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ゴールドマン・サックス、米大統領選に向け公益事業株と生活必需品株に注目

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ゴールドマン・サックスの米国株式チーフ・ストラテジスト、David Kostin氏は、2024年の米大統領選挙が株式市場にどのような影響を与えるのか、投資家が問い始めていると言います。

歴史を振り返ると、2024年は株式市場のビンテージ・イヤーにならない可能性が高いです。1932年以来、選挙に向かう12カ月間のS&P 500指数の平均リターンは7%で、選挙がない年の9%を下回っています。近年のパフォーマンスはさらに悪化しており、1984年以降、S&P500指数は選挙前の12カ月間で平均わずか4%のリターンしか達成していません。

情報通信、テックは選挙に向けてパフォーマンスが悪い見通し

では、投資家は来年に向け、何に注目すべきでしょうか?「選挙の年は通常、利益の伸びが大きく、バリュエーションは横ばいで推移する傾向があります」とKostin氏は指摘しています。「情報通信およびテックは通常、選挙に向けての1年でパフォーマンスが最も悪いセクターです。ディフェンシブ・セクターは、公益事業や生活必需品を筆頭に、最も良いパフォーマンスを示す傾向があります」

このような背景から、ゴールドマン・サックスの株式アナリストは、ディフェンシブ・セクターの中から、精査する価値のある2銘柄を特定しています。私たちはこの2銘柄を詳しく見てみることにし、その見通しをより詳しく見るために、TipRanksのデータベースで調べてみました。以下がその結果です。

センプラ (SRE)

センプラは、エネルギーインフラ企業で、米国最大の電力・天然ガス供給企業の1社です。同社は、主に南カリフォルニアとテキサスで約4,000万人の顧客にサービスを提供しています。2022年末現在、センプラの総資産は790億ドルを誇り、従業員数は2万人強です。

センプラはつい最近、第3四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比8%減の33.3億ドルで、アナリスト予想を3億5,000万ドル下回りました。しかし、純利益は前年同期の6億2,200万ドル(希薄化後EPS 0.98ドル)から6億8,500万ドル(同1.08ドル)に増加し、EPSはアナリスト予想を0.07ドル上回りました。

年初来の好調な実績を受け、通期のEPSは、アナリスト予想の4.49ドルに対し、ガイダンス(4.30ドル~4.60ドル)の上限かそれを上回ると経営陣は予想しています。

今後重要なカタリスト多く

ゴールドマン・サックスのアナリスト、Carly Davenport氏は、この決算を分析し、今後のカタリストに注目しつつ、最新情報について好感すべき点がたくさんあると指摘しています。

「第3四半期には、センプラ傘下のテキサス州電力会社オンコーがセンプラの重要な強みであるとの確信を強めました」とDavenport氏は述べています。「センプラは今後いくつかの重要なカタリストがあると考えます。同社は同業他社に対して、2025年予想で0.7倍のディスカウントで取引されていますが、こうした強みを考慮すると不当なディスカウントであると考えます」

上述から、Davenport氏は「買い」レーティングを継続し、目標株価89ドルは、今後12カ月で24%の上値余地を示唆しています。

全体として、アナリストレーティングは、「買い」6人、「売り」4人で、コンセンサス評価は「中程度の買い」です。平均目標株価は80.11ドルで、今後12カ月で12%の上値余地を示唆しています。同社はまた、定期的に配当を出しており、最新の配当は一株当たり0.59ドルで、配当利回りは約3.25%です。

モンデリーズ・インターナショナル (MDLZ)

次に、生活必需品セクターに目を向け、世界的なスナック・飲料大手のモンデリーズ・インターナショナルを確認してみます。同社は、2012年にクラフト・フーズからスピンオフして誕生し、日本でもお馴染みのクッキーの「オレオ」、チョコレートの「キャドバリー」、ガムの「トライデント」など、有力製品の多様なラインナップを誇ります。150カ国以上で事業を展開するモンデリーズは、ビスケット(含むクッキーとクラッカー)で世界1位、チョコレートで世界2位を占める世界最大のスナック企業のひとつです。

昨年の世界全体の純売上高は約315億ドルに達し、今年もこの数字を上回りそうな勢いです。実際、最近発表された第3四半期決算では、大幅な再投資にもかかわらず、同社はいくつかの面で予想を上回りました。売上高は前年同期比16.4%増の90億3,000万ドルに達し、コンセンサス予想を2億2,000万ドル上回りました。損益面では、調整後EPSが0.82ドルとなり、予想を0.04ドル上回りました。

また、先行きの見通しも良好です。モンデリーズは、2023年通期の既存事業売上高成長率見通しをこれまでの12%以上から14-15%に引き上げ、コンセンサス予想の13.8%を上回りました。調整後EPS成長率見通しも、これまでの12%から16%に引き上げました。

新興国や東南アジアで長期的な成長を予想

ゴールドマン・サックスのアナリスト、Jason English氏は、好調な業績が持続すると予想しています。「我々は、モンデリーズが同業他社に対してファンダメンタルズ面でアウトパフォームを拡大させる好位置にあると引き続き考えています」と述べています。「モンデリーズは、メキシコ、ブラジル、中国、インド、その他東南アジア市場などで長期的な成長を見込み、マーケティングと商業活動の両方に積極的に投資しています。当社は、この勢いが当面続くと予想しており、この観点から「買い」レーティングを再表明します」

English氏の目標株価は82ドルで、今後12カ月で20%の上値余地を示唆しています。

全体として、モンデリーズはウォール街で多くの支持を得ています。アナリストレーティングは、「買い」が16人、「中立」がわずか2人で、コンセンサス評価は「強気買い」です。平均目標株価は78.35ドルで、今後12カ月で14%の上値余地を示唆しています。投資家はまた、配当を享受できます。最新の配当は1株当たり0.42ドルで、配当利回りは2.45%です。

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ディスクロージャー

本記事は株式投資分析ツールTipRanksの許可を得て、Goldman Sachs Says Utilities and Consumer Staples Stocks Are Set to Outperform as the Presidential Election Approaches — Here Are 2 Names the Banking Giant Likes原文の翻訳を中心にまとめています。

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この記事のライター
金融コンテンツ・エディター兼翻訳者。 米国株など米国金融市場を中心に金融関連コンテンツの翻訳・作成にこれまで従事。 日本経済新聞社英文編集部門勤務を経て、約20年にわたり外資系金融機関などで金融関連コンテンツの翻訳・編集業務およびマーケティングサポートを担当。 米国の個人投資家向け金融メディア「モトリーフール」の日本語サイト(今は撤退)で、翻訳・編集業務を担当した経験もあり。 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
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