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AMD株:注目すべきAI半導体メーカーはエヌビディアだけではない

ストーリーハイライト

市場は、人工知能(AI)関連半導体に関して、エヌビディアへの執着からアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)を棚上げにしてきました。しかし、AMDの新たな発表により、同社の株価は活気を取り戻しつつあります。

投資家が2023年と2024年に考慮すべきAI半導体メーカーは、エヌビディア(NASDAQ:NVDA)だけでしょうか?そう思われることもあるかもしれませんが、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(NASDAQ:AMD)を無視してはいけません。

AMDは、マイクロプロセッサーのサプライヤーとして有名です。今年初め、同社の株価は急騰し、最高経営責任者(CEO)であるリサ・スー氏は素晴らしいリーダーとして称賛されました。

その後、突如として機械学習革命が金融業界のヘッドラインを席巻しました。エヌビディアはAIプロセッサーで市場の寵児となり、AMDはそれに比べて二流のAI半導体メーカーに見えました。しかし今、形勢はAMDに傾きつつあります。スー氏は再びトップニュースに登場し、テック業界の大企業としての同社の確固たる地位を投資家に再認識させています。

AMDが3つのプレスリリースを同時発表

なぜAMDの株価は12月7日に上昇したのでしょうか?これは、3つのプレスリリースを同時に発表したからです。

この3つのプレスリリースがすべてAIに関するものだったのは、単なる偶然ではありません。AMDはライバルのエヌビディアを狙っているようです。

その概要は以下の通りです。まず、AMDは「Advancing AI」と呼ばれる業界イベントで、AIを搭載したハードウェア・ソリューションを紹介しました。プレスリリースでは、AMDのパーソナルコンピューター(PC)向けAI対応ハードウェアが強調されています。PC市場はここ数年低迷していますが、AMDはAIの普及により、この分野の回復を見込んでいるのかもしれません。

次に、AMDはマルチコア機能に優れたRyzen 8040シリーズ・プロセッサの詳細を発表しました。同社は、このプロセッサ・ラインナップが、コンテンツ制作者やビデオゲーム・プレイヤーにとって有用であることを強調しています。さらにAMDによると、新しいRyzen 9 8945HSプロセッサーは、「競合製品よりもビデオ編集が最大64%高速化し、3Dレンダリングも最大37%高速化」したため、「ゲーマーは最大77%高速化したゲーム性能を享受できる」としています。

それに加え、AMDはAI機能を搭載した2種類のハードウェアモデルを発表しました。Instinct MI300Xアクセラレーターは、生成AI向けに業界をリードするメモリー帯域幅を提供し、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングと推論向けに優れたパフォーマンスを実現します。さらに、Instinct MI300Aアクセラレーテッド・プロセッシング・ユニット(APU)は、ハイパフォーマンス・コンピューティングおよび「AIワークロード」向けに「画期的なパフォーマンス」を提供します。

リサ・スーCEOの「目を見張る」予測

これらの発表はエキサイティングであり、AMDがAIプロセッサー市場でエヌビディアに追いつく可能性を裏付けるものです。そして、最も話題となったのはリサ・スーCEOの発言で、ブルームバーグによれば「目を見張る」予測です。

スーCEOによれば、AI半導体の市場規模が「今後4年間で4,000億ドル」を超える可能性があるとのことです。この数字は、AMDの経営陣が8月に公表した予測の2倍以上です。

さらにロイター通信によると、スー氏はAMDが「20億ドルをはるかに超える」AI半導体を大量に供給していると自信満々に主張しています。このように、AMDとスー氏は、米国のAIプロセッサー市場におけるエヌビディアの覇権を脅かす用意が十分にあるようです。

アナリストによると、AMD株は「買い」?

TipRanksによれば、過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」が24人、「中立」が9人で、コンセンサス評価「中程度の買い」です。平均目標株価は128.77ドルで、今後12カ月で0.8%の上値余地を示唆しています。

AMD株の売買で、どのアナリストをフォローすべきか迷っているのであれば、(1年間のタイムフレームで)最も収益性の高いアナリストはNorthland SecuritiesのGus Richard氏で、1レーティングあたりの平均リターンは85.87%、成功率は91%となっています。

結論

スーCEOが強調している通り、投資家はエヌビディアが米国の唯一重要なAIチップメーカーではないことを覚えておくべきでしょう。AMDは有力な競争相手であり、さらに、大きな収益を生む可能性のある新しいAI互換ハードウェアモデルをリリースしています。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、AMD Stock: Nvidia Isn’t the Only Chipmaker to Watch原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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