米国株

ビル・ゲイツ氏が新たに買ったテックETFとは?

ストーリーハイライト

マイクロソフト(NASDAQ:MSFT)創業者で億万長者のビル・ゲイツ氏が熟知している市場分野といえば、テクノロジーセクターです。そのため、ゲイツ氏がポートフォリオに新しいテックETFを追加したことは、注目されています。提出書類によると、ビル&メリンダ・ゲイツ財団信託は第3四半期にiシェアーズ米国テクノロジーETF(NYSEARCA:IYW)を購入しました。

IYWはその長期運用実績と、米国の一流テクノロジー企業の包括的なポートフォリオとして有名です。

投資家としてのビル・ゲイツ氏

ビル・ゲイツ氏は、マイクロソフトの創業者として有名ですが、また、世界で最も裕福な人物の一人でもあります。ブルームバーグの推定によると、ゲイツ氏の純資産は1,300億ドル(約19兆5,000億円)以上です。

あまり知られていないのは、ゲイツ氏がビル&メリンダ・ゲイツ財団信託を通じて熱心な投資家でもあるという事実です。

ゲイツ氏は、偉大な投資家であるウォーレン・バフェット氏と親密な関係にあります。バフェット氏は同財団の評議員を務めており、2人は頭脳明晰さを保つために頻繁に「ブリッジ」(カードゲーム)を一緒にプレイしています。さらに、同財団のポートフォリオの約20%は、バフェット氏のバークシャー・ハサウェイ(NYSE:BRK.B)に投資されています。

ゲイツ氏、アップル、アマゾン、アドビ、そしてIYWを新たに追加

13F提出書類のおかげで、ゲイツ氏のような投資家が四半期に一度、ポートフォリオで何をしているのかスナップショットを得ることができます。運用資産が1億ドル以上の機関投資家は、前四半期末から45日以内に13Fを提出しなければなりません。多くの投資家は、この13Fの発表に注目しています。

最新の13Fでは、ゲイツ氏がアップル(NASDAQ:AAPL)、アマゾン(NASDAQ:AMZN)、アドビ(NASDAQ:ADBE)、そしてiシェアーズ米国テクノロジーETFなど、多数の新しいテック銘柄をポートフォリオに追加したことがわかります。なお、IYWは、ゲイツ氏にとって大きなポジションではありません。提出書類によると、彼が所有しているのは約600万ドル分です。

しかし、ゲイツ氏が所有する数少ないETFの一つであり、彼がテックセクターの動向を把握していることは明らかであるため、このETFの組み入れは注目に値します。そこで、ゲイツ氏の目に留まったこのテック系ETFを詳しく見てみましょう。

IYW ETFの戦略とは?

iシェアーズによると、IYWは、テクノロジーセクターの米国株式で構成されるインデックスの投資結果に連動することを目指します。このETFは、投資家に「米国のエレクトロニクス、コンピュータ・ソフトウェアおよびハードウェア、情報技術企業へのエクスポージャー」を提供します。

ファンドの運用開始は2000年で、現在の運用資産は126億ドルです。

IYWのポートフォリオ

IYWのポートフォリオは、米国のトップテクノロジー企業を包括的に構成しています。全体で134銘柄を保有し、上位10銘柄でファンドの64.2%を占めています。以下では、TipRanksの保有銘柄ツールを使って、IYWの上位10銘柄の概要を確認します。

保有銘柄リストは、米国で最も優秀なテック企業リストのように読めます。アップルがファンド最大の保有銘柄で、ゲイツ氏がよく知っているはずのマイクロソフトがそれに続いています。その他、メタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)やアルファベット(NASDAQ:GOOG)(NASDAQ:GOOGL)のようなFAANG企業や、エヌビディア(NASDAQ:NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(NASDAQ:AMD)、ブロードコム(NASDAQ:AVGO)のような半導体企業も上位に含まれています。

IYWの上位保有銘柄を総合すると、スマートスコアが印象的です。スマートスコアは、TipRanksが独自に開発した定量的株式スコアリング・システムです。8つの市場主要要因に基づき、銘柄に1から10までのスコアを与えます。8点以上はアウトパフォームと評価されます。驚くべきことに、IYWの上位10銘柄の保有銘柄は、いずれもスマートスコアが8以上でアウトパフォームに相当します。

そして、アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ブロードコムはすべて「パーフェクト10」のスマートスコアを誇っています。IYW自体は、アウトパフォーム相当のETFスマートスコア8となっています。

長期的な卓越性

このような強力なポートフォリオに加え、IYWは長期にわたって優れたパフォーマンスを上げています。IYWは、テック株の急騰を受け、過去1年間で49.5%という驚異的な上昇率を記録しました。過去3年間のリターンは年率換算で12.8%です(10月31日現在)。

さらに長期的に見た場合でも、IYWのリターンは良好です。過去5年間では年率19.2%、過去10年間では年率18.6%のリターンを投資家に提供しています。

別の見方をすれば、累積ベースで、10年前に10,000ドルをIYWに投資した投資家は、現在46,000ドル近くを保有していることになります。

経費率

IYWの経費率0.40%は、法外なものでもありません。このファンドに1万ドルを投資した投資家は、1年目に40ドルの手数料を支払うことになります。経費率が0.40%のままで、ファンドが今後年率5%のリターンを上げると仮定すると、この投資家はファンドに10年間投資する間に505ドルの手数料を支払うことになります。

一方では、様々なARK ETFのようなテック中心のETFには、これよりはるかに高い手数料を取るものがたくさんあります。しかし一方で、インベスコQQQトラスト (NASDAQ:QQQ) やテクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド (NYSEARCA:XLK) のように、経費率の安い大型テックETFもあります。

アナリストによれば、IYW は「買い」?

ウォールストリートに目を向けると、IYWの過去3カ月間のアナリストレーティングは、「買い」112人、「中立」23人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標価格127.05ドルは、9.55%の上値余地を示唆しています。

ゲイツ氏は何かを把握している可能性

ゲイツ氏が直近四半期にIYWをポートフォリオに加えた理由は定かではありません。しかし、このETFが米国の一流テクノロジー株で構成された高評価のポートフォリオであること、そして長期的な実績があることは、投資を検討する十分な理由です。

ゲイツ氏は確かに、米国のテックセクターで何が起こっているかをよく把握しており、こうした銘柄にはまだ多くのチャンスがあると明らかに考えているのでしょう。このETFは、それらすべてに投資できる便利で効果的な方法です。IYWの唯一の欠点は、経費率が同様なETFに比べてやや高いことです。とはいえ、IYWの長期パフォーマンスを見れば、0.40%の経費率に不満を持つ投資家は少ないでしょう。

免責事項

ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、IYW: Bill Gates Bought This Tech ETF. Should You?原文の翻訳を中心にまとめています。

米国株
この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
米国株投資の銘柄分析はTipRanks
最新記事