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ストーリーハイライト
2023年には、生成AI(人工知能)がクラウドプロバイダーに与える影響はより顕著になってきました。しかし、エッジ(分散)コンピューティング領域への影響はまだ顕在化していません。しかし、モルガン・スタンレーのアナリスト、Eric Woodring氏によれば、状況は一変しようとしています。
同氏は次のように述べています。「AIが消費者に浸透するにつれ、クエリ・コストの削減、レイテンシー(ネットワーク通信における遅延)の改善、パーソナライゼーションの向上、データセキュリティ/プライバシーの向上、アクセスの容易化といった恩恵を受け、2024年にはエッジがAI推論の新たなイネーブラー(プロセス促進要素)になると予想しています」
これまでのところ、テックの巨人たちがAIの話題を独占している中、アップル(NASDAQ:AAPL)の影が比較的薄い状況にありました。しかし、Woodring氏によれば、それが変わろうとしています。
アップルの20億台のデバイスと12億人のユーザーが重要
「アップルのAIに対する意図を疑問視する投資家もいますが、我々はアップルがAIを実現する企業になると考えています」と同氏は指摘しています。「AIが真に差別化された結果を生成するためには、独自のデータセットを活用する必要があり、アップルの20億台以上のデバイスと12億人以上のユーザーは、我々が考えられるほとんどのプラットフォームよりも洞察に満ちたデータを生成するでしょう」
アップルがデータプライバシーを重視し、最先端のスマートフォンやPCハードウェアを、ハードウェア、半導体、ソフトウェア、サービスのすべてにわたって垂直統合していることと合わせると、アップルは「他の多くの企業にはできない方法で、真の『AIイネーブラー』になる可能性があります」とWoodring氏は考えています。
生成AI収益化で5つの経路
Woodring氏によれば、アップルが生成AIを収益化する上で、5つの経路をたどる可能性があります。それは、1)ハードウェアのシェア拡大、2)トラフィック獲得コスト(TAC)の新たな手段、3)より良いサービスの収益化、4)App Storeでの購入、5)プレミアムSiriのサブスクリプションサービス、です。
アップルが提供するAIのユーザーエクスペリエンスが向上するため、ハードウェアのシェア拡大は「最も可能性の高い結果」となります。Woodring氏は、アップルがAIによってスマートフォンの市場シェアを1ポイント増やすごとに、iPhoneの販売台数が1,200万台、売上高が約110億ドル(企業成長の3パーセントポイントに相当)、EPS(1株当たり利益)が0.13ドルから0.19ドル増加すると予測しています。
サービスについては、ユーザー普及率の拡大、値上げ、またはTACを含む新たな商業販売契約の確立などの方法を通じて、収益化が改善されるはずです。
プレミアムSiriのサブスクリプションサービスの可能性
「最後に、アップルは、プレミアムSiriのサブスクリプションサービスを開始することができ、月額わずか5ドルを課金した場合でも、iPhoneのインストールベースの10%の浸透ごとに、年間70億ドル以上サービス売上高を増加させられると推定しています」とWoodring氏は付け加えます。
この自信に満ちた見通しにより、Woodring氏はアップル株の「オーバーウェイト(=買い)」レーティングを維持し、210ドルの目標株価は、今後12カ月で14%の上値余地を示唆しています。
アップル株は「買い」か?
全体のアナリストレーティングは、「買い」24人、「中立」8人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は201.82ドルで、今後12カ月で10%の上値余地を示唆しています。
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本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Morgan Stanley Says Buy Apple Stock as It Becomes a True ‘AI Enabler’原文の翻訳を中心にまとめています。
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