフトウェア分野は2024年も引き続き最高のポジションを維持するでしょう」とWeiss氏は述べています。

Weiss氏の方針に従い、彼が選んだAI関連ソフトウェア銘柄のいくつかをTipRanksデータベースで検索し、ウォール街アナリストの評価も見てみました。

セールスフォース・ドットコム(CRM)

まずは、ソフトウェアの世界で有名なセールスフォース・ドットコムです。同社はテックとマーケティングの両分野にまたがり、顧客関係管理(CRM)のリーダーとして知られています。セールスフォースのCRMソリューションは、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)サブスクリプションモデルを通じて提供されるクラウドベースであり、営業、サービス、マーケティングアプリを含みます。

これらのサービスは顧客のニーズに合わせてカスタマイズされ、15万社以上の、大手企業を含むあらゆるタイプの企業顧客に適合するように拡張可能です。セールスフォースのクラウドソフトウェアは、IT部門に頼ることなくインストールとセットアップが可能です。さらに、すべての製品パッケージで既にAI技術が統合されており、営業、サービス、商取引、マーケティング、ITなど、ビジネスのほとんどの分野で生産性と効率性を加速させています。

セールスフォースによれば、高度な生成AI機能は、高度にパーソナライズされたマーケティングメッセージを作成し、適切なタイミングで適切な見込み客にターゲットを絞ります。また、12月には、人材管理ソリューションに生成AIを導入するため、人事関連会社のADPとの合弁企業を発表しました。

アナリスト、好業績と生成AIの効果的活用および今後のポテンシャルに注目

要するに、セールスフォースは、オンライン・マーケティングとCRMの最高峰の専門知識を提供する企業へと成長させたのです。これは、セールスフォースの四半期売上高と収益の安定した好業績と同様に、株価を支えています。最近発表された2024年度第3四半期(2023年8-10月)決算は特に好調で、これを受けて株価は9.1%上昇しました。株価は年初来で101%上昇しています。

第3四半期の売上高は、前年同期比11%増と大きく伸び87.2億ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)の希薄化後EPS(1株当たり利益)は2.11ドルとなり、予想を5セント上回りました。

Weiss氏は、この決算発表を受け、好業績と生成AIの効果的活用および今後のポテンシャルに注目し、株価を「ニュートラル」から「オーバーウェイト(買い)」に格上げし、目標株価を350ドルとしました。これは、今後12カ月で31%の上値余地を示唆しています。

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が26人、「中立」が11人、「売り」が1人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。

Jフロッグ (FROG)

2つ目の銘柄は、「リキッドソフトウェア(ソフトウェアの継続的アップデート)」のリーダー企業であるJフロッグです。Jフロッグの目的は、ソフトウェアパッケージとインストールのアップデートプロセスを簡素化し、ユーザーに安心と信頼をもたらすことです。同社の拡張可能なプラットフォームは、開発・運営チームやセキュリティ専門家からIoT(モノのインターネット)担当者まで、幅広いユーザーにアップグレードを簡単に提供します。

これこそデジタルトランスフォーメーション(DX)の効果です。Jフロッグは、デジタル時代の最も不便な雑用(つまり様々なソフトウェアのアップデート)を自動化したいという願望に触発され、普遍的なハイブリッド、マルチクラウドプラットフォームを開発しました。

企業顧客は、自社のシステムをより迅速かつ効率的にメンテナンスすることができ、顧客により良いサービスを提供することができます。また、このプロセス全体は、ソフトウェアのサプライチェーン全体にわたって目に見えません。

定期的なソフトウェアのアップグレードの必要性から、潜在的な顧客に事欠かず

すべてのソフトウェアユーザーが定期的なアップグレードを必要としているため、Jフロッグは潜在的な顧客に事欠きません。この事実が、最近の四半期における同社の、そして株価の好調なパフォーマンスの根拠となっています。

直近の2023年第3四半期売上高は、前年同期比23%増の8,860万ドルで、予想を108万ドル上回りました。非GAAPの希薄化後EPSは15セントで、予想を7セント上回りました。決算発表後、株価は約18%上昇しました。

モルガン・スタンレーのアナリスト、Sanjit Singh氏は、今後生成AIを統合したアプリが急激に増えていくことから、安全かつスムーズなアップデートが重要になり、Jフロッグはその受益者になると指摘しています。そして、それが、今後数年間におけるJフロッグの株価展望につながるとしています。

Singh氏は「オーバーウェイト(=買い)」レーティングを付け、42ドルの目標株価は今後12カ月で21%の上値余地を示唆しています。

ウォール街では、この銘柄に対する見方はややまちまちです。過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が8人、「中立」が2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。しかし、平均目標株価の34.50ドルは、今後12カ月で0.58%の小幅な下値余地を示唆しています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、‘In GenAI We Trust’: Morgan Stanley Says These 2 Software Stocks Have More Room to Run原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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